The Emerald Dawn - To Touch The Sky (2021)
The Emerald Dawn 2021

The Emerald Dawn - To Touch The Sky (2021)

Rock Prog Rock Symphonic Rock

The Emerald Dawn『To Touch The Sky』について

The Emerald Dawnは、英国のプログレッシブ・ロック/シンフォニック・ロック・バンドだ。スコットランドのエディンバラでTree StewartとAlly Carterを中心に始まり、その後はイングランド南西部のセント・アイヴスへ拠点を移して活動している。ドラマーのTom Jackson、ベーシストのDavid Greenawayが加わり、2019年頃からは現在の4人編成でまとまっている。『To Touch The Sky』はその流れの中で作られた4作目のアルバムで、オリジナルは2021年3月20日リリース。ここで扱うのは、2022年に英国のPlane Groovyから出たLP盤である。

アルバムの骨格

収録は全3曲、総尺は約48分。1曲ごとの長さが11分台から22分超まであるため、曲の数よりも1曲ごとの展開が重要な作品だ。短いフレーズを積み重ねるタイプではなく、ひとつの曲の中で場面を切り替えながら進む構成。プログレッシブ・ロックらしい作りだが、GenesisやYesのような直線的な派手さより、フォーキーなアコースティック・ギターや、空間を広く使う音像の方が前に出る。サックスが入る場面もあり、ジャズ由来の感触もはっきりしている。

Tree Stewartのボーカルは、常に前面で歌い続ける形ではない。曲の中で出入りしながら、音の層の一部として配置される印象が強い。ここはCocteau Twinsを思わせる、という評がよく見られる部分で、実際に声を旋律の主役というより、曲の空気を保つ役割として使っている場面が多い。演奏が細かく動く場面でも、全体の流れが崩れにくいのはこの配置によるところが大きい。

プログレの文脈の中で

この作品を語るうえで、比較対象として名前が挙がりやすいのはMoody BluesやRenaissance、そしてPink Floydあたりだ。王道のハードなプログレというより、メロディ、アコースティックな響き、幻想性を丁寧に積み上げる系統に近い。とはいえ単なる懐古調ではなく、長尺の中でジャズ寄りの間合いや、静けさを保ったまま進むパートが挟まるため、現在形のプログレとして聴ける作りになっている。

批評面でも評価は高く、「これまでで最高傑作かもしれない」といった声があり、The Progressive AspectのTony ColvillやProgzilla RadioのJim Lawsonが年間ベストに挙げたことでも知られている。こうした反応を見ると、『To Touch The Sky』はThe Emerald Dawnにとって代表作候補として受け止められている作品だとわかる。

2022年LP盤の仕様

この2022年盤は、英国のヴァイナル専業レーベルPlane GroovyからのLP化。レーベル側が現在進行形のプログレ作品を扱う方針を持っていることも、このタイトルの位置づけと合っている。パッケージは見開きジャケットで、2ページのカラー印刷インサートが付属する。インサートにはバンド写真、歌詞、クレジットが収録され、内袋は帯電防止仕様。さらに再封可能な透明スリーブに収められている。

限定200枚の手書きナンバリング入りで、一部のインサートには発売前にバンドのサインが入っていたという点も、この盤ならではの要素だ。オリジナルの作品性に加えて、LPとしての所有感を強める作りになっている。

総評

『To Touch The Sky』は、3曲という少ない曲数の中で、長尺プログレの構成力、アコースティックな手触り、浮遊感のある音像、ジャズ的な差し色をまとめたアルバムだ。The Emerald Dawnの4人編成が定着した時期の作品としても重要で、バンドの現在地を示す1枚になっている。2021年のオリジナル作品を、2022年に英国盤LPとして手に取れる形にしたのがこの盤で、限定仕様も含めてコレクター性の高いリリースである。

トラックリスト

  1. A1 The Awakening 11:15
  2. A2 And I Stood Transfixed 15:07
  3. B1 The Ascent 22:17

動画プレイリスト

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