Various - The Deer Hunter (Original Motion Picture Soundtrack) (1979)
『The Deer Hunter (Original Motion Picture Soundtrack)』について
Various名義の『The Deer Hunter (Original Motion Picture Soundtrack)』は、マイケル・チミノ監督の映画『ディア・ハンター』のためにまとめられた1979年のサウンドトラック盤だ。作品の中心には、スタンリー・マイヤーズが書いた「Cavatina」があり、この曲がのちに「The Theme from The Deer Hunter」として広く知られるようになった。ほかにも、ロシア正教の聖歌、結婚式の場面で演奏されるロシア民謡「カチューシャ」、葬儀の場面に使われた「Vechnaya Pamyat(永遠の記憶)」に対応する「Memory Eternal」など、映画の場面と結びついた曲が並ぶ。
制作背景・エピソード
「Cavatina」は、もともとマイヤーズが映画『The Walking Stick』(1970年)のために書いた曲だった。冒頭の数小節は、モーツァルトの「ラウダーテ・ドミヌム」の伴奏をホ長調に移したものとされる。クラシック・ギタリストのジョン・ウィリアムス(『スター・ウォーズ』の作曲家とは別人)は、レストランでマイヤーズがピアノで即興演奏したこの曲を耳にしたことをきっかけに、拡大したギター版を作成し、1971年のアルバム『Changes』に収録した。チミノはこの録音を聴いて映画のテーマに採用したという。プロデューサーのMichael Deeleyによれば、元の買い手に非公開の額が支払われたとも伝えられている。
サウンドトラックでは、「Cavatina」のほか、ロシア正教の葬送曲にあたる「Memory Eternal」や、劇中の結婚式で流れる「カチューシャ」など、映画内の特定の場面と結びついた素材が配置されている。ラストでは、葬儀のあとの朝食の席で、仲間たちが「God Bless America」を一緒に歌う。
時代の文脈
映画『ディア・ハンター』は1978年12月8日にロサンゼルスとニューヨークで先行公開され、1979年2月23日に全米で拡大公開された。ピッツバーグ近郊の鉄鋼の町、ペンシルヴェニア州クレアトンを舞台に、ベトナム戦争へ送られたロシア系移民の若者たちの姿を描き、出演はロバート・デ・ニーロ、クリストファー・ウォーケン、ジョン・サヴェージ、メリル・ストリープ、そしてこれが遺作となったジョン・カザール。アカデミー賞では作品賞、監督賞、助演男優賞、録音賞、編集賞の5部門を受賞している。
一方で、ベトコンが捕虜にロシアン・ルーレットを強いる場面は、ベトナム戦争でそうした事例が記録されていないとして批判も受けた。ピュリツァー賞記者のピーター・アーネットは、その中心にある比喩を「血塗られた嘘」と呼び、ロジャー・イーバートは文字どおりの描写ではなく強力な象徴として擁護している。
後世への影響
この作品を通じて「Cavatina」は広く知られるようになった。1979年にはジョン・ウィリアムスのギター版が全英トップ20入りし、The Shadowsによるエレキ・ギター版は全英9位、オランダでは1位を記録している。Iris Williamsの歌入り版もトップ20入りした。歌入り版の土台になったのは、クレオ・レーンが1973年に詞を付けて「He Was Beautiful」として録音した版だ。
その後も「Cavatina」はクラシック・ギターの定番として扱われ、Göran Söllscher、Angel Romero、Xuefei Yangらが録音している。映画『ジャーヘッド』(2005年)でも使われ、街角のギター弾きの定番曲としても知られるようになった。
トラックリスト
- A1 Cavatina 3:32
- A2 Praise The Name Of The Lord 1:44
- A3 Troika 2:20
- A4 Katyusha 1:38
- A5 Struggling Ahead 3:04
- B1 Sarabande 2:54
- B2 Waiting His Turn 1:27
- B3 Memory Eternal 1:13
- B4 God Bless America 1:45
- B5 Cavatina (Reprise) 3:54