Vinyl Record Reviews
Merry Clayton(メリー・クレイトン)は、1948年12月25日生まれのニューオーリンズ出身のソウル/R&Bシンガー、女優だ。ゴスペルを出自に持ち、ファンク、ソウル、リズム&ブルース、ディスコの現場で活動してきた。
14歳だった1962年に、ボビー・ダーリンとのデュエット「Who Can I Count On? (When I Can't Count On You)」でデビューしている。その後はソロだけでなく、バック・シンガーとして多くの録音に参加した。
レイ・チャールズのバック・コーラスを務め、レイレッツの一員としても活動した。ニール・ヤングのデビュー作への参加もあり、レーナード・スキナード「Sweet Home Alabama」、トム・ジョーンズ、ジョー・コッカー、キャロル・キングの作品でも歌っている。
メリー・クレイトンを語るうえで外せないのが、1969年のローリング・ストーンズ「Gimme Shelter」だ。ミック・ジャガーとのデュエットは強い印象を残し、彼女の代表的な仕事として知られている。
録音時には真夜中に呼び出され、髪にカーラーを巻いたままスタジオへ向かい、数テイクで歌い切ったというエピソードが伝わっている。2013年のドキュメンタリー『20 Feet from Stardom』でも大きく取り上げられ、バック・シンガーとしての仕事に光が当たった。
ソロでは1970年にOde Recordsから『Gimme Shelter』でアルバム・デビューした。表題曲のカヴァーはHot 100で73位を記録している。彼女名義でHot 100入りした5曲のシングルの最初の曲でもある。
その後は『Celebration』(1971年)、『Merry Clayton』(1971年)、『Keep Your Eye on the Sparrow』(1975年)、『Emotion』(1979年)を発表した。1987年には『ダーティ・ダンシング』のサウンドトラック収録曲「Yes」がHot 100で45位に入っている。
1972年には、ザ・フーのロック・オペラ『Tommy』ロンドン初演で「アシッド・クイーン」役を担当した。歌手としての活動に加えて、1987年にはテレビドラマ『Cagney & Lacey』などで女優としても活動している。
2014年6月16日には交通事故で重傷を負い、両脚の膝から下を切断した。その後、2021年にアルバム『Beautiful Scars』で復帰している。
メリー・クレイトンは、ゴスペルの背景を持つ歌唱と、ソウル、R&B、ファンク、ディスコの現場での実績を重ねてきたシンガーだ。リードでもバックでも存在感があり、特に大物アーティストの録音で声を残してきた点が特徴として挙げられる。
ソロ歌手としてのディスコグラフィーと並んで、数多くの名盤や名演の背後にいる人物としても重要だ。表に出るヒット曲と、セッションやコーラスで支えた仕事の両方が、彼女のキャリアを形作っている。