Ohio Players - Fire (1974)
Ohio Players 1974

Ohio Players - Fire (1974)

Funk / Soul Funk Soul

Ohio Players『Fire』(1974年)レビュー

Ohio Playersの『Fire』は、1974年にUSのMercuryから出たアルバムで、バンドの代表作としてまず名前が挙がる一枚だ。デイトン出身の彼らは60年代から活動していたが、70年代前半にWestboundで勢いをつけ、この作品でメジャー・シーンの中心へ一気に踏み込んだ。ファンクを軸にしながら、ソウル寄りの歌ものもきっちり並べた構成で、バンドの持つ演奏力と曲作りの強さがそのまま表れた内容になっている。

Mercury期の決定打

この時期のOhio Playersは、編成の安定感も大きい。Leroy “Sugarfoot” Bonner、Billy Beck、Clarence Satchell、Ralph “Pee Wee” Middlebrooks、Marshall Jones、James “Diamond” Williamsといったメンバーを軸に、曲ごとのグルーヴを細かく組み立てていく。『Fire』は、その集団性がよく見える作品だ。バンド全員が制作に関わる民主的な作り方が、アルバム全体の統一感につながっている。

録音はシカゴのParagon Studios、ミックスも同地で行われ、マスタリングはNYのSterling Sound。さらに、このUS盤はColumbia Records Pressing Plant, Santa Mariaプレスで、ランアウトにCSが入る仕様とされる。盤としての情報も、70年代中盤のUSレコードらしい実務的な背景が見えて面白い。MercuryのUS LPは1974年の「Skyscraper」ラベル期にあたり、時代の切り替わりも感じさせる。

楽曲の中身と聴きどころ

『Fire』でまず外せないのは、タイトル曲の「Fire」だ。ホーンが前に出るファンク・ナンバーで、リズムの押し出しが強い。シングルとしても大きく成功し、1975年2月にBillboard Hot 100で1位を記録した。Ohio Playersにとって初のポップ・チャート首位曲であり、バンドの名前を広く知らしめた決定打でもある。

一方で、このアルバムは勢い一辺倒ではない。「I Want to Be Free」や「Together」のようなスロー寄りの曲がしっかり入っていて、ファンクだけで押し切らない。ここが『Fire』の重要なところで、踊れる曲とメロディを聴かせる曲の配分がきれいだ。実際に聴くと、低音のうねりだけでなく、歌のフレーズの置き方やコーラスの処理にも気が向く。派手な一発より、曲の流れで引っ張るタイプのアルバムだと感じやすい。

AllMusicが「予測不能な傑作」と評したのも、この振れ幅を指しているように思える。轟くホーン、細かく動くリズム、ボーカルの抜き差し、そしてスロー曲の間合い。どの要素も単独で目立つというより、全体でひとつのアルバム像を作っている。

同時代のファンク/ソウルとの位置づけ

1974年という時期は、ファンクがチャートの中心に入り込んでいた時代だ。Sly & the Family Stone、Parliament-Funkadelic、Earth, Wind & Fire、Curtis Mayfield周辺など、同時代にはそれぞれ違う方向の黒人音楽が広がっていた。その中でOhio Playersは、演奏の密度とポップなフックを両立させる立ち位置にいたと言える。『Fire』は、そうした流れの中で、クラブ向けのグルーヴとラジオ向けの分かりやすさをつないだ作品として見られている。

背景エピソードとしては、ロサンゼルスでスティーヴィー・ワンダーと一緒に、ボーカル抜きでLPを聴き合った段階で、メンバー自身がヒットを確信していたという話が伝わっている。タイトル曲も、もともとは勢いのあるインスト・ジャムから発展したとされる。こうした制作の出発点を考えると、『Fire』の推進力は、かなり現場感のあるものだったのだろう。

作品の意味

Ohio Playersにとって『Fire』は、単なる人気作ではなく、バンドを「ファンクの有力株」から70年代アメリカを代表するクロスオーバー・バンドへ押し上げた作品として位置づけられる。前作『Skin Tight』で広がった評価を、さらに大きく押し広げた一枚でもある。アルバム単位で聴くと、ヒット曲の存在感だけでなく、曲順の流れや音の抜き差しまで含めて、よく組み立てられた作品だと分かる。

なお、このアルバムはMusicassette、Stereo 8 Tape、Quad 8 Tapeでも展開されていた。70年代らしいマルチフォーマット展開も含めて、当時のメジャー作品としての扱いがはっきりしている。『Fire』は、Ohio Playersの代表曲を収めたヒット作であると同時に、バンドの制作力、演奏力、ポップ感覚がまとまった重要盤として今も参照される一枚だ。

トラックリスト

  1. A1 Fire 4:36
  2. A2 Together 3:08
  3. A3 Runnin' From The Devil 4:48
  4. A4 I Want To Be Free 6:56
  5. B1 Smoke 5:59
  6. B2 It's All Over 4:15
  7. B3 What The Hell 5:38
  8. B4 Together / Feelings 1:11

動画

Share
記事一覧に戻る

あわせて聴きたい "Soul"

toast