Japan - Obscure Alternatives = 苦悩の旋律 (1978)
Japan 1978

Japan - Obscure Alternatives = 苦悩の旋律 (1978)

Electronic Rock Art Rock New Wave Synth-pop Glam

Japan『Obscure Alternatives = 苦悩の旋律』(1978)

Japanの『Obscure Alternatives』は、1978年に発表されたセカンド・アルバムで、日本盤では『苦悩の旋律』の邦題が付いている。デビュー作『果てしなき反抗』に続くこの時期のJapanは、まだ初期ならではの硬さを残しつつ、のちの洗練された方向へ向かう途中にある。David Sylvianの歌、Mick Karnのうねるベース、Steve Jansenのタイトなドラム、Richard Barbieriの鍵盤、Rob Deanのギターが並ぶ編成で、バンドとしての輪郭はすでに固まりつつある。

初期Japanの位置づけ

Japanはロンドンで結成されたニュー・ウェイヴ/アートロック系のバンドだが、1978年当時の英国では、パンク以後の潮流の中ですぐに主流へ乗ったグループではなかった。一方で、日本では早くから注目を集めたことが知られている。Ariola-Hansaとの契約下で出た3枚のアルバムの2作目にあたり、後年Virgin移籍後に広く知られることになるJapan像の、前段階を記録した作品でもある。

この時期のバンドは、ファンクやディスコの感触を残しながら、演奏の切れ味と都会的な距離感を前面に出している。初期Japanに特有の、リズムの細かい動きとベースの主張、そこに乗るDavid Sylvianの端正な歌い回しが、すでにこのアルバムの中心にある。

音の印象と楽曲の特徴

『Obscure Alternatives』は、後年のJapanに見られる整った美意識よりも、まずバンドの生々しい動きが先に立つ。ギターは前に出過ぎず、鍵盤とベースが曲の骨格を作る場面が多い。Mick Karnのベースは、この時点でもすでに独特で、単なる伴奏ではなく旋律の一部として機能している。

収録曲の中では「Automatic Gun」「Adolescent Sex」期から続く初期Japanの感触を引き継ぐ曲調が目立つ。さらに、A面2曲目の「Rhodesia」には表記ゆれがあり、盤やインサートで英語タイトル表記が異なる。こうした細部も、当時の日本盤らしい資料性を持っている。初回分には、別の音源を店頭で申し込めるカードが封入されていたという案内もあり、当時の発売形態としても興味深い。

また、日本盤LPには英語と日本語の歌詞インサートが付属し、見開き仕様のジャケットとレインボー・ラベル、帯付きという体裁になっている。レーベル表記はVIP-6593。日本盤ならではの丁寧な作りが目に入る。

当時の評価とその後

Japanはこの時期、英国の流行と少しずれた場所にいた。派手なヒットで押すタイプではなく、ルックスや音像を含めて独自性を積み上げていくバンドだった。のちにVirgin移籍後、『Gentlemen Take Polaroids』『Tin Drum』で評価を広げていくが、その前段にある本作では、まだ骨格の荒さと実験の余地がはっきり残る。

その意味で『Obscure Alternatives』は、完成形よりも過程を聴くアルバムだ。ニュー・ウェイヴ、アートロック、グラムの要素をまたぎながら、のちのニュー・ロマンティック期に接続する感覚もすでに見えている。David Sylvianの声の置き方や、Mick Karnのベースの動きには、後年のJapanを思わせる要素がすでにある。

まとめ

『苦悩の旋律』は、Japanの2作目として、初期バンドの輪郭と変化の途中をそのまま封じ込めた一枚。1978年という時代の空気の中で、英国ではまだ十分に評価されず、日本で先に受け止められたという背景も、この作品の位置をはっきりさせている。のちの洗練されたJapanを知る耳で聴くと、ここにはまだ粗さがある一方で、すでに独自の緊張感とメンバー間の噛み合いがある。初期Japanの記録として、資料的な意味も含めて重要な作品だ。

トラックリスト

  1. A1 Automatic Gun = オートマティック・ガン 4:04
  2. A2 . . . . Rhodesia = 熱きローデシア 6:49
  3. A3 Love Is Infectious = 愛の伝染 4:10
  4. A4 Sometimes I Feel So Low = 孤独な安らぎ 3:44
  5. B1 Obscure Alternatives = 苦悩の旋律 6:49
  6. B2 Deviation = 若き反抗 3:23
  7. B3 Suburban Berlin = 郊外ベルリン 4:59
  8. B4 The Tenant = 愛の住人 7:12

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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