Cocteau Twins - Treasure (1984)
Cocteau Twins『Treasure』
1984年にUKの4ADから出た『Treasure』は、Cocteau Twinsの3人編成が固まってからの最初のアルバム。Will Heggie脱退後、『Head over Heels』はElizabeth FraserとRobin Guthrieの2人で作られ、その後に元Drowning CrazeのSimon Raymondeが加わり、もっともよく知られる3人の編成が固まった。2人は1983年に、4ADのプロジェクトThis Mortal CoilでTim Buckleyの「Song to the Siren」のカバーも吹き込んでいる。
制作背景・エピソード
録音は1984年8月から9月にかけて、エディンバラのPalladium StudiosとロンドンのRoosterで行われた。バンド自身がプロデュースを担い、エンジニアはJon TurnerとDroston J. Madden。Ivo Watts-Russellは当初、Brian EnoとDaniel Lanoisにプロデュースを依頼しようとしたが、Enoは自分はこのバンドに必要ないと考え、最終的にセルフ・プロデュースになったという。Raymondeはアルバム制作に1か月ほどかかったと話しており、3人は当時まだ友人になって間もなかったとも振り返っている。
ドラムにはドラム・マシンが使われ、Pitchforkは、その伴奏が天上的な音やフレイザーの「天使のような歌声」に鋭いエッジを加えていると指摘している。曲名には「Ivo」「Lorelei」「Pandora (for Cindy)」「Persephone」といった固有名が並ぶ。「Ivo」は4ADのIvo Watts-Russellへの言及で、「Pandora (for Cindy)」はCindytalkのGordon Sharpに捧げられている。Elizabeth Fraserは「すごくいい考えだと思った。人はこの名前に何を見るんだろうって」と語っている。歌詞はしばしば実在の言語から離れ、造語や外国語の本から拾った言葉が使われた。ジャケットのデザインと写真は23 Envelopeが担当した。
時代の文脈
『Treasure』は1984年10月にリリースされ、全英29位を記録した。8週チャートに残り、バンド初のUKトップ40アルバムになった。同じ1984年には、EP『The Spangle Maker』収録の「Pearly-Dewdrops' Drops」が全英29位と、バンド最大の英国ヒットになっている。
同時代の評価では、Melody MakerのSteve Sutherlandが以前このバンドを「またひとつのSiouxsieのクローン」と見ていた一方で、本作については「真の輝き」と評し、彼らを「神の声」と呼んだ。Smash HitsのIan Crannaは「目に見えて明るい雰囲気」と書いている。John Peelの1984年Festive Fiftyでは「Ivo」が16位に入った。
バンド自身の見方はかなり厳しい。Simon Raymondeは1989年のSound On Soundで「ぶっちぎりで最悪のアルバム」「たぶんいい曲が2つくらい入っているだけの、未完成のレコード」と語り、Robin Guthrieも1993年のLime Lizard誌で「ずっとTreasureが大嫌いだった。レコードのせいではなく、当時の雰囲気のせいで」と話している。Guthrieは後に、初期デジタル機材の影響で「とても古びたレコードに聴こえる」とも述べた。
後世への影響
のちに『Treasure』は、イーセリアル・ウェイヴやドリーム・ポップの起点のひとつとして扱われるようになった。Pitchforkは「バンドの代名詞となる天上的な音の始まり」と書き、AllMusicのNed Raggettは「完全で徹底した勝利」と評した。BBCも「コクトー・ツインズが初めて100パーセント正しく仕上げた作品」と紹介している。Treblezineは「美しさを異質なものに見せる試み」と表現した。
コクトー・ツインズはドリーム・ポップを切り開き、シューゲイザーの形成にも関わったとされ、Slowdive、Ride、Cigarettes After Sexらに影響を与えている。The CureのRobert Smithは本作を史上もっともロマンティックなレコードのひとつと呼び、自身の結婚式の日にかけたという。Jeff Buckleyは「Ivo」をライブでカバーした。Pitchforkは1980年代ベスト・アルバムの27位、Pasteはポストパンク・アルバムの38位に選出し、『死ぬまでに聴きたいアルバム1001枚』にも収録されている。
トラックリスト
- A1 Ivo 3:53
- A2 Lorelei 3:43
- A3 Beatrix 3:11
- A4 Persephone 4:21
- A5 Pandora (For Cindy) 5:34
- B1 Amelia 3:34
- B2 Aloysius 3:26
- B3 Cicely 3:27
- B4 Otterley 4:06
- B5 Donimo 6:11
動画プレイリスト
このアーティストについて
Cocteau Twinsは、1981年にスコットランドのグランジマス(ファルカーク)で結成されたバンドだ。1997年に解散している。ジャンルとしてはロックに分...
Cocteau Twins のプロフィール・作品一覧Cocteau Twins の他のレビュー