The Whispers - The Whispers (1979)
The Whispers『The Whispers』
1979年にSOLARから出た、The Whispersのセルフタイトル作。結成から15年近く活動を重ねてきたグループが、ソーラー・レコーズの流れの中で大きく前進した一枚で、彼らのキャリアでも大きな転機になった作品だ。プロダクションの中心は、SOLARサウンドの立役者として知られるLeon Sylvers III。アルバムでは、ダンス曲からバラードまでを横断しながら、グループのハーモニーを前面に置いた構成になっている。
制作背景・エピソード
本作は1979年10月、Dick Griffey主宰のSOLAR Recordsからリリースされた。グループにとっては、長い下積みの末に広く注目を集めたブレイクスルー作とされる。制作面ではLeon Sylvers IIIが重要な役割を担い、「And The Beat Goes On」を手がけたことが大きい。この曲は、70年代ディスコから80年代のブギー/エレクトロ・ファンクへ向かう流れの中で語られることが多い。もう一つの軸が「A Song For Donny」。1979年に亡くなったDonny Hathawayへの追悼曲で、Carrie Lucasが『This Christmas』のメロディに新しい詞を乗せた形で収録されている。
収録曲では、Nicholas Caldwellが書いた「Lady」も外せない。これはR&Bチャートで3位を記録した曲として知られ、アルバムの中でも存在感がある。さらに、Temptationsの「My Girl」をモダン・ソウル寄りに仕立て直したカバーも入っていて、オリジナル曲と並んでアルバムの流れを作っている。
時代の文脈
1970年代末は、ストリングスを多用した従来型のディスコに反発が集まり、よりタイトなリズムやシンセサイザー、スラップ・ベースを軸にしたブギー/ポスト・ディスコが前に出てきた時期だった。SOLARはその流れの中心にあり、ShalamarやLakesideと並んで西海岸のブラック・ミュージックを押し広げたレーベルとして機能していた。The Whispersはもともと伝統的なソウル・コーラス・グループだが、この作品ではそうしたハーモニーの持ち味を保ちながら、当時のダンス指向のサウンドに接続している。
グループの歴史の中でも、この時期は重要だ。1964年にWattsで結成され、メンバー交代を経ながら活動を続けてきた彼らは、1973年にGordy Harmonが事故で離脱し、Leaveil Degreeが加入している。そうした変遷を経たうえでの1979年作であり、以後のヒット期につながる土台になった。
後世への影響
なかでも「And The Beat Goes On」は、後年のサンプリングで広く知られている。いちばん有名なのはWill Smithの1998年の大ヒット「Miami」で、ベースラインとシンセのリフが使われたこと。ほかにも、Snoop Doggをはじめ多くのラッパーやプロデューサーに参照され続けている。クラブ・クラシックとしての扱いに加えて、90年代以降のヒップホップやポップスにも素材を提供した曲として残っている。
アルバム自体も、米ビルボードのTop Soul LPsで1位、Billboard 200で6位を記録し、プラチナ認定を受けた。シングル「And The Beat Goes On」はグループ初の全米R&B1位となり、全英シングル・チャートでも2位まで上がっている。The Whispersの代表作として語られるのは、この実績だけでなく、SOLAR初期の重要作として位置づけられているからでもある。
トラックリスト
- A1 A Song For Donny 4:27
- A2 My Girl 5:53
- A3 Lady 5:05
- A4 Can You Do The Boogie 6:07
- B1 And The Beat Goes On 7:30
- B2 I Love You 5:10
- B3 Out The Box 4:57
- B4 Welcome Into My Dream 4:40
動画プレイリスト
このアーティストについて
The Whispersは、1964年に米カリフォルニア州ワッツで結成されたソウル・グループだ。拠点はロサンゼルスで、ジャンルはFunk / Soul、スタイルとして...
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