Ramones - Road To Ruin (1978)
Ramones 1978

Ramones - Road To Ruin (1978)

Rock Punk Rock & Roll

Ramones『Road To Ruin』――1978年、バンドの変化がそのまま刻まれた一枚

Ramonesの4作目『Road To Ruin』は、1978年にUSのSireからリリースされたアルバム。Forest Hills, Queens出身のこのバンドが、初期の高速で極端に短い楽曲群で築いた型を保ちながら、少しだけ外側へ踏み出した作品として知られている。1stから3rdまでの勢いを前提に聴くと、ここでは音の作り込みや曲調の幅がはっきり増している。パンクの速度感は残しつつ、ギターの重ね方やメロディの置き方に、以前より手を入れた痕跡が見える。

この作品の大きなポイントは、Marky Ramoneがドラムで初参加していること。Tommy Ramoneはプレイヤーを退き、プロデュース側に回った。クレジット上はT. Erdelyi名義でEd Stasiumと共同プロデュースとなっていて、録音後にギター、ベース、キーボードのオーバーダブを重ね、ミックスも丁寧に詰めたという制作背景がある。Ramonesの初期作にある、ほぼ一発録りのような硬さとは少し違う方向の仕上がりで、音像がやや厚い。とはいえ、核にあるのはあくまでRamonesのテンポ感とコード進行の単純さで、そこに装飾が加わった印象だ。

アルバムの位置づけ

『Road To Ruin』は、前3作のセールス不振とツアーの負荷を受けた時期に出た作品。バンド内部の体制が変わり、制作面でも少し実験的な余地が生まれている。後年の大きな代表曲「I Wanna Be Sedated」を収めたアルバムでもあり、Ramonesのカタログの中では、初期の直線的なパンクと、少し広いポップ感覚が交差する位置にある。

同時代のニューヨーク・パンクや、CBGB周辺から出てきたバンド群を思い浮かべると、Ramonesはその中でも最もミニマルな側にいた存在だが、このアルバムでは60年代ポップの要素や、ヘヴィなギター・ソロの感触が入り込む。パンクの文法を土台にしながら、単純な速さだけではない作り方へ進んだ記録として聴ける。

「I Wanna Be Sedated」の存在感

代表曲「I Wanna Be Sedated」は、過酷なツアー生活の倦怠感から生まれた曲として語られている。ジョーイ・ラモーンによれば、1977年のクリスマス時期にロンドンを訪れた際、静まり返った街の中で、Dee Dee Ramoneとホテルの部屋で映画『Guns Of Navarone』を眺めていた時間が着想源になったという。曲の表面には、単調な日々から抜け出したいという感覚がそのまま乗っている。薬物を賛美するような内容ではなく、むしろ疲労と退屈の反復から離れたいという叫びに近い。

実際に聴くと、この曲はアルバム内でも輪郭がはっきりしている。リフの進行は明快で、コーラスの反復も強い。Ramonesらしい短さの中に、口ずさみやすさと焦燥感が同居していて、後の世代にまで残る理由がそのまま出ている。パンクの速度に、ポップソングとしての分かりやすさが接続した一曲だ。

音の印象と録音

録音はニューヨークのMedia Sound、マスタリングはSterling Sound。US盤は黄色いダストスリーブが付属し、片面に歌詞、もう片面に白黒写真が入る仕様。ジャケット裏にバーコードはない。初期盤の一部にはプロモーション用のスタンプがある個体もあり、LAやWinchesterプレスの初期ロットではスパインの文字色に黄色が見られる例もある。2001年には同じカタログ番号で180グラム盤の再発も出ている。

音の作り自体は、Ramonesの中でも比較的整理されている。ベースとドラムの押し出しは保ちながら、ギターの重ねがはっきりしていて、曲によっては60年代風のコード感やバラード寄りの運びも見える。荒さだけで押し切るのではなく、曲の輪郭を少し整えたアルバム、という聴こえ方が近い。初期3作の切迫感を基準にすると、ここではスタジオ作品としての設計が前に出る。

Ramonesとその後

Ramonesは、のちのパンクやオルタナティヴ・ロックに大きな影響を与えた存在として語られることが多いが、『Road To Ruin』はその影響の広がりを考える上でも分かりやすい。速度、単純なコード進行、短い曲、そしてメロディの強さ。そうした要素が、ここでは少しだけ別の形で組み合わされている。後のバンドがRamonesから受け取ったものの中には、ただ速く演奏することだけでなく、曲を短くまとめる感覚や、ポップなフックの置き方も含まれていた。

1978年のこのアルバムは、Ramonesの初期像をそのまま固定した作品ではない。むしろ、バンドが制作面で一段階違うやり方を試し、Marky Ramone加入後の新しい体制を形にした記録として見ると、かなり重要な一枚になる。パンクの初期衝動と、スタジオでの構築性。その両方が同居した作品。

トラックリスト

  1. A1 I Just Want To Have Something To Do 2:41
  2. A2 I Wanted Everything 3:15
  3. A3 Don't Come Close 2:44
  4. A4 I Don't Want You 2:26
  5. A5 Needles And Pins 2:20
  6. A6 I'm Against It 2:06
  7. B1 I Wanna Be Sedated 2:29
  8. B2 Go Mental 2:42
  9. B3 Questioningly 3:20
  10. B4 She's The One 2:13
  11. B5 Bad Brain 2:26
  12. B6 It's A Long Way Back 2:19

動画プレイリスト

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