Curtis Mayfield - Sweet Exorcist (1974)
Curtis Mayfield 1974

Curtis Mayfield - Sweet Exorcist (1974)

Funk / Soul Funk Soul

Curtis Mayfield『Sweet Exorcist』(1974)について

カーティス・メイフィールドの『Sweet Exorcist』は、1974年にUSのCurtomから出たソロ5作目のアルバムだ。前年までにソロ活動を軌道に乗せていたメイフィールドが、シカゴのCurtom Studiosで制作した作品で、同じ1974年のうちに発表された『Claudine』の勢いをそのまま受けている。プロデューサー、作曲家、シンガーとしての手つきがかなり明確に出ていて、ソウルとファンクの接点を、当時の社会状況や都市生活の空気と結びつけた内容になっている。

1974年のカーティス・メイフィールドは、とにかく多作だ。3月にはグラディス・ナイト&ザ・ピップスの『Claudine』を手がけ、そこからの先行シングル「On and On」は大きなヒットになった。その流れの中で5月に出たのが本作で、同年の彼の創作力をそのまま記録した1枚として位置づけられる。社会的な視点とメロディの運びを両立させる持ち味はここでも変わらず、むしろコンパクトに整理されている印象がある。

アルバムの核にある「Kung Fu」

本作を語るうえで外せないのが「Kung Fu」だ。アメリカで当時広がっていたカンフー映画ブームを背景にした曲で、ゲットー育ちの少年に「カンフー」というあだ名がつく、という設定を歌にしている。現実の都市生活の断片を、流行のモチーフと結びつける発想が面白い。先行シングルとして出され、1974年8月にBillboard Hot 100で40位、R&Bチャートではトップ5入りを記録した。

実際に聴くと、曲のノリはかなり軽快だが、単なる時流乗りでは終わらない。リズムの切れ味と、メイフィールドの語り口に近い歌の運びが前に出ていて、ファンクの骨格の上に、彼らしい観察眼が乗っている。曲単体でヒットする要素を持ちながら、アルバム全体の中でも浮きすぎないのが特徴だ。

タイトル曲と社会性のバランス

アルバム・タイトル曲「Sweet Exorcist」は、精神的・感情的な解放を求める内容で、メイフィールドの作品にしばしば見られる内省的な視点が出ている。ここでは、政治的メッセージを前面に押し出すのではなく、個人の内面にある重さや迷いを扱っていて、同じ1970年代のソウルでも、よりパーソナルな方向へ寄っている。

一方で「Power To The People」のような曲では、逆境に置かれた人々への視線がはっきりしている。ファンキーなリズムの中に、都市の現実に対する応答がある構成で、メイフィールドが持っていた社会派ソウルの流れを感じやすい。公民権運動以後の黒人音楽が、メッセージ性とダンス性をどう両立させたか、その一例としても見やすい作品だ。

収録曲と制作背景

クレジットを見ると、収録曲はCurtom Publ. Co.やCamad Musicに分かれている。メイフィールド自身の出版管理のもとで曲が整理されていて、彼が単なる歌手ではなく、作家・経営者としても動いていたことがわかる。録音はシカゴのCurtom Studios。レーベルの拠点で制作されたことで、音のまとまりにも地元感がある。

レーベルはCurtomで、当時はBuddah Recordsが配給を担っていた時期にあたる。US盤の1974年初出オリジナルとしては、Curtomの黄色いラベル、Buddah配給の表記が入る時期の作品だ。後年の再発盤とはそこが大きな違いになる。

当時のソウル/ファンクの中で

同時代のソウルやファンクと比べると、『Sweet Exorcist』は派手な展開や大仰な演出より、リズムの粘りと歌の運びで引っ張るタイプだ。シカゴ・ソウルの流れを引き継ぎつつ、ファンクの硬さも取り入れていて、同じ時代のスライ&ザ・ファミリー・ストーンやスティーヴィー・ワンダーの作品群と並べて聴かれることが多い領域にある。とはいえ、メイフィールドの歌声はかなり独特で、やわらかさの中に線の細い緊張感が残る。

ヒット曲「Kung Fu」が目立つ一方で、アルバム全体はその1曲に回収されない。ロマンティックな曲と社会的な曲が同居し、曲ごとの役割が比較的はっきりしている。Billboard 200で39位、R&Bアルバムチャートで2位を記録したという数字も、その時期のメイフィールドの存在感を裏づけている。

まとめ

『Sweet Exorcist』は、1974年のカーティス・メイフィールドの仕事量と視野の広さを、そのまま閉じ込めたようなアルバムだ。シングル向きの「Kung Fu」、内面に踏み込むタイトル曲、社会の側を向く「Power To The People」と、異なる方向の楽曲が同じ温度で並ぶ。ソウルとファンクの境目をまたぎながら、シカゴのスタジオで作られた70年代中期のメイフィールド像が、かなりはっきり見える1枚になっている。

トラックリスト

  1. A1 Ain't Got Time 5:10
  2. A2 Sweet Exorcist 3:50
  3. A3 To Be Invisible 4:12
  4. A4 Power To The People 3:26
  5. B1 Kung Fu 6:02
  6. B2 Suffer 4:06
  7. B3 Make Me Believe In You 5:32

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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