Black Widow - Black Widow (1970)
Black Widow 1970

Black Widow - Black Widow (1970)

Rock Prog Rock

Black Widow『Black Widow』について

Black Widowの『Black Widow』は、1970年に発表された2作目のアルバムで、英国レスター出身のバンドが持っていた初期の色合いを、そのままアルバム単位で確認できる作品だ。Repertoire Recordsからの1990年盤は、オリジナル盤から20年後の再発で、70年代初頭の英国プログレッシブ・ロックを改めて聴き直すうえで手に取りやすい形になっている。Black Widowは、もともとPesky Gee!の流れから1969年に結成されたバンドで、初期にはオカルト的なイメージでも知られた。そうした外側の話題性だけでなく、楽曲そのものが持つ構成の強さと、演奏のまとまりがこの時期の特徴になっている。

この『Black Widow』は、バンドにとって3枚のアルバムを残す中期の位置づけにある。デビュー作で打ち出した方向性を踏まえつつ、よりアルバム全体での流れを意識した作りに見える一枚だ。1970年という時期を考えると、英国ロックはハードロックの強度と、プログレッシブ・ロックの展開性が交差していた頃で、Black Widowもその文脈の中に置ける。Black Sabbathのような同時代のバンドと並べて語られることがあるのも、単にイメージ面だけではなく、重さと劇性を持った表現に共通点があるからだろう。

アルバム全体の印象

実際に聴くと、派手な技巧を前面に出すというより、曲ごとの空気を丁寧に積み上げていくタイプの作品として受け取れる。演奏はしっかりしていて、リズム隊が土台を作り、その上でボーカルと鍵盤、ギターが場面ごとに役割を変えていく。1曲ごとの起伏はあるが、アルバム全体では一本の流れが通っており、70年代初頭の英国バンドらしい「曲を並べる」というより「1枚を組み立てる」感覚が強い。1990年のRepertoire盤で聴くと、録音年代の古さはあるものの、音像は比較的聴き取りやすく、各パートの動きが追いやすい印象だ。

Black Widowは、後年の重厚なプログレというより、フォークやハードロック、サイケデリックな感触がまだ近い時代の空気をまとっている。そのため、楽曲の転調やテンポの変化も、過剰に複雑化するのではなく、劇的な場面転換として機能している。派手さよりも構成の運び、という聴き方が合う作品だと思う。

注目曲「Come to the Sabbath」

このバンドを語るうえで外せない代表曲が「Come to the Sabbath」だ。Black Widowの初期を象徴する曲として知られており、オカルト的な演出と結びついて語られることも多い。実際の音楽としては、単なる話題性の曲ではなく、リズムの重さと旋律のわかりやすさが両立している点が大きい。ボーカルの存在感が強く、曲の中で場面を引き締めている。

この曲は、バンドのイメージを決定づけた一方で、楽曲としてもアルバムの核になっている。演奏の流れに乗ると、サビに向かう緊張感がはっきりしていて、同時代の英国ロックが持っていた「暗さ」と「分かりやすいフック」の両方を感じやすい。Black Widowが単なる異色バンドではなく、曲作りの面でも記憶される存在であることを示す一曲だ。

アルバム内での聴きどころ

本作では、派手な一曲だけで押し切るのではなく、曲ごとに役割が分かれているのが面白い。動きのある曲ではバンドの推進力が出て、落ち着いた曲では歌と伴奏の間合いが前に出る。Clive JonesやGeoff Griffithを中心とした編成の中で、鍵盤の色づけやギターのリフが場面を作り、歌がその上を進む構図になっている。メンバー名だけを見ると人数の多いバンドだが、音の中では役割分担が比較的明確で、まとまりを失っていない。

また、Black Widowはのちに3作目まで活動を続けるが、この2作目では初期の勢いとアルバム作品としての整理が両立しているように聞こえる。デビュー作の延長線上にありながら、単なる焼き直しではなく、バンドの持つ語り口を少し広げた位置づけだろう。70年代初頭の英国プログレ周辺を掘るとき、名前だけでなく中身でも触れておきたい一枚である。

1990年盤について

Repertoire Recordsの1990年盤は、オリジナルの1970年盤からかなり後年の再発にあたる。こうした再発盤では、当時のLPをそのまま探すより入手しやすいことが多く、70年代初頭の作品を現在の耳で追う入口として機能している。Black Widowのように再評価の文脈で聴かれるバンドの場合、この種の再発が作品の存在感を支えてきた面もある。オリジナル当時の空気を残しつつ、後年のコレクション環境で接しやすい形に置き直された盤、という見方がしやすい。

『Black Widow』は、奇抜なイメージだけで片づけるには内容がしっかりしている作品だ。初期英国プログレの周辺で、重さ、演劇性、曲作りの輪郭を一緒に持ったアルバムとして、今でも一定の存在感を保っている。

トラックリスト

  1. A1 Tears And Wine
  2. A2 The Gypsy
  3. A3 Bridge Passage
  4. A4 When My Mind Was Young
  5. A5 The Journey
  6. B1 Poser
  7. B2 Mary Clark
  8. B3 Wait Until Tomorrow
  9. B4 An Afterthought
  10. B5 Legend Of Creation

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