Clearlight Symphony - Clear Light Symphony (1975)
Clearlight Symphony / Clear Light Symphony(1975年、Virgin Japan)
Clearlight Symphonyの「Clear Light Symphony」は、1975年にVirginから登場したフランスのプログレッシブ・ロック作品である。中心人物はキーボード奏者シリル・ヴェルドー(Cyrille Verdeaux)で、Clearlightという名義は当初このプロジェクト性の強い編成を示すものとして使われた。フランス、特にパリ周辺のアンダーグラウンド/プログレ文脈から出てきた作品で、Gong周辺の人脈を含む英仏混成のメンバーが参加している点も大きい。
この日本盤はVirginの初期カタログに属する一枚で、オリジナルは1975年。盤面のクレジットには「Made in Japan JPY 2,500」とあり、日本国内向けの当時のプレスであることがわかる。Virginはこの時期、まだ独立系レーベルとして実験色の強い作品を積極的に出していた時期で、本作もその流れの中にある。大作志向、長尺構成、演奏者の入れ替わりを含む流動的な編成など、70年代前半のプログレらしい要素がまとまっている。
作品の中身
収録内容は大きく二つの面で印象が分かれる。片面はシンフォニックな構成を持つ組曲的な流れで、キーボードを軸にした展開が中心になる。もう片面は、即興性の強いロック/ジャズ・フュージョン寄りの性格が前に出る。ひとつのアルバムの中で、整った構築感と、演奏の流れを重視したパートが並ぶ形だ。
参加メンバーにはSteve Hillage、Didier Malherbe、Tim BlakeといったGongの周辺人物が含まれ、フランス側からはChristian BouléやGilbert Artmanらが加わる。こうした顔ぶれのため、ギターの処理やフルート、シンセの質感にはGongに通じる空気がある一方で、単なるGongの延長には収まらない。クラシカルな組み立てと、ジャズ寄りの流動感が同居しているあたりが本作の核である。
当時の位置づけ
この作品は、Clearlightにとって出発点にあたる重要作である。後年のアンビエントやニューエイジ方面から語られることもあるが、1975年の時点ではまずプログレッシブ・ロックの文脈で受け止められた。Virgin初期のカタログにおいても、より実験的で長尺の作品群の一角を占める存在で、同時代のGong、Soft Machine、あるいはフランスのMagma周辺と並べて語られることが多い。
制作は1973年から74年にかけて英KaleidophonとThe Manorで進められたとされ、英仏のミュージシャンが集まる形で完成した。曲順については後に入れ替えが行われ、Gong参加面がA面に置かれる形になったことも知られている。Virgin側が当時の注目度や作品の流れを意識して並びを調整した、そんな背景が見えてくる。
日本盤としての見どころ
1975年の日本盤Virginは、初期Virginらしいレーベルの空気をそのまま持ち込んだ一枚でもある。Virgin初期のレーベルデザインは時期によって複数あるが、この1975年という年は、ちょうどデザインの移行期にあたる。日本盤では、英国盤とは違うプレス事情や帯・解説の付属で受け取られた可能性が高く、当時の国内リスナーにとっては輸入盤的な感覚もあったはずだ。
再発ではなく1975年盤そのものなので、後年のリマスター盤のような音作りの違いは前提にしなくてよい。70年代中盤のVirgin作品らしい、演奏の生々しさとスタジオ録音の広がりがそのまま出ている。特にキーボードの層、ギターの伸び、フルートや管楽器の入り方は、当時の録音環境込みで聴くと輪郭がつかみやすい。
聴きどころ
- シンフォニックな組曲部分の、キーボード主体の構成感
- Gong人脈の参加で生まれる、スペースロック寄りの浮遊感
- 片面ごとに性格が変わる、アルバム全体の対比
- フランスのプログレ作品らしい、英ロック直系とは少し違う音の運び
代表曲を一曲だけ切り出して語るタイプの作品ではなく、アルバム全体の流れで聴く性格が強い。とはいえ、Clearlightという名義が最初の入口でありながら、その後のフランス・プログレや宇宙的なサイケデリアに接続していく起点として、この一枚の存在感は大きい。1975年のVirgin、パリ発のプロジェクト、英仏混成の演奏陣、その組み合わせがそのまま盤に刻まれた作品である。
トラックリスト
- A Clear Light Symphony Part. 1 20:12
- B Clear Light Symphony Part. 2 20:35