The Smiths - Meat Is Murder (1985)
The Smiths 1985

The Smiths - Meat Is Murder (1985)

Rock Indie Rock Alternative Rock

The Smiths『Meat Is Murder』レビュー

The Smithsの2作目のスタジオ・アルバム『Meat Is Murder』は、1985年に発表された作品で、バンドの中でも政治性と社会意識がもっとも前面に出た一枚として知られている。モリッシーの言葉数の多い歌詞と、ジョニー・マーのギターが作る明快な旋律が、ここではよりはっきりした輪郭でぶつかり合う。内省だけでなく、学校体罰、戦争、菜食主義、労働者階級の閉塞感といった題材が並び、The Smithsのイメージを大きく広げたアルバムでもある。

作品の位置づけ

デビュー作『The Smiths』で確立したバンドの基本線を受けて、このアルバムではサウンドの厚みが増している。録音はリヴァプールのAmazon StudiosとサリーのRidge Farmで行われ、ミックスはロンドンのIsland Studiosで冬の時期に進められた。演奏はいつもの4人の結束が中心だが、曲ごとの緊張感や展開の作り方には、前作よりも意図のはっきりした構成が感じられる。The Smithsの作品群の中でも、単なるギターポップの枠に収まりきらない方向へ踏み込んだ時期の記録として見やすい。

収録曲と聴きどころ

タイトル曲「Meat Is Murder」は、アルバム全体の主題をそのまま引き受けた曲で、ストレートなメッセージ性が印象に残る。代表曲としては「How Soon Is Now?」がよく挙がるが、もともとはシングルとしての存在感が強く、このアルバムの再発盤や後追いで聴く人にとっても重要な入口になっている。重くうねるギターの反復と、歌の感情を押し出す構成は、後のオルタナティヴ・ロックやインディー・ロックにもつながる要素として語られることが多い。

一方で、アルバム全体を通すと派手な瞬間だけを並べた作品ではない。歌詞の語り口は直接的な場面がありながら、音の作りはむしろ細かい。ジョニー・マーのギターは、単にコードを鳴らすのではなく、曲の空気を切り替える役目を持っていて、モリッシーの声がそこに乗ることで、皮肉や怒り、諦念の温度差がはっきりする。実際に聴くと、メロディの明るさと歌詞の内容がずれている場面が多く、そのずれがThe Smithsらしさとして機能している。

制作面のエピソード

制作に関しては、モリッシーがBBCの効果音レコードを持ち込み、曲作りの素材として使ったことが知られている。バンドの音楽が、単なるギター・ベース・ドラムの編成にとどまらず、外部の音素材まで取り込んで構成されている点は興味深い。ジャケットにはエミール・デ・アントニオ『In The Year Of The Pig』から引用された兵士の写真が使われており、反戦や反暴力のニュアンスを視覚的にも補強している。

発売当時の評価は一様ではなかったが、後年になるほど、政治的な主題を前面に出しながらも、ジョニー・マーの作曲とアレンジがしっかり支えている点が注目されている。The Smithsが、内省的な英国インディー・バンドという枠から、より広い社会的な文脈を背負う存在へ移っていく途中の作品として見ると、アルバムの輪郭がつかみやすい。

2009年US盤について

このレコードは2009年のUS盤再発で、Rhino Recordsからのリリース。180-gram仕様で、両面印刷の歌詞・クレジット付きダストカバーが付属する。オリジナルの1985年盤をそのまま復刻するというより、重量盤として扱いやすくした再発盤の性格が強い。Rhinoは再発やカタログ管理に強いレーベルで、この盤もThe Smithsの主要作を現代のフォーマットで聴けるように整えた一枚として位置づけられる。

レーベル表記はRhino Records、カタログ番号はR1 520965。US盤として流通したこの再発は、オリジナル盤の時代背景を保ちながら、音源を改めて手に取りやすくしたものとして見ておくとわかりやすい。The Smithsの中でも、『Meat Is Murder』は曲単位の人気だけでなく、アルバム全体の主張がはっきりした作品であり、バンドの表現を一段押し広げた記録になっている。

トラックリスト

  1. A1 The Headmaster Ritual 4:52
  2. A2 Rusholme Ruffians 4:20
  3. A3 I Want The One I Can't Have 3:14
  4. A4 What She Said 2:42
  5. A5 That Joke Isn't Funny Anymore 4:58
  6. B1 Nowhere Fast 2:37
  7. B2 Well I Wonder 4:00
  8. B3 Barbarism Begins At Home 6:57
  9. B4 Meat Is Murder 6:07

動画プレイリスト

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