The Human League - Dare (1981)
The Human League 1981

The Human League - Dare (1981)

Electronic Pop Synth-pop

The Human League『Dare』――シンセポップを大衆チャートへ押し上げた1981年作

The Human Leagueの『Dare』は、1981年にUKのVirginから出た3作目のスタジオアルバムで、同バンドの名前を一気に広い層へ届けた作品だ。シェフィールド出身の電子音楽グループとして出発した彼らは、初期はより実験色の強い編成だったが、80年代に入る頃にはPhil Oakeyを中心に再編され、女性ボーカルのJoanne CatherallとSusan Ann Sulleyを加えた体制へ移行していく。その新体制の最初期に結実したのがこの『Dare』である。

制作はMartin Rushentが担当し、録音は1981年3月から9月にかけてバークシャーのGenetic Sound Studiosで進められた。使用機材にはRoland MC8、System 700、JP4、Korg 770、Linn LM-1、Yamaha CS15などが並び、当時のシンセポップらしい機械的な質感を支える一方で、単なる電子音の積み重ねには終わっていない。曲ごとの輪郭が明確で、声の配置もはっきりしているため、アルバム全体がかなり整理された印象を持つ。

アルバムの位置づけ

『Dare』はThe Human Leagueにとって、初期の実験的な電子音楽から、ポップ・アルバムとしての完成度を前面に出した転換点にあたる。Martyn WareとIan Craig Marshが脱退してHeaven 17を結成した後、Oakeyはバンド名を残し、新たなメンバー構成で活動を続けた。その結果として生まれたこの作品は、グループの名前を保ちながらも、前の体制とは異なる方向へ大きく進んだ記録になっている。

同時代の英国エレクトロニック・ポップの流れで見ると、Gary NumanやUltravoxと並ぶ時期の作品でありながら、より歌の構造がはっきりしている。機械的なトラックの上に、Oakeyの低めの声と女性コーラスが配置されることで、無機質さだけに寄らないバランスが作られている点が特徴的だ。

ヒット曲とアルバムの広がり

このアルバムを語るうえで外せないのが「Don’t You Want Me」だ。もともとOakeyはこの曲に強く反対していたという逸話が残っていて、結果的には7インチ盤にポスターを付ける条件で発売された。ところが、この曲はUKシングルチャートで首位を獲得し、1981年のクリスマスNo.1にもなった。翌年にはアメリカでも大ヒットし、バンドの代表曲として定着していく。

アルバム全体としては、シングル曲の存在感が大きい一方で、曲順の流れが崩れにくい。ダンサブルなビート、反復するシンセのフレーズ、ボーカルの掛け合いが続き、80年代初頭の英ポップがどのようにクラブ感覚とラジオ向けの明快さを接続していったかが見えやすい。実際に聴くと、音数は多くても混み合いすぎず、各パートの役割がはっきりしている。そこがこの盤の聴きやすさにつながっている。

収録曲の印象

「The Sound of the Crowd」「Love Action (I Believe in Love)」「Open Your Heart」など、シングルとしても知られる曲が並び、どれもリズムの押し出しが強い。特にドラムマシンとシンセベースの組み合わせは、当時のディスコやニューウェイヴの要素を引きつつ、より乾いた質感に寄せている。ギターの扱いも控えめで、音の中心はあくまで電子楽器と声にある。

一方で、アルバムとしてはヒット曲だけを並べた印象にならず、曲間の温度差も適度にある。派手さのある曲と、少し引いた視点の曲が同居していて、1枚を通して聴くと当時の英国ポップの整理されたフォームが見えてくる。派手な装飾より、構成の明快さで押す作りだ。

この盤について

今回のUKオリジナル盤はVirginのV2192で、プリントされた歌詞インナー・スリーブ付き。ゲートフォールドのスパインには「De-Luxe V2192 ℗ and © 1981 Virgin Records Limited」と入っている。ラベルはVirginの1980年代初頭らしいグリーン/レッド系のデザインで、同時期のVirginアルバムに共通する意匠だ。なお、1981年表記の作品だが、USでは初回リリースが1982年2月中旬になっている。

『Dare』は、The Human Leagueの代表作であると同時に、シンセポップがチャートの中心へ入っていく過程を示す一枚でもある。実験寄りの電子音楽から、明快なポップソングへ。80年代初頭の英国らしい変化が、そのままアルバムの形に残っている。

トラックリスト

  1. A1 The Things That Dreams Are Made Of 4:14
  2. A2 Open Your Heart 3:53
  3. A3 The Sound Of The Crowd 3:56
  4. A4 Darkness 3:56
  5. A5 Do Or Die 5:23
  6. B1 Get Carter 1:02
  7. B2 I Am The Law 4:14
  8. B3 Seconds 4:58
  9. B4 Love Action (I Believe In Love) 4:58
  10. B5 Don't You Want Me 3:56

動画プレイリスト

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