The One - Sunrise (2023)
The One『Sunrise』――オランダ発の正統派プログレ回帰作
『Sunrise』は、オランダのプログレッシブ・ロック・バンド、The Oneが2023年に発表したデビュー作。Construction Recordsからのリリースで、ゲートフォールド仕様のジャケット、2ページのプリント・インサート、ブラックのポリラインドLPスリーブ付きという丁寧なパッケージも含めて、アルバム全体にクラシックなロック作品らしい作り込みが見られる。レーベル側が掲げる通り、Construction Recordsはプログレッシブ/シンフォニック系のロックやメタルを扱うオランダのレーベルで、この作品もその看板にふさわしい位置に置かれている。
The Oneは、オランダのプログレッシブ・ロック・バンドとして紹介されている。『Sunrise』はその名の通り、バンドの最初の本格的な提示となる作品で、70年代プログレ、シンフォニック・ロックへの明確な接続が感じられるアルバムとして受け止められている。制作面では、中心人物であるティモシー・ファン・デル・ホルストがドラム、ベース、鍵盤類を担い、そこにボーカル、作詞、スライドギター、フルート、客演ギターが加わる形で組み立てられている。バンド名義でありながら、実際には主要な構想と演奏の核を持つ人物が明確なプロジェクト型の色合いもある。
70年代プログレの文法を現代の録音でまとめた一枚
公開されているレビューでは、YesやGenesisを思わせる部分、フルートの使い方、鍵盤とギターの絡みがよく触れられている。実際、作品の印象として語られているのは、複雑さを前面に出すというより、70年代のプログレ/シンフォニック・ロックが持っていた組曲的な展開、メロディの流れ、楽器の受け渡しをきちんと踏まえた作りだ。派手な実験性よりも、古典的な形式を現代の音で整える方向性が強い。
特に評価されているのは、キーボードとギターの存在感。オルガンやシンセの厚み、メロディを追うギター、そこにフルートが差し込まれることで、単なる懐古ではない立体感が出ている。ボーカルも含めて、各パートが前に出る場面を作りつつ、全体の流れを崩さない構成でまとまっている。プログレッシブ・ロックの文脈ではおなじみの要素だが、『Sunrise』ではそれらを丁寧に積み上げる姿勢がはっきりしている。
デビュー作としての位置づけ
この作品は、The Oneにとっての出発点として機能している。2024年のライブレビューでは『Sunrise』の楽曲が演奏されており、アルバムがその後の活動の基盤になっていることがうかがえる。デビュー作でありながら、単発の試みではなく、バンドの音楽的な輪郭を最初から明確に示す役割を果たしている。Construction Recordsが新しい看板の一つとして紹介している点も、この作品の位置づけをよく表している。
曲単位で大きなヒット曲が話題になった記録は見当たらないが、アルバム全体を通して、古典的なプログレの手触りを保ったまま一枚として聴かせる構成が核になっている。収録曲ごとの派手な切り札より、流れの中で楽器の表情が変わっていくタイプの作品で、そうした作りがレビューでも好意的に受け止められていた。
同時代のプログレ・シーンの中で
2020年代に入ってからも、70年代のプログレやシンフォニック・ロックの文法を受け継ぐ作品は各地で作られているが、『Sunrise』はその中でも、オランダのレーベルとミュージシャンの組み合わせがはっきり見える作品。派手な現代化を狙うのではなく、演奏力、鍵盤の厚み、フルートのアクセント、ギターの伸びを軸に、往年のプログレに近い手触りを保っている。レビューで「聴き心地が良い」と受け止められていたのも、その整った構成と、楽器の役割分担の明確さが背景にある。
『Sunrise』は、The Oneという名義の最初の一枚として、オランダ産プログレの系譜に素直に連なる作品だ。70年代の影響を前面に置きながら、録音やパッケージの現代的な整え方も含めて、デビュー作らしい輪郭のはっきりしたアルバムとしてまとまっている。
トラックリスト
- A1 The Thoughts Of Light
- A2 Time Out
- A3 The Past Haunts Again
- A4 Remember
- B1 Let's Laugh
- B2 Between You & Me
- B3 The Time Stands Still
- B4 Sunrise