Judy Dyble - Talking With Strangers (2009)
Judy Dyble『Talking With Strangers』
Judy Dybleの『Talking With Strangers』は、2009年にオランダのTonefloatから登場した作品。フェアポート・コンヴェンションの初代シンガーとして知られるダイブルが、晩年にあらためて多くのミュージシャンを集めて作り上げたアルバムで、180グラムのブラック・ヴァイナル500枚限定でリリースされた。ジャケットに加え、Judy Dybleのサイン入りポストカードが付属する仕様も記録されている。
制作背景・エピソード
制作にはノー・マンのティム・ボウネスが共同プロデューサーとして参加している。録音はノーフォーク、オックスフォードシャー、日本、フランス、ロンドン、アメリカで行われ、イアン・マクドナルドのパートはニューヨークで録音された。マスタリングは米テネシー州ナッシュビルのThe Lakehouseで実施された。
この作品で大きく注目されるのが、キング・クリムゾンのオリジナル・メンバーであるロバート・フリップとイアン・マクドナルドの共演。両者が同じ楽曲で顔をそろえるのは、1969年の『In the Court of the Crimson King』以来、40年ぶりとされる。フリップはギターとサウンドスケープ、マクドナルドはフルートとアルトサックスを担当している。さらに、パット・マステロットも参加し、演奏陣の名前が並ぶ構成になっている。
収録曲では、ELPの「C'est La Vie」のカバーも含まれている。原曲を別の形で取り上げている点も、このアルバムの見どころのひとつ。ほかに「Jazzbirds」「Grey October Day」などが並び、B面全体を使った約20分の「Harpsong」が中心的な位置を占める。『All About Jazz』などでは、この「Harpsong」を含む内容が高く取り上げられている。
時代の文脈
Judy Dybleは、1960年代後半の英国フォーク・ロックと初期プログレッシヴ・ロックの接点にいた人物として知られる。フェアポート・コンヴェンションでの活動ののち、Giles, Giles and Frippに短期間参加し、その後はTrader Horneを結成している。『Talking With Strangers』では、その経歴を持つダイブルが、2000年代の制作環境の中でティム・ボウネスらと組み、過去の英国ロック史に関わるミュージシャンたちと再び交わっている。
参加者には、フェアポートのサイモン・ニコル、ペンタングルのジャッキー・マクシー、キング・クリムゾンのパット・マステロットといった名前も含まれる。いずれも英国フォークやプログレッシヴ・ロックの文脈で知られる人物で、作品のクレジットにはそうした系譜がそのまま表れている。アルバムは、ダイブルのキャリアを振り返る場としても位置づけられている。
後世への影響
2010年代以降、この作品はジュディ・ダイブル晩年の重要作として語られている。2020年にダイブルが71歳で亡くなったあとも、彼女の透明感のある歌声や自伝的な詞世界に注目する文脈の中で取り上げられている。限定プレス盤は早い段階で完売したとされ、2009年の時点で話題性の高い1枚だったことがうかがえる。
『Talking With Strangers』は、ダイブルの長い活動歴と、フリップやマクドナルドをはじめとする参加者の経歴が交差した作品。録音地の広がり、限定盤仕様、そして「Harpsong」のような長尺曲まで含めて、クレジット情報そのものが内容を物語るアルバムになっている。
トラックリスト
- A1 Neverknowing 1:42
- A2 Jazzbirds 3:05
- A3 C'est La Vie 4:15
- A4 Talking With Strangers 3:23
- A5 Dreamtime 4:19
- A6 Grey October Day 6:04
- B Harpsong 19:19