Accept - Breaker (1981)
Accept『Breaker』(1981) レビュー
ドイツのヘヴィメタル・バンド、Acceptが1981年に発表した3作目のスタジオ・アルバムが『Breaker』である。前作『I'm a Rebel』で外部の意向が強いポップ寄りの方向へ振れたあと、本作ではバンド自身の感覚を前面に戻し、のちのAccept像につながる硬質な演奏と攻撃的な楽曲構成をはっきり示している。Acceptの初期を語るうえで、かなり重要な位置にある1枚だ。
制作背景と録音
録音は1980年12月から1981年1月にかけて、ドイツ・ヴィルスターのDelta-Studioで行われた。クレジット上のプロデュースはDirk Steffens、そしてエンジニア/ミックスとしてMichael Wagenerが初めて本格的に関わった作品でもある。のちにメタル・プロデューサーとして知られるWagenerの仕事がここで始まっている点も見逃せない。
バンド編成はUdo Dirkschneider(Vo)、Wolf Hoffmann(Gt)、Jörg Fischer(Gt)、Peter Baltes(Ba)、Stefan Kaufmann(Dr)という布陣。前作から大きな変更はなく、演奏面のまとまりがそのまま音像に出ている。レコードのクレジットでは、A面1〜5曲目、B面1〜5曲目ともにHamburgのOktaveで仕上げられたことが記されている。
音楽性と聴きどころ
『Breaker』の特徴は、曲の立ち上がりからリフ主体で押していく構成にある。ギターは輪郭がはっきりしていて、リズムの刻みも細かい。Udoの声はこの時期らしい荒さを保ちながら、言葉の切れ味を前に出していく。前作のような商業性を意識した整え方よりも、バンドの生々しさが優先されている印象が強い。
アルバム全体を通すと、のちの『Restless and Wild』や『Balls to the Wall』へ続く土台が、すでにかなり見えている。ヨーロッパの初期ヘヴィメタルらしい直線的な疾走感がありつつ、ハードロックの骨格も残しているため、当時の英国勢やNWOBHM周辺と並べて語られることも多い。Judas Priestのような二本ギターの鋭さ、あるいはScorpions初期に通じるドイツ勢の硬質さを思わせる部分もある。
代表曲「Son of a Bitch」
本作を語るうえで外せないのが「Son of a Bitch」だ。レコード会社批判を含む歌詞内容のため、当初は歌詞を印刷せずに「Censored」とだけ表記したというエピソードが残っている。こうした扱いがかえって話題を呼び、Acceptの過激さを象徴する曲として知られるようになった。英国市場向けには歌詞を穏当にした別バージョン「Born to Be Whipped」も用意されている。
この曲は、単に挑発的なだけでなく、バンドが外からの要求に従う姿勢をやめ、自分たちの音を押し出そうとした当時の空気をそのまま背負っている。『Breaker』全体の方向性を端的に示す1曲でもある。
アルバムの位置づけ
Acceptにとって『Breaker』は、初期の試行錯誤を抜けて本格的なメタル・バンドとしての輪郭を固めた作品として扱われている。翌年の『Restless and Wild』でさらに加速するが、その前段階として本作が果たした役割は大きい。のちにバンド名を広く知らしめることになるUdoの歌、Wolf Hoffmannのギター、Peter BaltesとStefan Kaufmannのリズムが、ここでかなり明確な形になっている。
なお、今回のドイツ盤はBrainの黒ラベル期にあたる。1980年代のBrain標準デザインで、同じ『Breaker』でもオランダ盤とはラベル表記が異なる。この盤では「Made in W.-Germany」と記され、別バージョンのオランダ盤とはマトリクス表記にも差がある。コレクション上は細部の違いがはっきりした1枚だ。
まとめ
『Breaker』は、Acceptが初期の迷いを振り切り、ヘヴィメタル・バンドとしての輪郭を固めた1981年の作品である。派手な装飾よりも、リフ、リズム、声の圧を前に出した内容で、のちの黄金期へつながる入口に置かれている。過激な歌詞で知られる「Son of a Bitch」を含め、バンドの姿勢がそのまま記録されたアルバムだ。
トラックリスト
- A1 Starlight 3:52
- A2 Breaker 3:35
- A3 Run If You Can 4:49
- A4 Can't Stand The Night 5:22
- A5 Son Of A Bitch 3:55
- B1 Burning 5:15
- B2 Feelings 4:48
- B3 Midnight Highway 3:58
- B4 Breaking Up Again 4:49
- B5 Down And Out 3:42