The Railway Children - Reunion Wilderness (1987)
The Railway Children『Reunion Wilderness』について
The Railway Childrenは、1984年に英国ウィガンで結成された4人組で、Gary Newbyの歌とギターを軸に、Brian Bateman、Stephen Hull、Guy Keeganが支える編成だった。1987年にFactoryから発表された『Reunion Wilderness』は、彼らのファースト・アルバムとして位置づけられる作品で、バンドの出発点をそのまま記録したような一枚である。Factoryというレーベルの中でも、Joy DivisionやNew Orderのような重たい神話性より、より軽やかで直線的なギター・バンドの側面が見えやすいタイトルでもある。
Factoryはマンチェスター周辺の音楽史と強く結びついたレーベルだが、このアルバムが出た1987年時点では、ポストパンクの初期衝動から少し時間が経ち、インディー・ロックの輪郭がはっきりしてきた時期だった。The Railway Childrenはその流れの中で、鋭いギターの切れ味と、メロディを前に出す作りを両立させている。後年の再結成や再評価を待たずとも、当時の英国インディーの空気をよく伝える作品として見えてくる。
Factory作品としての立ち位置
Factoryというと、Peter Savilleのアートワークや、New Order、A Certain Ratio、Happy Mondaysといった看板アクトがまず思い浮かぶが、『Reunion Wilderness』はその中で、よりギター・バンド寄りの感触を持つアルバムである。レーベルの中でも、ダンスや実験性の強い作品群とは少し距離があり、1980年代後半の英国インディーらしい、バンドの演奏を前提にした作りが中心になっている。
バンドは後にVirginへ移り、その後のレーベル事情の変化もあって1992年にいったん解散している。そうした経緯を踏まえると、『Reunion Wilderness』は、彼らが最初に提示したバンド像をそのまま残した記録でもある。のちの活動を知ってから聴くと、ここにはすでにGary Newbyの歌の輪郭と、ギター・ポップに寄りすぎない硬質さが見えている。
サウンドの印象
実際に聴くと、まず耳に入るのはギターの刻み方と、リズムの推進力である。音の厚みで押すというより、フレーズの切り返しで曲を進めるタイプで、ベースとドラムもその流れを崩さずに支えている。Factoryの作品群の中では、装飾よりもバンドのまとまりが前に出るタイプで、歌がメロディを引っ張りながら、演奏はそれに追随するというより、並走している感覚がある。
また、UKインディーの同時代バンドと比べると、The Smithsのように言葉を強く前面化するでもなく、The Chameleonsのように広がりを作るでもなく、比較的まっすぐな構成で進む曲が多い印象が残る。そこにWigan出身らしい土地感を無理なく持ち込んでいる、という見え方もできる。大げさな演出を避けつつ、曲の骨組みをきちんと見せる作りである。
注目曲として聴こえるポイント
アルバム冒頭の推進力
このアルバムは、冒頭からバンドの基本姿勢がはっきり出る。ギターの立ち上がりが速く、歌も早めに前へ出てくるため、1曲目の時点で「この4人はこう鳴る」という輪郭がつかみやすい。音数を増やして盛り上げるのではなく、リフとリズムを整理しながら押し切る作りで、1987年の英国インディーの標準形のひとつとして聴ける。
ここで印象に残るのは、演奏の整い方である。荒さを残しつつ、曲の終わりまで崩れずに持っていく感覚があり、デビュー作らしい初期衝動と、すでにバンドとしてまとまっている感触が同居している。後の作品でより洗練された方向へ進む前段階として、この勢いは重要な要素だろう。
メロディが前に出る曲
一方で、アルバムの中には、ギターの勢いだけでなく、Gary Newbyのメロディ感覚がよく出る曲もある。そこでは、コード進行の動きよりも、歌の線のなめらかさが印象に残る。派手なフックを置くというより、何度か聴くうちに輪郭が見えてくるタイプのメロディで、インディー・ロックらしい控えめな存在感がある。
こうした曲では、The Railway Childrenが単なるギター・バンドではないことがわかる。演奏の勢いを保ちながらも、歌の流れをきちんと整えることで、アルバム全体に一定の統一感が生まれている。ヒット曲を大きく押し出す作品というより、アルバム単位で聴いたときに曲同士の並びで印象が固まる作りである。
1987年という時代の中で
1987年の英国インディーは、ポストパンク以後の整理が進み、ギター・バンドの表現が再び広がっていた時期だった。The Railway Childrenはその中で、シーンの中心にいるというより、Factoryというレーベルの文脈の中で独自の位置を取っていた。New Orderのようなクラブ感覚とも、The Durutti Columnのような余白とも違う、バンド演奏の直球さがある。
その意味で『Reunion Wilderness』は、Factoryの看板だけでは説明しきれない、もう一つの英国インディーの姿を示す作品だと言える。華やかな逸話よりも、4人編成のバンドが最初にきちんと形にしたアルバムとして見ると、この作品の役割はわかりやすい。後年に振り返っても、1980年代後半のUKロックの空気を淡々と閉じ込めた一枚として残っている。
トラックリスト
- A1 Another Town 2:55
- A2 The First Notebook 3:56
- A3 Railroad Side 3:17
- A4 Careful 3:52
- B1 Brighter 4:54
- B2 Big Hands Of Freedom 3:55
- B3 Listen On 2:57
動画
- The Railway Children - Brighter (Stereo)
- The Railway Children - Careful (US Mix)
- The Railway Children - The First Notebook (US Mix)
- Another Town
- Railroad Side
- Big Hands Of Freedom
- Listen On
- Gentle Sound
- History Burns
- Content
- Darkness & Colour