Black Sabbath - Paranoid (1970)
Black Sabbath 1970

Black Sabbath - Paranoid (1970)

Rock Hard Rock Heavy Metal

Black Sabbath『Paranoid』――ヘヴィメタルの輪郭を決めた1970年作

Black Sabbathの『Paranoid』は、1970年9月にUKで発表されたセカンド・アルバムだ。デビュー作から間を置かずに制作されながら、バンドの持つ重いリフ、暗い空気、そして明快なフックを一気に結晶させた作品として知られている。のちにヘヴィメタルの出発点のひとつと見なされるのも自然で、Black Sabbathというバンド名そのものが、ここで強い輪郭を持って定着していく。

Black Sabbathは、1968年にバーミンガムでTony Iommi、Ozzy Osbourne、Geezer Butler、Bill Wardによって結成された。もともとはブルース色の強いバンドから出発しながら、より重く、より陰影のある方向へと進んだ経緯がある。『Paranoid』は、その変化がはっきり表れた一枚で、前作よりも楽曲の構成が締まり、リフ中心の作りがより明確になっている。

収録曲と代表曲

このアルバムには、「War Pigs」「Paranoid」「Iron Man」「Fairies Wear Boots」といった代表曲が並ぶ。中でも「Paranoid」は、アルバム制作の終盤に書かれた曲として知られ、結果的にタイトル曲になり、バンドにとって唯一のUKシングル・トップ20ヒットにもなった。UKチャートでは4位まで上昇しており、Black Sabbathの楽曲の中でも最も広く知られる1曲といえる。

「War Pigs」は反戦の視点が前面に出た曲で、重いギター・リフと歌詞の内容が強く結びついている。「Iron Man」は、粘りのあるリフと印象的な歌メロが軸になっていて、後年のメタル・バンドが参照したであろう要素がはっきり見える。「Fairies Wear Boots」も含め、どの曲も単なる“速さ”ではなく、リフの重さと展開の押し引きで聴かせる作りになっている。

当時の位置づけ

『Paranoid』は、Black Sabbathにとって初期の決定盤のひとつであり、バンドの名前を一気に広めた作品でもある。UKではアルバム・チャート1位を獲得し、同時代のハードロックの中でも強い存在感を示した。Led ZeppelinやDeep Purpleがロックの拡張を進めていた時期に、Black Sabbathはもっと低く、もっと重い方向へ振り切った印象がある。その差が、『Paranoid』ではかなりわかりやすい。

録音はRegent SoundとIsland Studiosで行われ、演奏の生々しさがそのまま残る。整いすぎた音ではなく、ギターの歪み、ベースのうねり、ドラムの乾いた押し出しが前に出てくる作りで、初期Sabbathらしい緊張感がある。聴いていると、曲ごとの完成度以上に、バンド全体の呼吸がそのまま記録されている感じが強い。

オリジナル盤としての特徴

このUK盤はVertigoのカタログ番号6360 011で、初回仕様ではA面に大きな“swirl”ラベルが使われている。B面ラベルでは「Vertigo」の位置に初期と後発で差があり、初回はスピンドル穴の下、後のプレスでは上に置かれている。マット仕上げのゲートフォールド・ジャケットで、内袋のクレジットに「Management / Jim Simpson, Big Bear, Birmingham」が入っている点も初期仕様の特徴だ。後年のジャケットではこの表記が外され、のちにはラミネート仕様にも変わっていく。

また、A面からB面へ移る構成にも初期盤らしい細かな差がある。収録の流れの中で「Hand of Doom」から「Rat Salad」へのつながりは、盤によっては溝の切れ目が見えない場合があり、マスターやプレスの違いがうかがえる。レコードとして見ると、音楽そのものだけでなく、初期プレスならではの仕様差を追う楽しみもある。

後年への影響

『Paranoid』は、後のヘヴィメタルやドゥーム・メタルに強い影響を与えた作品として語られることが多い。Tony Iommiの低く構えたリフ作り、Geezer Butlerの歌うようなベース、Bill Wardの硬すぎないドラム、Ozzy Osbourneの素朴な歌い回し。その組み合わせが、派手さよりも重心の低さで押すスタイルを形にしている。

結果として『Paranoid』は、Black Sabbathの中でも最も象徴的なアルバムのひとつになった。デビュー作の延長線上にありながら、曲の強さ、アルバムとしてのまとまり、そして後世への影響力まで含めて、バンドの代表作という位置づけがはっきりしている一枚だ。

トラックリスト

  1. A1 War Pigs
  2. A2 Paranoid
  3. A3 Planet Caravan
  4. A4 Iron Man
  5. B1 Electric Funeral
  6. B2 Hand Of Doom
  7. B3 Rat Salad
  8. B4 Fairies Wear Boots

動画

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