Djavan - Djavan (1978)
Djavan『Djavan』(1978)
ブラジル北東部アラゴアス州マセイオ出身のシンガーソングライター、ジャヴァン(Djavan)が1978年12月にEMI-Odeonから発表した通算2作目のスタジオ・アルバム。セルフタイトル作であり、オープニング曲から通称『Cara de Índio』あるいは『Serrado』とも呼ばれ親しまれている。1976年のデビュー作『A Voz, o Violão, a Música de Djavan』におけるアコースティック・ギターの弾き語り主体の素朴なアプローチから大きく飛躍を遂げ、実力派ミュージシャン陣によるフルバンド・アンサンブルを導入。全11曲すべてをジャヴァン自身が書き下ろし、プロデュースは名匠マリオジーニョ・ローシャ(Mariozinho Rocha)とエドゥアルド・ソウト・ネト(Eduardo Souto Neto)が手掛けた、初期MPBの金字塔である。
制作背景・エピソード
本作の飛躍を語る上で欠かせないのが「Álibi」の存在である。同1978年、国民的シンガーのマリア・ベターニアが自身のアルバムのタイトル曲としてこの楽曲をカバー。ベターニアの『Álibi』はブラジルの女性歌手として史上初となるミリオンセラーを達成し、社会現象的な大ヒットを記録した。これによってソングライターとしてのジャヴァンの特異な才能はブラジル全土へと轟き、本作への注目を一気に高める決定打となった。
また、軽快かつ強靭なグルーヴが炸裂するキラーチューン「Serrado」は、ブラジルの国民的テレビ番組『Fantástico』のクリップ映像を通じて広く親しまれ、彼の名を決定づけるアンセムとなった。アルバム全体も極めて充実しており、オープニングを飾る「Cara de Índio」はブラジル先住民族インディオの尊厳と誇りを力強く歌い上げた気骨あるプロテスト・ソングであり、ジャヴァンの思想的バックボーンを如実に示している。
時代の文脈・音楽性
1970年代末のブラジル音楽(MPB)において、本作はサンバやボサノヴァ、北東部ノルデスチの伝統的なリズム感覚に、アメリカのソウル/ファンクやジャズの洗練されたハーモニーとグルーヴが高次元で融合を果たした先駆的作品である。ポリリズムを巧みに操る独特のギター・カッティングと、難解なテンション・コードを軽やかに歌いこなす天性のボーカル・フレージングは、のちに「ジャヴァン・スタイル」と呼ばれる独自の語法を完全に確立している。
躍動感あふれるサンバ・ファンク「Serrado」や土着的なパーカッションとカッティングが絡み合う「Cara de Índio」をはじめ、自身のルーツへの郷愁を伸びやかに歌う「Alagoas」、緻密なコードワークが光る「Samba Dobrado」、そして息を呑むほど美しいメロディを紡ぐバラード「Dupla Traição」に至るまで、全編にわたって濃密な音楽的対話が繰り広げられている。
その後の評価
本作の大成功によって、ジャヴァンは一躍ブラジル音楽界のトップ・アーティストの座を確立した。ここでのバンド・サウンドと洗練されたソングライティングの発展は、次作『Alumbramento』(1980年)、『Seduzir』(1981年)、そしてスティーヴィー・ワンダーがゲスト参加して世界的成功を収めた傑作『Luz』(1982年)へと続く黄金期への決定的な助走となった。現在でもMPBのクラシックとしてだけでなく、ブラジリアン・レアグルーヴやクロスオーバー/AORの視点からも世界中のリスナーやDJから絶大な支持を集め続けている。
トラックリスト
- A1 Cara De Índio 3:10
- A2 Serrado 3:35
- A3 Água 3:40
- A4 Álibi 2:21
- A5 Numa Esquina De Hanói 2:57
- A6 Minhã Mãe 2:22
- B1 Alagoas 3:55
- B2 Estória De Cantador 4:15
- B3 Nereci 3:21
- B4 Samba Dobrado 3:29
- B5 Dupla Traição 3:02
動画プレイリスト
このアーティストについて
Djavan(ジャヴァン、1949年1月27日 - )は、ブラジル北東部アラゴアス州マセイオ出身のシンガーソングライター、ギタリスト、音楽プロデューサー。50...
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