Kiki Gyan - Feeling So Good (1979)
Kiki Gyan『Feeling So Good』(1979)
ガーナ出身のキーボーディスト、Kiki Gyanが1979年に発表したソロ作。Osibisaのメンバーとして知られた彼が、バンドでの活動を経てソロ名義で打ち出したディスコ作品のひとつで、UKのBoom Recordsからリリースされた。ファンクを土台に、ディスコの推進力、アフロ寄りのリズム感、レゲエの揺れをひとつの盤にまとめた内容で、当時のロンドン周辺のブラック・ミュージックの流れとも接点がある。
Osibisaの後に置かれたソロ・アルバム
Kiki Gyanは1957年生まれ。10代でOsibisaに参加し、若くして国際的なステージを経験した人物として知られる。『Feeling So Good』は、その後に進めたソロ活動の中での一枚で、バンド・メンバーとしての役割から、キーボードを中心に自分の音を前面へ出す方向へ移った時期の記録になっている。プロフィールでも触れられている通り、彼は録音現場でも高い需要を持つプレイヤーで、この作品でもその演奏力が核になっている。
作品全体を通してまず目につくのは、キーボードの配置だ。派手な装飾で押すのではなく、リズムを支えながら前に出る鍵盤の動きが中心にある。ディスコのフォーマットを使いながら、単純なダンス・アルバムに寄らず、アフロのチャントやファンクの反復、レゲエ由来の間合いが混ざる構成。1970年代末のディスコ周辺でよく見られる都市的な洗練だけでなく、出自を感じさせる要素が残っている点が特徴的だ。
収録曲の手触り
オープナーの「Disco Dancer」は、約7分の長尺で引っ張るタイプの曲。ハイハット主体のヴァンプが続き、ビートの積み上げで熱量を作る。歌やメロディを前に押し出すというより、リズムの持続で場を保つ作りで、ディスコの機能性がよく出ている。曲の進み方も、クラブ向けの延長線にある構成。
「Sunshine Baby」では、キーボードのラインが淡々としたグルーヴを支える。音数を増やしすぎず、一定の拍の上で細かく動く鍵盤が印象に残る。派手なソロより、全体の流れを崩さないプレイが目立つ曲調だ。
「Black Afro Punk」は、タイトルの通り少し毛色が違う。柔らかいレゲエ/ダブの感触があり、アルバムの中でも緩急をつける役割を持つ。ディスコ一辺倒にせず、複数のリズム感を並べていく作りが、盤の個性につながっている。
同時代の文脈
この時期のディスコは、アメリカだけでなくロンドンでも多様化していた。西洋のディスコをそのままなぞるのではなく、アフロ・ファンクやレゲエを混ぜて再構成する動きがあり、Kiki Gyanの作品もその流れの中に置ける。Osibisaのようなアフロ・ロックの文脈を引きずりつつ、よりダンスフロアに向いた形へ寄せたところに、このアルバムの立ち位置がある。
比較対象としては、同じくアフロ要素をディスコやファンクに接続した作品群が思い浮かぶ。ただし『Feeling So Good』は、バンド・サウンドの厚みよりも、キーボードを中心に組み立てたところがはっきりしている。プレイヤー主導のディスコ作品として聞くと、彼の技術と構成感が見えやすい。
再評価の流れ
この盤は長く再発が少なかったが、2018年にドイツのインディー・レーベルからヴァイナルとCDでリイシューされた。オリジナルの1979年盤と比べると、再発によって耳に届く機会が増え、Kiki Gyanのソロ作品群が改めて見直されるきっかけになった。Osibisaの名で語られがちな彼のキャリアの中で、ソロとしてディスコを押し出した時期を確認できる一枚として重要だ。
『Feeling So Good』は、ヒット曲を並べたベスト型のアルバムではなく、キーボード奏者としてのKiki Gyanが、自分のグルーヴをどう組み立てるかを示した作品。派手さよりも、反復、拍の置き方、音の重ね方に耳が向く内容で、1979年という時代の空気と、彼自身の演奏家としての輪郭が同時に見えてくる。
トラックリスト
- A1 Disco Dancer
- A2 Sunshine Baby
- A3 Sexy Dancer
- B1 Black Afro Punk
- B2 Alhaji Who Are You
- B3 We Make Music