Johnny Harris - Movements (1970)
Johnny Harris『Movements』
1970年にワーナー・ブラザース・レコードから出たJohnny Harrisのソロ作『Movements』は、英国屈指の作・編曲家/指揮者として活躍していたハリスが、ロンドンのAdvision Studiosでトップ・セッション・ミュージシャンたちを集めて制作したインストゥルメンタル/シネマティック・ファンクの金字塔。ペトゥラ・クラーク、トム・ジョーンズ、シャーリー・バッシー、ルルらとの仕事で知られる名匠が自らの音楽性を極限まで追求した一枚で、エンジニアは名手Bob Augerが務めている。
制作背景・エピソード
本作のA面冒頭の3曲(「Fragment Of Fear」「Reprise」「Stepping Stones」)は、デヴィッド・ヘミングス主演のコロンビア映画『恐怖のフラグメント(Fragment of Fear)』(リチャード・C・サラフィアン監督、1970年)のためにハリスが書き下ろした劇伴音楽。参加ミュージシャンには、Herbie Flowers(ベース)、Harold Fisher(ドラムス)、Chris Spedding(ギター)、Bill Parkinson(ギター)、Harold McNair(フルート)、Roger Coulam(オルガン)ら英国ジャズ/ロック界の錚々たるプレイヤーが集結し、当時最新鋭だったVCS3シンセサイザーも大胆に導入された。
映画由来の楽曲に続き、アルバム後半ではザ・ローリング・ストーンズの「Paint It Black」、ドアーズの「Light My Fire」、ジョージ・ハリスンの「Something」、ジョン・レノンの「Give Peace A Chance」、ジミー・ウェッブの「Wichita Lineman」といった同時代のロック/ポップスの名曲をカバー。ハリスによる重厚なオーケストレーションと重量級のリズム隊が融合し、サイケデリックでダイナミックなファンク・シンフォニーへと昇華されている。
時代の文脈
1960年代末から1970年代初頭の英国では、映画音楽やライブラリー・ミュージック、オーケストラ・ポップが、サイケデリック・ロックやジャズ・ロックの実験性と結びつき、独自のシネマティック・グルーヴを生み出していた。豪快なブラス、ストリングス、ファズ・ギター、アナログ・シンセ、重量感のあるドラム・ブレイクが一体となった本作のサウンドは、当時の『Melody Maker』誌や『Disc & Music Echo』誌からも「英国バンド史上最高のオーケストレーションの一つ」と絶賛された。
後世への影響
1990年代以降、『Movements』はアシッド・ジャズやレア・グルーヴの文脈で熱狂的に再評価され、英国産シネマティック・ファンク/ライブラリー・ファンクの最高峰としてクラブDJやコレクターの間で聖典と化していった。コンピレーション盤『Pulp Fusion』や、ワーナー/アトランティックの音源集『Right On! Break Beats & Grooves』にも「Stepping Stones」や「Footprints On The Moon」が収録され、クラブ・クラシックの地位を確立している。
特に「Stepping Stones」におけるハロルド・マクネアの荒々しくグルーヴィなフルートとヘヴィなドラム・ブレイク、そして「Paint It Black」や「Footprints On The Moon」でのスペーシーな電子音と劇的なホーン・アレンジは、映画音楽の枠を超えたプログレッシブなオーケストラル・ファンクの最高峰として語り継がれている。
トラックリスト
- A1 Fragment Of Fear
- A2 Reprise
- A3 Stepping Stones
- A4 Something
- B1 Give Peace A Chance
- B2 Footprints On The Moon
- B3 Light My Fire
- B4 Wichita Lineman
- B5 Paint It Black
動画プレイリスト
このアーティストについて
ジョニー・ハリス(Johnny Harris、1932年11月9日 - 2020年3月20日)は、スコットランド・エディンバラ出身のイギリスおよびアメリカで活躍した名作編...
Johnny Harris のプロフィール・作品一覧