The Chameleons - Strange Times (1986)
The Chameleons 1986

The Chameleons - Strange Times (1986)

Rock Indie Rock New Wave Ethereal

The Chameleons『Strange Times』――解散前夜に残された、1986年の重要作

The Chameleonsの『Strange Times』は、1986年に発表された3作目のアルバムで、同時代の英国ポストパンクから派生したギター・バンドの流れをよく示す作品だ。マンチェスター近郊ミドルトン出身のこのバンドは、Mark Burgessの低く前へ出る歌、Reg SmithiesとDave Fieldingの2本のギターが作る重なり、John Leverのドラムを軸に、New Wave、Ethereal、Indie Rockの要素をひとつにまとめてきた。『Strange Times』は、その到達点のひとつとして扱われることが多い。

Geffen移籍後の1枚

本作はGeffen Recordsからのリリースで、バンドにとっては前作『What Does Anything Mean? Basically』の後に獲得した新しい契約のもとで出されたアルバムになる。録音はサリー州のJacob's Studioで行われ、プロデュースはDavid M. Allen。制作前にはイングランド湖水地方で合宿を組み、ホークスヘッド近くの学校のホールを借りてリハーサルを重ねたという。曲は録音時点ではまだスケッチ段階だったとされ、そこからスタジオで形にしていった流れが見える。

録音が約5週間、制作全体が比較的タイトな環境だったこともあり、演奏の輪郭ははっきりしている。ギターは装飾的というより、同じ空間を別の角度から切り取るような組み方で、曲の中に広がりを作る。ベースとドラムはその間を埋めすぎず、曲の推進力を維持する役割に徹している。

収録曲とシングル

先行シングルは「Tears」が1986年6月16日、「Swamp Thing」が同年9月1日に発売された。「Swamp Thing」は本作を代表する曲として扱われることが多く、アルバムの中でも特に印象が残る。リフの反復とギターの重なりが前面に出ていて、The Chameleonsの持ち味が短い時間にまとまっている。もうひとつの「Tears」は、アルバムの中でより感情の起伏を見せる曲として機能している。

北米盤の初回LPには、アルバム未収録曲を集めたボーナスLPが付属した。これらの曲はのちに1993年のCD版でボーナストラックとしてまとめられている。初回盤と後年のCDでは収録形態が異なるため、当時のLPを手にした場合は、アルバム本編に加えてより多くの音源を持っていたことになる。

この作品の位置づけ

『Strange Times』は、The Chameleonsにとって事実上の一区切りでもある。1987年にマネージャーのTony Fletcherが急死し、その後バンドはしばらく活動停止状態に入る。結果として、本作は長い空白の前に残された最後のアルバムになった。解散前の緊張感がそのまま記録された作品として見ると、曲の組み立てや演奏のまとまりにも独特の重さがある。

同時代の英国では、The ChameleonsはThe SoundやEcho & the Bunnymen、さらには後年のインディー・ギター・バンドと並べて語られることがある。本作については、後の世代への影響も確認しやすい。Noel Gallagherが本作から大きな影響を受けた趣旨の発言を残しており、ギターの層を重ねるやり方や、メロディと音響のバランスは、90年代以降のバンドにもつながっていく。

レコード盤の仕様

今回の盤は1986年のヨーロッパ盤で、Geffen Recordsの品番は924 119-1。ラフなピクチャー・スリーブと、無地の黒いポリライニング内袋での発売だった。ジャケット表記には「℗1986 The David Geffen Company」「©1986 The David Geffen Company」とあり、製造はドイツのRecord Service GmbH, Alsdorf。ランアウトには「R/S A 924119-1-A5 / B3」などの刻印が見られる。なお、ほぼ同内容でピンク色のカバーを持つ別バージョンも存在する。

まとめ

『Strange Times』は、The Chameleonsの音作りがもっとも整理された形で残ったアルバムのひとつだ。派手なヒットで押す作品ではないが、「Swamp Thing」をはじめとする曲の配置、2本のギターが作る空間、そして解散直前のバンドの空気がそのまま刻まれている。1986年の英国ポストパンク/インディー・ロックの文脈に置くと、この作品の役割はかなりはっきりしている。

トラックリスト

  1. A1 Mad Jack 3:55
  2. A2 Caution 7:46
  3. A3 Tears (Original Arrangement) 5:05
  4. A4 Soul In Isolation 7:28
  5. A+1 Swamp Thing 5:56
  6. A+2 Time / The End Of Time 5:41
  7. A+3 Seriocity 3:00
  8. A+4 In Answer 4:54
  9. A+5 Childhood 4:39
  10. A+6 I'll Remember 3:39

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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