Bar-Kays - Too Hot To Stop (1976)
Bar-Kays『Too Hot To Stop』
メンフィス・ソウルを代表するファンク・グループ、Bar-Kays(バーケイズ)が1976年にMercury Recordsからリリースした傑作アルバム『Too Hot To Stop』。名門Stax Recordsのハウス・バンドとして活動を開始し、1967年にオーティス・レディングと共に遭遇した悲劇的な飛行機事故を乗り越えて再起した彼らが、1970年代後半のスタジアム・ファンク黄金期を切り拓いた記念碑的作品だ。録音はメンフィスの名門Ardent Studios、プロデュースは名匠アレン・ジョーンズ(Allen Jones)が担当した。
制作背景・エピソード
本作の誕生前夜、彼らの本拠地であったStax Recordsが1975年末に財政破綻により倒産。グループは最大の危機に直面するが、奇跡の生存者である創設メンバーのベーシスト、ジェームス・アレキサンダー(James Alexander)と、圧倒的な声量とカリスマ性を誇るリード・シンガーのラリー・ドッドソン(Larry Dodson)を中心にバンドを強固に再編。名門Mercury Recordsとの契約を勝ち取った。
当時パーラメント/ファンカデリック(P-Funk)の全米ツアーに帯同して受けた強烈なインスピレーションを糧に、泥臭いメンフィス・サザン・ソウルから、オハイオ・プレイヤーズやアース・ウインド&ファイアーと堂々渡り合うヘヴィでド派手なブラス・ファンクへと劇的な進化を遂げた。
時代の文脈と収録曲の魅力
1976年はディスコ・ブームが本格化し、ファンク・バンドがアリーナ級のスペクタクルを展開していた過渡期。本作は米ビルボードR&Bアルバム・チャートで最高8位まで駆け上がり、見事ゴールド・ディスクを獲得。Staxの崩壊という巨大な逆境を跳ね返し、70年代末から80年代のエレクトリック・ファンク覇権へと続く大快進撃の狼煙を上げた。
オープニングを飾るタイトル曲「Too Hot To Stop (Part 1)」(A1)は、重厚なスラップ・ベース、切れ味鋭いシンコペーテッド・ホーン、そしてラリー・ドッドソンのしゃがれた熱唱が炸裂するファンクの金字塔(後年、映画『スーパーバッド 童貞ウォーズ』のオープニング曲としても脚光を浴びた)。さらに全米R&Bシングル・チャート5位を記録したダンスフロア・アンセム「Shake Your Rump To The Funk」(B1)、タイトなドラム・ブレイクとブラスが疾走する「Bang, Bang (Stick'em Up)」(A3)など、圧倒的なハイテンション・トラックが並ぶ。
一方でスロウ〜ミディアムの洗練度も素晴らしく、甘美なアーバン・ソウル「Cozy」(A2)や妖艶な「Spellbound」(A4)、美しいファルセット・コーラスが光る「Summer Of Our Love」(B3)など、幅広い音楽性を示している。
後世への影響とサンプリング
本作の楽曲群は、ヒップホップ/ダンス・ミュージックの黄金期において絶大なリスペクトを受けている。「Too Hot To Stop」はToo $hort、MC Lyte、Yo-Yoらにサンプリングされ、「Cozy」や「Spellbound」もChristina MilianをはじめとするR&B/ヒップホップ・プロデューサーたちに引用され続けてきた。メンフィスの伝統的な土着性と最先端のド派手なスタジアム・グルーヴが見事に結実した、70sファンク史に燦然と輝く名盤である。
トラックリスト
- A1 Too Hot To Stop (Part 1) 6:27
- A2 Cozy 3:31
- A3 Bang, Bang (Stick'em Up) 3:44
- A4 Spellbound 5:04
- B1 Shake Your Rump To The Funk 3:49
- B2 You're So Sexy 3:48
- B3 Summer Of Our Love 4:22
- B4 Whitehouseorgy 4:00
動画プレイリスト
このアーティストについて
Bar-Kaysは、1960年代半ばにテネシー州メンフィスで結成されたファンク/ソウル・グループだ。もともとはStax Recordsのセッション・バンド、バックア...
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