Donald Byrd - Caricatures (1976)
Donald Byrd『Caricatures』
1976年にBlue Noteから発表された『Caricatures』は、名トランペッターのドナルド・バードが同レーベルに残した最後のスタジオ・アルバムであり、ラリー&フォンスのマイゼル兄弟(The Mizell Brothers / Sky High Productions)との伝説的コラボレーションを締めくくる総決算的一枚である。録音はロサンゼルスの名門スタジオSound Factoryで行われ、著名な風刺画家アル・ハーシュフェルドによるバードの洒脱な肖像イラストがジャケットを飾っている。
制作背景と参加ミュージシャン
1973年の歴史的大ヒット作『Black Byrd』以降、ジャズとファンク、R&Bを融合させたクロスオーバー路線を牽引してきたバードとマイゼル兄弟。5作目にして最後のタッグとなった本作では、当時台頭しつつあったディスコやダンス・ミュージックの熱気を取り入れ、よりダンサブルで洗練されたサウンドを構築している。
参加メンバーには西海岸の一流セッション隊が集結した。オープニングを飾る「Dance Band」では、モータウンの屋台骨を支えた伝説的ベーシスト、ジェームズ・ジェマーソンが参加して強烈なベースラインを刻む。さらにハーヴィー・メイソンとアルフォンス・ムーゾンのツイン・ドラム体制をはじめ、パトリース・ラッシェン、デヴィッド・T・ウォーカー、ゲイリー・バーツらが参加。ウェイド・マーカスによる華麗なストリングスと、マイゼル兄弟特有の浮遊感あふれるボーカル・コーラスが全編を極上の高揚感で包み込む。
収録曲では、疾走感に満ちたジャズ・ファンク「Dance Band」や、マイゼル・サウンドの美学が凝縮されたメロウなタイトル曲「Caricatures」、そしてモータウンのクラシックをダンサブルなジャズ・ファンクへと見事に換骨奪胎した「Dancing in the Street」などが白眉である。
時代の文脈と後世への影響
リリース当時はストレートアヘッドなジャズの評論家たちから商業主義への傾倒と批判されることもあったが、後年のレア・グルーヴ・ムーブメントやアシッド・ジャズ、さらにはヒップホップのサンプリング文化を通じて決定的な再評価を獲得した。洗練されたアレンジと卓越したミュージシャンシップが織りなすサウンドは、今なお色褪せない輝きを放っている。
ハード・バップの時代から常に第一線で進化を続けてきたドナルド・バードが、Blue Noteという名門の歴史に刻んだ華麗なるフィナーレであり、1970年代ブラック・ミュージックの金字塔である。
トラックリスト
- A1 Dance Band 6:09
- A2 Wild Life 5:58
- A3 Caricatures 5:08
- A4 Science Funktion 4:49
- B1 Dancing In The Street 4:40
- B2 Return Of The King 4:50
- B3 Onward 'Til Morning 3:45
- B4 Tell Me 4:18
動画プレイリスト
このアーティストについて
Donald Byrdは、アメリカ・デトロイト出身のジャズ・トランペッター、作曲家、バンドリーダー、教育者だ。1932年12月9日生まれ、2013年2月4日にデラウ...
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