Beastie Boys - The Mix-Up (2007)
Beastie Boys 2007

Beastie Boys - The Mix-Up (2007)

Funk / Soul Experimental

Beastie Boys『The Mix-Up』

Beastie Boysが2007年にCapitol Recordsから発表した7作目のスタジオ・アルバム。全編インストゥルメンタルで、録音はニューヨークの自前スタジオ、Oscilloscope Laboratoriesで2006年から2007年にかけて行われた。プロデュースはメンバー自身で、演奏の中心はアドロックのギター、MCAのベースとアップライト・ベース、マイクDのドラム。そこにマニー・マークがクラヴィネット、ローズ、ファルフィッサで加わり、数曲では共作者にも名を連ねている。さらにアルフレド・オルティスがパーカッションで参加している。

制作背景と録音時のエピソード

制作のきっかけについてアドロックは、前作『To the 5 Boroughs』が全編ラップだったため、今回は楽器で何かやってみたくなった、と語っている。実際に始めてみると手応えがあり、そのまま続けたという流れ。3人は何年も一緒に音楽を作っていなかったこともあり、コンピューターから離れて、実際の楽器で即興する感覚を求めていたという。

制作上のルールもはっきりしていた。MCAは、古いNeveのコンソールやアナログ機材、60〜70年代の楽器を使い、サンプリング、ターンテーブル、ヴォーカルを使わない縛りを設けたと説明し、「古い機材を使うと、違うやり方で作業することになる」と話している。マイクDとアドロックは2012年に、インストにすることを強く主張したのはMCAで、「インストじゃなきゃだめだ」と2人の案を退けた、と振り返っている。アドロックは「インストのレコードを作るなら、ジャズマンのような格好をするべきだ」と考え、メンバーはeBayや古着屋で集めた1956〜1964年の服だけを着て、週5日スタジオに通った。MCAは、そうした要素が音にも影響していると話している。

アルバムの制作方針は、明確なコンセプトを掲げるよりも、ライヴで直接的で楽しいものにすることへ向いていた。アドロックは目標としてハービー・ハンコック『Head Hunters』やミーターズを挙げつつ、ジミ・ヘンドリックス、ジャー・ウォブル、ロン・カーター、エルトン・ジョン、スティーヴィー・ワンダーなど、無視できない影響が多かったとも書いている。録音はOscilloscope Laboratories、マスタリングはSterling Soundで行われた。

時代の文脈

Beastie Boysは以前から『Check Your Head』や『Ill Communication』にインスト曲を入れており、それらを集めた『The In Sound From Way Out!』も1996年に出していた。『The Mix-Up』は、それを1枚まるごとでやった作品。マイクDは、この作品がヒップホップへの批判ではなく、ヒップホップは「進化と革新で成り立っている数少ない音楽のひとつ」だと語っている。

全編インストゥルメンタルという内容は、ファンの間で「なぜ3人がラップしないのか」という戸惑いも呼んだ。2007年6月26日のリリースで、全米ビルボード200では15位、初週売上は約4万4000枚で、バンドの全米アルバムとしては最も低い順位だった。2008年の第50回グラミー賞では最優秀ポップ・インストゥルメンタル・アルバム賞を受賞している。このあと2011年の『Hot Sauce Committee Part Two』が最後のアルバムとなり、2012年にMCAが亡くなって、グループは活動を終えた。

曲の聴きどころとして語られた点

「Electric Worm」は、ワウをかけたオルガンとギターがウォーキング・ベースの上で絡む70年代ジャズ・ファンク風の曲として取り上げられている。「14th St. Break」は、フィードバック、不気味なキーボード、歪んだギターのメロディが印象的とされる。ほかにも、ジミー・スミス風のハモンドのグルーヴを基調にしつつ、「The Rat Cage」や「Off The Grid」のように予想外の方向へ展開する曲があると評されている。

批評面では、Uncut誌が「最高のレコード・コレクションを、音を愛する連中がすっかり消化して作り直したもの」と評した一方、NMEやPitchforkは厳しい反応を示した。シングルは「Electric Worm」と「Off The Grid」。

作品情報

  • アーティスト: Beastie Boys
  • タイトル: 『The Mix-Up』
  • リリース年: 2007年
  • リリース国: US
  • レーベル: Capitol Records

トラックリスト

  1. A1 B For My Name
  2. A2 14th St. Break
  3. A3 Suco De Tangerina
  4. A4 The Gala Event
  5. A5 Electric Worm
  6. A6 Freaky Hijiki
  7. B1 Off The Grid
  8. B2 The Rat Cage
  9. B3 The Melee
  10. B4 Dramastically Different
  11. B5 The Cousin Of Death
  12. B6 The Kangaroo Rat

動画プレイリスト

公開: 2026年10月

このアーティストについて

Beastie Boys

Beastie Boys

Beastie Boysは、1981年にニューヨークで結成されたアメリカのヒップホップ・バンドだ。もともとはハードコア・パンクの編成から始まり、1983年に最初...

Beastie Boys のプロフィール・作品一覧

Beastie Boys の他のレビュー

Share
戻る

あわせて聴きたい "Experimental"

toast