Vinyl Record Reviews
Robert Palmerは、1949年1月19日にイングランド・ヨークシャー州バトリーで生まれた、英国のポップロック・シンガー/ソングライター/ミュージシャンだ。ロック、ファンク/ソウルを軸にしながら、ポップロック、ファンク、R&B、レゲエ、ニュー・ウェイヴまで取り込んだ作品を残している。
父親が海軍情報部に勤めていたことから、幼少期はマルタで過ごした。そこで米軍放送を通じてブルース、ソウル、ジャズに親しんだという。12歳で英国に戻り、15歳で最初のバンド、ザ・マンドレイクスに加入した。
その後、1969年にアラン・ボウン・セットへ参加し、1970年にはジャズ・ロック・グループのダダ、続いてエルキー・ブルックスと組んだソウル/ロック・バンド、ヴィネガー・ジョーで活動した。ここまでの経歴を見ると、早い段階からロックだけでなくソウルやジャズ寄りの現場を行き来していたことがわかる。
1974年にIsland Recordsと契約し、ソロ・デビュー作『Sneakin' Sally Through the Alley』を発表した。この作品ではザ・ミーターズやリトル・フィートのローウェル・ジョージらと共演していて、ニューオーリンズ・ファンクに正面から向き合っている。商業的には大きな成功にはつながらなかったが、その後の方向性を示す一枚になっている。
続く『Pressure Drop』『Double Fun』を経て、「Every Kinda People」で全米トップ20入りを果たした。ここでポップな感触とR&B寄りの要素が前に出てきて、ソロ・アーティストとしての存在感が増していく。
1979年の『Secrets』からは「Bad Case of Loving You」が全米14位のヒットになった。1980年の『Clues』からは「Johnny and Mary」「Looking for Clues」が英米でヒットしている。この時期の作品では、R&B、ファンク、レゲエ、ニュー・ウェイヴを混ぜる作り方がはっきりしている。
ロバート・パーマーの音楽は、ジャンルをひとつに固定せず、曲ごとに要素を切り替えていく作りが特徴的だ。ロックの骨格を保ちながら、リズムやアレンジでファンクやソウルの感覚を入れていくやり方が目立つ。
1985年、デュラン・デュランが活動を休止していた時期に、アンディ・テイラー、ジョン・テイラー、シックのトニー・トンプソンとザ・パワー・ステーションを結成した。アルバムは全米トップ10入りし、「Some Like It Hot」は全米6位を記録している。
同じ年のソロ作『Riptide』からは「Addicted to Love」が全米1位、全英5位の大ヒットになった。テレンス・ドノヴァンが監督したミュージック・ビデオでは、同じ装いの女性モデルたちがバンドを演じる演出が使われ、1980年代を代表する映像のひとつとして知られている。
この曲で1987年にグラミー賞の最優秀男性ロック・ボーカル・パフォーマンスを受賞し、1988年の『Heavy Nova』からの「Simply Irresistible」でも同賞を受賞した。「Simply Irresistible」は全米2位まで上昇している。
1990年代以降は、ティン・パン・アレーのスタンダード、ボブ・ディラン、マーヴィン・ゲイのカバーなど、幅広い題材に取り組んだ。オリジナル曲だけでなく、既存曲を自分の声とアレンジで再構成する動きが続いている。
1986年にはスイスのルガーノへ移り、1993年にスイス国籍を取得した。2003年9月26日、パリのホテルで心臓発作のため54歳で亡くなっている。ロンドンでのテレビ出演収録を終えた直後の出来事だった。
ロバート・パーマーは、ソウルやファンクの要素をロックの中に自然に混ぜていったシンガーだ。派手なヒット曲だけでなく、初期のファンク志向の作品から1980年代のポップロックまで、流れで追うと音楽性の変化がはっきり見えてくる。