Brick - Brick (1977)
Brick『Brick』(1977)
アトランタ出身のファンク/ソウル・グループ、Brickが1977年にBang Recordsから発表した2作目のアルバムがこの『Brick』である。前作で示した、ディスコの推進力とジャズ寄りのコード感を混ぜた独特の「dazz」路線を、さらに整理して前に出した作品として位置づけられる。バンド名そのままのタイトルを冠していることもあり、この時期のBrickの音楽性を端的に示す一枚という印象が強い。
作品の輪郭
本作はバンド自身とPhil Bentonの共同プロデュースで、Web IVスタジオで録音された。録音時点のBrickは、Morris Brown Collegeで結成された流れを持つグループとして、ソウルの歌ものらしさと、当時のダンス・ミュージックの要素を同じ器に収めていた。1977年という年を考えると、ディスコがチャートを席巻しながら、ファンクの演奏感も強く求められていた時期で、その空気をかなり素直に受け取ったアルバムでもある。
アルバムの中心にあるのは「Dusic」と「Ain’t Gonna Hurt Nobody」の2曲だろう。「Dusic」はシングルとして大きな反応を得て、Billboard Hot 100で18位、R&Bチャートで2位を記録した。続く「Ain’t Gonna Hurt Nobody」もHot 100で92位、R&Bで7位まで上がっており、アルバム全体の存在感を押し上げている。Brickの代表曲としてこの2曲がよく挙がるのも納得できる流れで、グループの持ち味が最もわかりやすく出ている場面でもある。
サウンドの特徴
このアルバムの音は、リズム・セクションの押しの強さがまず目立つ。ベースとドラムが細かく動きながらも、前に出るべきところではしっかり踏み込むので、曲の立ち上がりが速い。ホーンや鍵盤も要所で働いていて、単にビートを刻むだけでは終わらない。ファンクの骨格の上に、ソウルのメロディとディスコ的な反復が重なる形で、当時のダンス・フロアに向いた作りになっている。
実際に聴くと、前半の楽曲群は特に展開がはっきりしていて、リズムの切り替えやコーラスの入り方に勢いがある。いっぽうで、バラード寄りの曲ではテンションが少し落ち着き、曲によっては直線的な印象も残る。1977年のR&Bアルバムとしては、踊れる曲を軸に据えた構成がかなり明確で、アルバム全体もその方向にまとまっている。
チャートでの反応と当時の評価
チャート面では、BillboardのPop Albumsで最高15位、Top Soul Albumsで1位を記録した。Rock寄りのアルバムではなく、R&B/ソウルの文脈で強く支持された作品と見てよさそうだ。発売当時の評もおおむね好意的で、Billboardは「Ain’t Gonna Hurt Nobody」「We Don’t Wanna Sit Down」「Dusic」を推していた。Cash BoxでもR&Bアルバム・チャートで上昇し、地域販売でも勢いのある扱いだったという。こうした反応を見ると、アルバム単位でもシングル単位でも機能していたことがわかる。
一方で、当時の批評には前半のパーティー感のある楽曲を評価しつつ、後半のバラード類をやや平板とみる見方もあった。とはいえ、それも本作が「踊れるファンク」を軸にしたアルバムであることの裏返しとも言える。曲ごとの役割がかなり明確な作りなので、聴きどころがどこにあるかは掴みやすい。
Brickの中での位置づけ
Brickは1970年代から1980年代にかけて活動したアトランタのソウル・グループで、特に「Dusic」と「Dazz」がファンク史の中でもよく語られる代表曲になっている。本作『Brick』は、その評価を固めた時期の作品であり、グループの名前をそのまま掲げたタイトルらしく、サウンドの輪郭をはっきり提示した一枚でもある。前作で見えた方向性を、より整理して、よりチャート向きに磨いた作品という受け止め方がしやすい。
同時代の文脈で見ると、Earth, Wind & Fireのような洗練されたファンク/ソウル、あるいはShalamarやCommodores周辺のダンス志向のR&Bと並べて語られる場面もある。ただ、Brickの場合はディスコの軽さだけに寄らず、演奏の重心が比較的低いまま進むのが特徴的だ。そこに「Dusic」のような、タイトルからして独特な曲名とサウンドの結びつきが加わって、グループの個性になっている。
盤の情報について
このレコードはBang RecordsのBLP-409で、Columbia Records Pressing Plant, Terre Hauteによるプレス、ラベル表記違いのバリエーションがある。オリジナルの1977年盤としては、当時のBangらしいUS盤の作りで、のちの再発盤ではシングル編集がボーナス収録されるものも見られる。オリジナル盤と再発盤では、内容面でそうした違いが出ることがあるため、聴く際には収録形態の確認がひとつのポイントになりそうだ。
『Brick』は、Brickというバンドが1970年代のソウル/ファンクの中でどこに立っていたかを、かなりわかりやすく示すアルバムである。ヒット曲を軸にしながら、踊れるリズムと歌もののバランスを取った、時代の空気の乗った一枚という印象が残る。
トラックリスト
- A1 Ain't Gonna' Hurt Nobody 3:54
- A2 Living From The Mind 3:36
- A3 Happy 4:23
- A4 We Don't Wanna' Sit Down (We Wanna' Git Down) 5:41
- B1 Dusic 5:44
- B2 Hello 3:35
- B3 Honey Chile 4:53
- B4 Fun 3:33
- B5 Good Morning Sunshine 3:36