The Orb - The Orb's Adventures Beyond The Ultraworld (1991)
The Orb『The Orb's Adventures Beyond The Ultraworld』(1991)
The Orbのデビュー作『The Orb's Adventures Beyond The Ultraworld』は、1991年のUKエレクトロニック・ミュージックを語るうえで外せない2枚組アルバムだ。アンビエント、ハウス、ダブ、ダウンテンポの要素を、長尺の構成とサンプル編集でつないでいく作りになっていて、のちに「アンビエント・ハウス」と呼ばれる流れの初期代表作として扱われている。The OrbはAlex Patersonを中心に始動したUKの電子音楽ユニットで、この作品はその出発点をそのまま示す内容になっている。
本作はEurope盤、Big LifeのBLRDLP 5。レーベルのクレジットからも、当時のBig Lifeが90年代初頭のアンダーグラウンド・ダンス・シーンに深く関わっていたことが分かる。製造表記はMade in Hollandで、英国流通はPolyGram Record Operationsを通じて行われていた。黒盤には「Special Classical Pressing」のステッカーが付く仕様があり、初期のUKプレスには茶色いヴァイナルの少数盤も存在する。そちらはラベル表記に差異がある点でも知られている。
アルバムの構成と聴きどころ
収録は全10曲ながら、実際には4面を「Earth Orbit」「Lunar Orbit」「Ultraworld Probe」「Ultraworld」と名付け、各面をひとつの長い流れとして聴かせる設計だ。Side Aの「Little Fluffy Clouds」は、このアルバムを象徴する代表曲としてよく知られている。Rickie Lee Jonesのインタビュー音源を用いたサンプル・ワークが印象的で、曲そのものがフックの強いシングルというより、断片の連なりで場面を作るタイプの楽曲になっている。
実際に聴くと、ビートが前面に出る場面と、空間の広がりを優先する場面が行き来する。クラブの床に置かれたスピーカーから鳴る音というより、音の層が少しずつ移動していく感覚が強い。ドラムやベースの輪郭ははっきりしているのに、上物にはラジオ音声、環境音、コラージュ的な断片が重なり、曲の境目が薄くなっていく。長時間かけて聴くことで、1曲ごとの独立性よりも、アルバム全体がひとつの移動記録のように見えてくる作りだ。
制作の背景と当時の位置づけ
制作面では、ロンドンの複数スタジオで録音・プログラミングされた断片をつなぎ合わせて組み上げられている。クレジットにはDo Not Erase、Marcus Studios、Berwick Street Studio、Lab Studio Berlinなどが並び、場所ごとに素材を集めて編集していったことが分かる。Jimmy Cautyが初期に関わったことでも知られるが、アルバムが形になっていく過程ではAlex Patersonを軸に、Kris Westonらの関与が重要だったとされる。
この時期のThe Orbは、単なるクラブ向けのダンス・アクトとは少し違う位置にいた。The KLFやColdcut、808 Stateといった同時代のUKエレクトロニック勢と並べて語られることは多いが、The Orbは特に長尺構成と環境音の扱いで独自性を出している。ダブの低音処理、アンビエントの持続、ハウスの反復を同一平面に置かず、曲ごとに距離感を変える手つきがこの作品でははっきりしている。
代表曲とエピソード
代表曲としては「Little Fluffy Clouds」に加えて、「A Huge Ever Growing Pulsating Brain That Rules from the Centre of the Ultraworld」も重要だ。後者はライブ感のある素材と編集の妙が前に出た楽曲で、当時のThe Orbが“クラブでの即効性”よりも“音の編集で空間を作る”方向へ進んでいたことを示している。サンプル使用をめぐる話題でも知られ、この時代の作品らしく、音源の引用と再構成が作品の核心になっている。
アルバムとしては、デビュー作でありながら完成度の高い方向性が最初から定まっているのが面白い。後年のThe Orbが展開していく長尺アンビエント、ダブ寄りの実験、コラージュ感覚の基礎が、この1枚にかなり揃っている。Alex Patersonがその後も唯一の継続メンバーとして活動を続けていくことを考えると、本作はThe Orbの出発点であると同時に、ユニットの基本語彙を最初に示した作品とも言える。
1991年の時点で、こうした構成のアルバムが英国のオフィシャル・チャートで29位まで入った事実も、当時の反応の大きさを物語る。クラブ文化の内部から出てきた音でありながら、リスニング・アルバムとしても成立していたところに、この作品の強さがある。
トラックリスト
- Orbits
- A1 Little Fluffy Clouds 4:26
- A2 Earth (Gaia) 9:48
- A3 Supernova At The End Of The Universe 11:56
- B1 Back Side Of The Moon 14:15
- B2 Spanish Castles In Space 15:06
- Ultraworlds
- C1 Perpetual Dawn 9:30
- C2 Into The Fourth Dimension 9:16
- C3 Outlands 8:23
- D1 Star 6 & 7 8 9 8:10
- D2 A Huge Ever Growing Pulsating Brain That Rules From The Centre Of The Ultraworld: Live Mix Mk 10 18:43
動画プレイリスト
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The Orb - Little Fluffy Clouds
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The Orb - Earth - Gaia
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The Orb - Supernova At The End Of The Universe
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The Orb - Back Side Of The Moon
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The Orb - Spanish Castles In Space
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The Orb - Perpetual Dawn
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The Orb - Into The Fourth Dimension
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The Orb - Outlands
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The Orb - Star 6 & 7 8 9
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The Orb - A Huge Ever Growing Pulsating Brain That Rules From The Centre Of The Ultraworld (Live)