David Bowie - Station To Station (1976)
David Bowie 1976

David Bowie - Station To Station (1976)

Rock Funk / Soul Funk Alternative Rock Soul

David Bowie / Station To Station(1976, UK, RCA Victor APL1 1327)

David Bowieの10作目のスタジオ・アルバムにあたる本作は、1976年1月に発表された作品で、Bowieのキャリアの中でも大きな転換点として扱われることが多い。前作 Young Americans で強めたソウル/ファンクの要素を引き継ぎつつ、ここではさらに硬質なリズム、ヨーロッパ的な和声感、そして当時の電子音楽やクラウトロックに通じる感触が入り込む。タイトル曲の長さと構成も含めて、Bowieがアメリカの黒人音楽と西欧の感覚を接続しようとしていた時期の到達点として聴ける。

このUK盤はRCA VictorのAPL1 1327。ジャケット面では映画 The Man Who Fell to Earth の写真が使われており、当時のBowieが演じていた役柄や、のちに定着する「Thin White Duke」のイメージともつながる。盤面の制作はCBS Aston Clintonの契約プレスで、インサートにはクレジットが印刷されている。こうしたUKオリジナルの仕様も、1976年当時の流通や制作体制をそのまま反映している。

作品の位置づけ

本作は、Bowieのソロ作品の中でもかなり重要な節目に置かれる。録音時期のBowieは精神的にかなり不安定だったと伝えられており、その状態のまま制作されたアルバムとしても知られるが、音そのものは散漫ではなく、むしろ緊張感が全編を支配している。冒頭の「Station to Station」は約10分に及ぶ大曲で、静かな導入から徐々に推進力を増し、最後は高速な展開へ流れ込む構成。アルバム全体の空気を決める中心曲になっている。

ここで初めて前面に出る人格が「Thin White Duke」だ。Bowie自身の分身として機能するこのキャラクターは、感情を抑えた佇まいと、どこか空虚さを帯びた視線が特徴で、作品の音像にもそのまま反映されている。華やかさよりも、冷えた質感、細い線で組み立てたような緊張感が残る。

収録曲と聴きどころ

代表曲としてまず挙がるのはタイトル曲「Station to Station」。ファンクのリズムを土台にしながら、ギターや鍵盤が少しずつ層を重ね、後半で加速する作りが印象的だ。Bowieの歌唱も、ソウル寄りの伸びやかさと、抑制された語り口が同居している。

続く「Golden Years」は本作の中でも比較的親しみやすいシングル曲で、アルバムの中ではポップ寄りの輪郭を持つ。ただし、単純なヒット曲として置かれているわけではなく、他の収録曲と同じく、リズムの粘りと少し歪んだ空気を共有している。ラジオ向きの明快さと、アルバム全体の不穏さの両方が入った曲。

「TVC 15」や「Stay」では、ファンクの反復とロックの推進力が接近する。特に「Stay」は演奏の密度が高く、リズム隊の動きがはっきりしている。後半の「Wild Is the Wind」は、アルバムの中で最も露出の少ない感情が前に出る曲で、ニーナ・シモン版への敬意が込められた選曲として知られる。Bowieがこの曲に強く惹かれたことは、彼のヴォーカル解釈にもよく表れている。

同時代の文脈

1976年という時期を考えると、英米のロックはすでにプログレッシブな大作主義だけではなく、ファンク、ソウル、電子音楽、ミニマルな反復へと視線を移していた。本作はその流れの中で、Bowieが当時のアメリカ的なグルーヴと、ヨーロッパ側の実験性を自分の形にまとめた一枚として見えてくる。のちのベルリン三部作へつながる要素もここにあるため、Bowieの変化を追ううえで外せない位置にある。

同時代の感覚で並べると、クラウトロック勢や、ソウル/ファンクをロックの側に持ち込んだ動きとも響き合う。Bowieはその中心にいるというより、複数の流れを横断しながら自分の語法に変えていった側の存在だ。だからこそ、単なるジャンルの混合盤ではなく、Bowie自身の変身の記録として強く残る。

このUKオリジナル盤について

このレコードは1976年UK盤で、RCA Victor APL1 1327表記。リリースノートによるとSide Aの一部は1975年、他は1976年のクレジットになっており、制作の流れがそのまま盤面に残っている。ランアウトもSide AとSide Bで刻印の入り方が異なり、初期プレスらしい細部がある。オリジナル盤としては、後年の再発盤よりも当時の制作物としての手触りが強い。

再発盤では、のちにリマスターやボーナストラック付きの形で何度も出し直されているが、この1976年UK盤は、まず作品が初めて世に出た時点の姿を伝えるもの。ジャケット、クレジット、音の質感まで含めて、Bowieが1976年に置いた緊張の線がそのまま入っている。

まとめ

Station To Station は、David Bowieの作品群の中でも、ソウル、ファンク、ロック、ヨーロッパ的な感覚が強く結びついたアルバムとして知られる。代表曲の「Golden Years」、大曲「Station to Station」、そして「Wild Is the Wind」まで、曲ごとの表情は違っても、全体には一つの人格と一つの時代感が通っている。1976年のBowieを理解するうえで、このUKオリジナル盤はかなり重要な位置にある。

トラックリスト

  1. A1 Station To Station 10:08
  2. A2 Golden Years 4:03
  3. A3 Word On A Wing 6:00
  4. B1 TVC 15 5:29
  5. B2 Stay 6:08
  6. B3 Wild Is The Wind 5:58

動画プレイリスト

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