Cirkel - The First Goodbye (1983)
Cirkel 1983

Cirkel - The First Goodbye (1983)

Electronic Rock Art Rock Symphonic Rock

Cirkel『The First Goodbye』(1983)

オランダのCirkelが1983年に残した『The First Goodbye』は、短命に終わったプログレ系バンドによる唯一作として知られている。プライベート・プレスに近い形で出た作品で、流通量は多くなく、後年になってから見直しが進んだタイプのアルバムだ。ジャンル表記ではElectronic、Rock、スタイルではSymphonic Rock、Art Rockに置かれているが、実際の印象はその枠の中でかなり曲ごとの表情が変わる内容になっている。

制作はヴレーネンのBallad Sound Studioで行われた。メンバーとしてはハンス・デン・ハートホフ、ヘンニー・ファン・モーリク、クリス・ファン・ホーハダレム、アド・ストライクらの名が挙がっている。オリジナル盤には歌詞とクレジットを記したインサートが付属し、そこにはB3が単に“A Morning In France”と記され、B4の表記がジャケットやラベルの“Elfin”ではなく“Elphin”になっているなど、細かな違いもある。こうした部分にも、当時の私家盤らしい手触りが残っている。

作品の輪郭

このアルバムは、派手な技巧の見せ場を前面に押し出すというより、ギターを中心にしたメロディとアンサンブルのまとまりを軸に進む。シンフォニック・ロック寄りの流れでは、ジェネシスやキャメル、12th Nightを連想させるような、歌メロと展開の運びを重視した作りが目立つ。一方で、ニューウェイブやポップ寄りの感触を持つ曲も含まれていて、アルバム全体の色合いは一枚岩ではない。

そのため、最初から最後まで同じ温度で押し切る作品ではなく、曲ごとに質感が変わる。アレンジが前に出る場面もあれば、比較的あっさりした運びに留まる場面もある。後年の評価で「メロディアスなネオ・プログレ」とまとめられることが多いのも、このバランス感覚によるものだろう。

同時代の中での位置づけ

1983年という時期を考えると、プログレの第一世代とは距離があり、同時代の商業的な主流からも外れた位置にある。そうした環境で、Cirkelはシンフォニックな構成感を保ちながら、当時の空気も取り込んでいる。結果として、70年代プログレの延長線だけでは説明しにくい、少し遅れて届いた感触のある作品になっている。

中古市場では長く“private press”や“symphonic rock”として扱われ、知る人ぞ知る一枚として流通してきた。一般的なチャート上の成功を示す情報は見当たらず、当時から広く聴かれたアルバムではなかったようだ。それでも、後年の紹介では「誠実で、時代に逆らった、再発見されるべき音楽」と評されている。大きな話題作ではないが、埋もれたままにしておくには惜しい、という受け止め方が続いてきた。

オリジナル盤と後年の再発盤

オリジナルの『The First Goodbye』は1983年の時点でまとまった形を持っているが、後年の再発盤には1984年に同スタジオで録音された未発表2曲が追加された。つまり、再発盤では当時のアルバム像が少し広がっている。バンドの活動期間そのものが短かったこともあり、追加曲の存在はCirkelの残した音源を補う役割を持っている。

この作品を通して見えるのは、短命なバンドが残した一回性の強い記録だ。大仰な伝説が先に立つタイプではないが、曲の並び、歌の置き方、ギターを軸にしたアンサンブルの組み方に、当時の制作意図がはっきり残っている。プログレやアートロックの周辺で80年代初頭のオランダ盤をたどるとき、この『The First Goodbye』は確かに外しにくい一枚である。

トラックリスト

  1. A1 More Than A Match
  2. A2 Four Hands
  3. A3 A Song Of Love And Hate
  4. A4 Autumn Awakes
  5. B1 The First Goodbye
  6. B2 Sea
  7. B3 A Morning In France - 5/8
  8. B4 Elfin

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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