Dexter Wansel - Voyager (1978)
Dexter Wansel 1978

Dexter Wansel - Voyager (1978)

Funk / Soul Disco Jazz-Funk

Dexter Wansel『Voyager』

フィラデルフィア・インターナショナル・レコード(PIR)の専属プロデューサー/作編曲家/キーボード奏者としてギャンブル&ハフ体制を支えた鬼才デクスター・ワンゼル(Dexter Wansel)が、1978年にリリースしたソロ通算3作目のアルバム『Voyager』。フィリー・ソウルの総本山であるシグマ・サウンド・スタジオにて録音され、全曲のプロデュース、編曲、指揮、シンセサイザー/キーボード演奏までをワンゼル自身が手がけている。

制作背景・エピソード

本作では、長年にわたりワンゼルと名曲を紡いできた作詞家シンシア・ビッグス(Cynthia Biggs)が楽曲制作に深く関与。演奏陣には、のちにソロとしても活躍する女性シンガーのテリー・ウェルズ(Terri Wells)、ギタリストのハーブ・スミス(Herb Smith)、ドラマーのダリル・ブラウン(Darryl Brown)、ベーシストのデリック・グレイヴス(Derrick Graves)といった腕利きのスタジオ・ミュージシャンが集結し、強固なリズム・セクションを築き上げている。

ワンゼルは本作でARP 2600やミニモーグといったアナログ・シンセサイザー、フェンダー・ローズを縦横に操り、緻密なストリングス・アレンジとエレクトロニクスが一体となった唯一無二のコズミック・サウンドを構築した。

時代の文脈

1970年代後半のPIRにおいて、壮麗なオーケストレーションを特徴とするフィリー・ソウルの王道に対し、先鋭的なシンセサイザー・テクノロジーとSF的・宇宙的世界観を融合させたワンゼルのソロ作品群は独自の存在感を放っていた。1977年のボイジャー宇宙探査機打ち上げに象徴される当時のスペース・エイジ的気運とも呼応し、初期の『Life on Mars』(1976年)で提示した宇宙的ヴィジョンをさらに深化させ、ジャズ・フュージョン、ディスコ、ソウルを高次元でクロスオーバーさせた先駆的傑作である。

サウンド・聴きどころ

アルバムの白眉は、8分超に及ぶ壮大なインストゥルメンタル・フュージョンの表題曲「Voyager」。疾走するドラムとスラップ・ベースの上を、スペイシーなシンセサイザーとフェンダー・ローズのソロが駆け巡る圧巻のナンバーである。さらに、テリー・ウェルズの清涼感あふれるヴォーカルがフロアを照らすディスコ・ファンク「All Night Long」、爽快なラテン・ジャズ・フュージョン「Latin Love (Let Me Know)」、洗練された都会的モダン・ソウル「I Just Want To Love You」など、多彩なサウンドが惜しみなく展開される。

後世への影響

本作に収録された幽玄でメロウな名バラード「Time Is The Teacher」は、リック・ロスがカニエ・ウェスト、リル・ウェイン、T-ペインを迎えた大ヒット曲「Maybach Music 2」で大胆にサンプリングされるなど、後世のヒップホップ/R&Bプロデューサーから絶大な支持を集めた。

また、表題曲「Voyager」はマンキューソのThe Loftをはじめとするアンダーグラウンド・ディスコ/ガラージ・シーンや、ロンドンのジャズ・ファンク〜レアグルーヴ・シーンにおいてコズミック・クラシックとして語り継がれており、フィリー・サウンドの進化形を示す金字塔として今なお高く評価されている。

トラックリスト

  1. A1 All Night Long 5:34
  2. A2 Solutions 4:57
  3. A3 Voyager 8:13
  4. B1 I Just Want To Love You 4:17
  5. B2 Time Is The Teacher 5:30
  6. B3 Latin Love (Let Me Know) 4:48
  7. B4 I'm In Love 3:36

動画プレイリスト

公開: 2026年10月

このアーティストについて

Dexter Wansel

Dexter Wansel

Dexter Wansel(デクスター・ワンセル、1950年生まれ)は、アメリカ・ペンシルベニア州フィラデルフィア出身のキーボーディスト、シンセサイザー奏者...

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