Blondie - Parallel Lines (1978)
Blondie『Parallel Lines』(1978) レビュー
Blondieの3作目にあたる『Parallel Lines』は、1978年のUS盤として登場したアルバムだ。ニューヨークのバンドとして出発した彼らが、パンクの輪郭を残しながら、ポップ、ディスコ、ロックンロールをきれいに接続していく過程がはっきり見える作品でもある。Deborah Harryのボーカル、Chris Steinのギター、そしてバンド全体のまとまりが、前2作よりも明確な形で外へ開かれている。
作品の位置づけ
Blondieは1974年結成のアメリカのバンドで、CBGB周辺の空気を共有しながらも、初期から単純なパンク一色では収まらない幅を持っていた。『Parallel Lines』は、その幅が商業的な成功と結びついた作品として重要だ。バンドの初期作に比べると曲の構成は整理され、メロディは前面に出る。ニューヨーク・パンクの荒さと、ラジオ向けの明快さが同じ面に収まっている。
録音はニューヨークのThe Record Plant、ミックスはケンタッキー州CovingtonのForum Studio、マスタリングはGlendaleのMCA-Whitney Studioで行われた。クレジット面から見ても、当時の大きな制作体制の中で仕上げられたアルバムだとわかる。US盤のChrysalisからのリリースで、ジャケットにはバーコードがない。印刷された内袋の歌詞シート付きという点も、当時のLPらしい仕様だ。
収録曲と聴きどころ
このアルバムで最も大きいのは、やはり「Heart Of Glass」だ。元をたどると、Debbie HarryとChris Steinが1974〜75年頃に書いた「Once I Had A Love」が原型で、長く「The Disco Song」と呼ばれていた曲でもある。Mike Chapmanのプロデュースによってディスコ色が前面に出され、結果としてBlondieの代表曲になった。1978年のオリジナルUS初回盤では、この曲は短い版で収録されており、後の再プレスでは同じカタログ番号でもディスコ版に差し替えられている。
この1曲だけでアルバム全体を語ることはできないが、実際に聴くと、曲順の中で「Heart Of Glass」が突出しすぎないよう、周囲の楽曲がしっかり支えているのがわかる。ギターは鋭いまま、リズムは軽くなりすぎず、ボーカルは冷たさと親しみやすさのあいだを行き来する。パンクの直線性だけで押し切るのではなく、ポップソングとしての輪郭を優先した作り。
「Sunday Girl」や「Picture This」のような曲では、メロディの運びがはっきりしていて、短い尺の中にフックがきれいに置かれている。荒い質感のまま終わらず、サビで景色が開く感じがある。全体として、ロックの骨格を残しながら、ダンス・ミュージックの感覚も取り込んでいる点がこの時期のBlondieらしい。後のニューウェイヴやポップ・ロックの流れの中で、こうした作り方を参照したバンドは少なくない。
同時代との関係
1978年という年を考えると、『Parallel Lines』はパンクの次の段階を示す作品として見やすい。Sex PistolsやThe Clashのような直線的な緊張感とは別の場所で、Blondieはもっと軽やかに、もっと広い聴衆へ届く形を作っていた。同時代のニューウェイヴ勢の中でも、The CarsやPretendersに近い「ロックをポップへ接続する感覚」がある一方、ディスコの要素をここまで自然に取り込んだ点はかなり独特だ。
「Heart Of Glass」の大ヒットは、Blondieを単なるNYパンクの一組から、国際的なポップ・アクトへ押し上げた。バンド内部では路線をめぐる摩擦もあったとされるが、完成した曲は1979年に全米・全英で1位を記録し、結果的にこのアルバムの存在感を決定的にした。パンクの文脈にいたバンドが、ディスコの語法を取り込んで大衆的な成功へ至る流れは、当時としてはかなり鮮明な転換点だった。
オリジナル盤としての聴きどころ
この1978年US初回盤では、「Heart Of Glass」が短い版で入っている点が大きな特徴だ。後年よく知られるディスコ版とは少し印象が異なり、アルバム全体の中ではよりコンパクトに収まっている。オリジナル盤を聴くと、ヒット曲だけを切り出した印象よりも、1枚のアルバムとしての流れが先に立つ。Blondieがこの時点で、すでにシングルの強さとアルバムのまとまりを両立させていたことが伝わる内容だ。
『Parallel Lines』は、Blondieの代表作であると同時に、ニューウェイヴがポップ・チャートへ本格的に入り込んでいく局面を示す記録でもある。ラフな出自と洗練された仕上がり、その両方が同居しているアルバムだ。
トラックリスト
- A1 Hanging On The Telephone 2:17
- A2 One Way Or Another 3:31
- A3 Picture This 2:53
- A4 Fade Away And Radiate 3:57
- A5 Pretty Baby 3:16
- A6 I Know But I Don't Know 3:53
- B1 11:59 3:19
- B2 Will Anything Happen 2:55
- B3 Sunday Girl 3:01
- B4 Heart Of Glass 3:54
- B5 I'm Gonna Love You Too 2:03
- B6 Just Go Away 3:21