Alton Ellis - Sings Rock And Soul (1967)
Alton Ellis 1967

Alton Ellis - Sings Rock And Soul (1967)

Funk / Soul Reggae Soul Rocksteady

Alton Ellis『Sings Rock And Soul』

1967年にUKのCoxsone Recordsから出たAlton Ellisの『Sings Rock And Soul』は、ジャマイカのロックステディ期を代表する初のフル・アルバムとして知られる作品だ。録音はキングストンのJamaica Recording Studio(13 Brentford Road)で行われ、制作はClement “Coxsone” Dodd。Studio One専属のハウス・バンドであるSoul Vendors/Sound Dimensionの演奏が支えている。

制作背景と録音のエピソード

この作品の背景には、Alton Ellisが1966年に録音した「Get Ready - Rocksteady」の逸話がある。セッションでベーシストが来ず、オルガン奏者のJackie Mittooが代わりにベースを弾いたところ、速いテンポについていけず、結果としてゆったりしたリズムが生まれた、という話が伝えられている。アルバムには、そうした流れの中で育った楽曲群がまとまっている。

収録曲は、Alton Ellis自身の「I'm Just A Guy」「I'm Still In Love With You」「Mad Mad Mad」などに加え、当時の米英ポップスやソウルのカバーも含む。「Whiter Shade Of Pale」「Massachusetts」「Get Ready」「Ain't That Loving You」「Baby Now That I Found You」といった曲を、ロックステディの形に置き換えて収めている点が特徴的だ。UK盤のCoxsone Records盤(CSL 8008)は、ラミネート加工のフロント・カバー仕様で出ており、初回プレスには銀色のクレジット表記がある。

時代の文脈

1966年から1968年にかけてのロックステディ最盛期に出た一枚だ。スカの狂騒から一転し、キングストンの猛暑やルードボーイたちのクールな気風、そしてアメリカのモータウンやスタックスといったソウル/R&Bへの憧憬が結びつき、優雅で官能的なミディアム・テンポのスタイルが確立された時期にあたる。タイトルが『Sings Rock And Soul』であることも、ジャマイカ独自のロックステディとアメリカのソウルを高次元で融合させた宣言として分かりやすい。Alton Ellisが「ミスター・ソウル・オブ・ジャマイカ」と呼ばれる決定打となった作品でもある。

Alton Ellisは、Studio Oneでの活動を経て、のちにTreasure Isleへ移るが、この時期はStudio Oneでの仕事が最も充実していた時代だ。1967年にはSoul VendorsとしてUKツアーにも参加している。アルバムに入った曲の多くは、当時の彼の活動と地続きにある。

後世への影響

収録曲の中では「I'm Still In Love With You」の流れが特に長く残った。Doreen Shafferとのデュエット版を経て、1977年にはTrinityの「Three Piece Suit」、さらにAlthea & Donnaの全英1位曲「Uptown Top Ranking」へつながっていく。2002年にはSean PaulがSashaを迎えたカバーで全米Billboard Top 10入りも果たしている。

「Mad Mad Mad」から生まれた「Mad Mad」リディムも極めて重要で、1980年代初頭にHenry “Junjo” Lawesが「Diseases」リディムとして再構築した。Michigan & Smiley「Diseases」やYellowman「Zungguzungguguzungguzeng」といったダンスホール期の重要曲へつながった。さらに、このフレーズはBDP「Remix for P Is Free」、Snoop Dogg「Pump Pump」、Black Star「Definition」など、USヒップホップでも度々引用・サンプリングされている。

「I'm Just A Guy」も、Studio Oneを代表する「Just A Guy」リディムとして、後の世代まで歌い継がれた。こうした点からも、『Sings Rock And Soul』は、Alton Ellisの代表作であるだけでなく、後のジャマイカ音楽とヒップホップの両方に接続する基礎資料のような存在になっている。

ひとこと

甘いファルセットと温かみのある中低域の歌声、Jackie Mittooのオルガン、そして最小限の音数で組まれた演奏が際立つ。『Sings Rock And Soul』は、そうしたロックステディの「引き算の美学」が凝縮された1967年の金字塔的傑作だ。英Coxsone Recordsのオリジナル盤(CSL 8008)は、現在の中古市場でも最高峰のレア盤としてコレクターの間で高く評価されている。

トラックリスト

  1. A1 I'm Just A Guy
  2. A2 Let Him Try
  3. A3 Ain't That Loving You
  4. A4 So Much Love
  5. A5 Whiter Shade Of Pale
  6. A6 Massachusetts
  7. B1 Get Ready
  8. B2 I'm Still In Love With You
  9. B3 Never Love Again
  10. B4 Mad Mad Mad
  11. B5 Baby Now That I Found You
  12. B6 Why

動画プレイリスト

公開: 2026年10月
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