Jocelyn Brown - Somebody Else's Guy (1984)
Jocelyn Brown 1984

Jocelyn Brown - Somebody Else's Guy (1984)

Electronic Funk / Soul Boogie Disco Electro

Jocelyn Brown『Somebody Else's Guy』

1984年にUSのVinyl Dreams Recordsからリリースされた、ジョセリン・ブラウン(Jocelyn Brown)のソロ・デビュー・アルバム。70年代半ばからスタジオ・セッション・シンガーとして活躍し、Musique、Inner Life、The Salsoul Orchestra、Change、Chicなどの名作で圧倒的な歌唱を披露してきた実力派シンガーが、満を持して自身の名義で表舞台へと躍り出た記念碑的な作品である。タイトル曲「Somebody Else's Guy」は、彼女のキャリアを代表する永遠のダンス・クラシックとなった。

制作背景・エピソード

「Somebody Else's Guy」は、1983年秋にジョセリン・ブラウンと実妹アネット・E・ブラウン(Annette E. Brown)が、同じ男性と知らずに交際していたという衝撃的な実体験から生まれた。しかもその男性には婚約者がいたことが発覚。二人は失意と怒りをクリエイティブな原動力へと昇華させ、傷つきながらも尊厳を失わないタフな女性の心情を歌詞に落とし込んで共作した。

プロデュースは、Shannon「Let the Music Play」等を手がけ当時のエレクトロ/ダンス・サウンドを切り拓いていたアレン・ジョージ(Allen George)とフレッド・マクファーレン(Fred McFarlane)が担当。マクファーレンがキーボードとドラム・プログラミングを手がけ、ベースにはSalsoul黄金期を支えた名手ジェームズ・キャロウェイ(James Calloway)、コンガにはアイヴァン・ハンプデン・ジュニア(Ivan Hampden Jr.)が参加した。エンジニアはヒューゴ・ドワイヤー(Hugo Dwyer)、マスタリングはFrankford/Wayneのトム・コイン(Tom Coyne)が務めている。レーベルはPrelude Recordsが製造・配給を手がけた新興レーベルVinyl Dreamsから送り出された。

収録曲には、自身のソロ曲「I Wish You Would」やロック調のダンサー「Hot Blood」に加え、Inner Life時代の名声を象徴する「I'm Caught Up (In A One Night Love Affair)」や「Ain't No Mountain High Enough」、さらにフレデリック・"M.C. カウント"・リントンによるアンサー・ラップ版「I'm Somebody Else's Guy (Rap)」も収録。ソロ・デビュー盤でありながら、彼女のこれまでの軌跡とボーカリストとしての魅力を集大成した構成となっている。

時代の文脈

1980年代前半のダンス・ミュージック界は、70年代後期の豪華なフル・オーケストラによるディスコから、シンセサイザー、シーケンサー、ドラム・マシンを主体としたミニマルでタイトな「80sブギー/エレクトロ・ファンク」への大きな移行期にあった。本作は、当時の最先端だったシンセ・プロダクションと、ジェームズ・キャロウェイによる生ベースの弾力的なグルーヴが見事に融合したニューヨーク・サウンドの金字塔である。

また、70年代のディスコ・シーンで数多くのスタジオ・プロジェクトや企画ユニットを陰で支え続けてきた実力派黒人女性ヴォーカリストが、自身の名前とポートレイトを前面に掲げてフロントに立ち、正当な評価を勝ち取った点でも大きな歴史的意義を持つ。シングル「Somebody Else's Guy」は、インディペンデント流通でありながら米BillboardのBlack Singlesチャートで最高2位(Hot 100で75位、Danceチャート13位、全英チャート13位)を記録する特大のヒットとなった。

サウンドと後世への影響

タイトル曲「Somebody Else's Guy」は、アカペラのカウントから自由自在なフェイクを繰り出し、ジェームズ・キャロウェイの跳ねるベースラインとともに一気にグルーヴへとなだれ込むイントロが圧巻。ゴスペル仕込みの圧倒的な声量とエモーショナルな表現力、そしてエレクトロ・ブギーのソリッドなビートが一体となり、哀愁と高揚感が同居する唯一無二のサウンドを生み出している。

本作はラリー・レヴァンによるParadise GarageやThe Loftをはじめとする伝説的クラブで熱狂的に支持され、80sブギー/ガラージ・クラシックの究極のアンセムとして定着した。1996〜1997年にはシシー・ペニストン(CeCe Peniston)がカバーして再ヒットを記録したほか、ヒップホップ、R&B、ハウスなどジャンルを越えて数多くサンプリングや引用が行われてきた。日本でも「サムバディ・エルスズ・ガイ」の邦題で親しまれ、ディスコやソウル・バーの永遠の定番曲として愛され続けている。

トラックリスト

  1. A1 Somebody Else's Guy 6:28
  2. A2 I'm Caught Up (In A One Night Love Affair) 7:03
  3. A3 Hot Blood 4:57
  4. B1 I Wish You Would 5:32
  5. B2 Ain't No Mountain High Enough 4:46
  6. B3 Hot Natured Woman 4:54
  7. B4 I'm Somebody Else's Guy (Rap) 5:40

動画プレイリスト

公開: 2026年10月
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