Kikagaku Moyo - House In The Tall Grass (2016)
Kikagaku Moyo『House In The Tall Grass』
2012年に東京で結成された幾何学模様、Kikagaku Moyoのサード・アルバムが『House In The Tall Grass』。2016年5月にGuruguru Brainから出た作品で、前作『Forest of Lost Children』の路線からさらに整理された構成へ進んだ一枚として語られている。録音とミックスはツバメスタジオの君島結が担当し、緻密なアコースティック楽器の鳴りと立体的な音響空間が捉えられたとされる。
制作背景・エピソード
バンドは初期の路上演奏や、完全なフリーフォーム・ジャムから活動を始めた。その後、欧米を中心とする度重なる海外ツアーを経て、本作ではアルバムとしての構成美と空間設計を意識して制作に向かったという。こうした流れの中で、演奏の勢いだけでなく、曲ごとの輪郭や配置がよりはっきりした作品としてまとめられている。
収録曲では「Green Sugar」がよく触れられる。繊細なアコースティック・ギターとシタールが重なり、ドリーミーな歌声から終盤のファズ・ギターへ展開する曲として紹介されている。「Kogarashi(木枯らし)」は日本の季節感を想起させる曲として挙げられ、「Silver Owl」は10分に及ぶ長尺トラックで、催眠的なグルーヴと徐々に熱量を高めるアンサンブルが特徴とされる。アルバム全体の中で、静けさと動きの切り替えが印象に残る構成。
時代の文脈
2010年代半ばは、King Gizzard & The Lizard Wizardをはじめとする新世代サイケデリック・ロックが世界的に広がっていた時期で、幾何学模様は日本発のインディペンデント・バンドとして国際的フェスティバルや海外ツアーで支持を集めていた。本作は、その流れの中で発表された作品として位置づけられている。
サウンド面では、60〜70年代のブリティッシュ・アシッド・フォーク、クラウトロックのモーターリック・ビート、インド古典音楽のシタール、日本のアンダーグラウンド・サイケの系譜が結びつけられている。こうした要素を持つ作品として、2010年代ネオ・サイケデリアの文脈で語られてきた。バンドにとっても、世界的な認知を広げた出世作として扱われている。
リリースと評価
2016年の初回プレスは黒盤1,500枚で、Guruguru Brainの特製日本語オビ付き。フリーダウンロードコードも封入された。以後、カラーヴァイナルを含む複数回のリプレスが行われており、2016年5月の初回から2022年4月まで継続的に再プレスが重ねられている。
発売後は『Aquarium Drunkard』や『Clash』などで高く評価され、「現代サイケ・フォークの傑作」「時間を超越したトリップ感を持つレコード」といった受け止めが示された。初回プレスがすぐに完売したことも記録されている。後年には、バンドの活動休止後もこの作品の静かなサイケ・フォーク美と長尺ジャムの構築が参照され、イタリアのUpupayāmaのような後続のサイケ・バンドにも触れられている。
Guruguru Brainにとっても、本作は重要な一枚だった。レーベルは2014年にGo KurosawaとTomo Katsuradaによって立ち上げられ、アジア圏の音楽を世界へ届ける基盤を整えていく。その中で『House In The Tall Grass』は、幾何学模様の名を広く知らしめた作品として残っている。
トラックリスト
- A1 Green Sugar 7:54
- A2 Kogarashi 4:41
- A3 Old Snow, White Sun 3:25
- A4 Melted Crystal 5:31
- A5 Dune 2:08
- B1 Silver Owl 10:05
- B2 Fata Morgana 1:21
- B3 Trad 8:35
- B4 Cardigan Song 4:49
動画プレイリスト
このアーティストについて
Kikagaku Moyo(幾何学模様)は、東京で結成されたサイケデリック・ロック・バンドだ。活動期間は2012年から2022年までで、2022年1月19日に無期限活動...
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