Mtume - In Search Of The Rainbow Seekers (1980)
Mtume 1980

Mtume - In Search Of The Rainbow Seekers (1980)

Funk / Soul Boogie Funk Soul

Mtume『In Search Of The Rainbow Seekers』(1980)

Mtumeの『In Search Of The Rainbow Seekers』は、1980年にUSのEpicから出たアルバム。James Mtumeを中心に、レジー・ルーカスとの作曲・制作の流れを引き継ぎながら、ジャズ由来の演奏感とR&B寄りのファンクを結びつけた作品として位置づけられる。のちに「Juicy Fruit」で広く知られるMtumeだが、この時点ではまだブギー色の強い洗練された路線に寄り切る前段階で、バンドの演奏力とソウル・ファンクの手触りが前に出ている。

James Mtumeという人物と、この時期のMtume

James Mtumeは、実父がテナーサックス奏者ジミー・ヒースという音楽一家の出身で、ヒース・ブラザーズの系譜に連なる人物。1970年代前半にはマイルス・デイヴィスのエレクトリック期バンドでパーカッションを担当し、『On The Corner』『Big Fun』『Get Up With It』『Agharta』などに参加している。その後、レジー・ルーカスと組んで作曲家・プロデューサーとしても存在感を強め、ロバータ・フラック周辺の仕事でも手腕を見せた。

Mtumeというバンド自体は1978年に結成され、ジャズ、ファンク、R&Bの接点を狙うユニットとして動いていた。本作は、その初期のまとまりを記録したアルバムで、後年のヒット曲中心のイメージだけでは見えにくい、もう少し演奏寄りの輪郭が残っている。

収録曲の核となる「Give It On Up (If You Want To)」

このアルバムでまず触れておきたいのが「Give It On Up (If You Want To)」。R&Bチャートで26位を記録した曲で、アルバムの中でも分かりやすい推進力を持つ。作者はJames MtumeやReggie Lucasではなく、バンドメンバーのHoward King、Edward “Tree” Moore、Tawatha Ageeの3人。ここが面白いところで、バンド全体の演奏と歌のまとまりがそのまま楽曲の力になっている。

この曲は、のちの「Juicy Fruit」のような艶のあるブギー・グルーヴとは少し違い、もう少しジャズの気配が残るファンクに寄っている。ベースとドラムの粘り、鍵盤の細かな装飾、歌の掛け合いが前に出て、リズムを細かく刻みながら進むタイプの作り。派手な展開より、反復の中で熱量を上げていく構成が印象に残る。

サウンドの特徴

『In Search Of The Rainbow Seekers』全体を通して聞くと、ソウルの歌心、ファンクのリズム、ジャズのコード感がそれぞれ独立せずに混ざっている。Mtumeの持ち味は、ここでかなり早い段階から見えている。演奏はタイトだが、機械的に整えた感じではなく、バンドの呼吸が残る。ボーカルも前に出るが、歌だけで押し切る作りではなく、リズム隊の動きとセットで曲が立ち上がる。

同時代の感覚で見ると、1970年代後半から1980年前後にかけてのブラック・ミュージックの流れ、つまりディスコの後を受けたブギー、R&Bの洗練、ファンクの細分化の中にある作品。Chic周辺のような都会的なダンス感とも、従来型の生々しいファンクとも少し距離があり、Mtumeはその中間で独自の立ち位置を作っている。

ヒット曲以外の位置づけ

Mtumeの代表曲としては後年の「Juicy Fruit」がどうしても強いが、その前段にある本作は、バンドの方向性を確認できるアルバムとして見やすい。James MtumeとReggie Lucasの制作感覚が、後の80年代R&Bへつながる入口のように働いていて、ここでのグルーヴ設計が後の洗練されたサウンドに流れ込んでいく。

また、Mtumeの音楽はのちにヒップホップやR&Bでサンプリングされることが多いが、その背景には、単なるヒット狙いではないリズムの組み方がある。音の隙間、ベースラインの粘り、コーラスの配置など、断片として切り出しやすい要素が多いのもこの手のバンドらしい特徴だ。

オリジナル盤について

オリジナルは1980年のUS Epic、カタログ番号はJE 36017。発売元表記はCBS Inc.、ニューヨークの51 W. 52 Streetの記載がある。Epicは当時、R&Bやロックのヒットを多く抱えていたレーベルで、本作もその流れの中に置かれている。盤としては1980年当時の初出盤であり、のちの再発盤とは時代背景が異なる。レーベルのロゴや表記も、当時のEpicらしい仕様を持つ。

まとめ

『In Search Of The Rainbow Seekers』は、Mtumeの初期像をそのまま確認できるアルバム。ジャズに根を持つJames Mtumeの経歴、レジー・ルーカスとの制作感覚、そしてバンドとしての演奏力が、ソウル/ファンク/ブギーの接点でまとまっている。特に「Give It On Up (If You Want To)」は、この時期のMtumeを端的に示す一曲で、後年のヒット作へ向かう前の、少し硬質で、しかし動きのあるグルーヴが残る。

トラックリスト

  1. A1 Give It On Up (If You Want To) 6:38
  2. A2 You Can't Wait For Love 4:50
  3. A3 She's A Rainbow Dancer 4:55
  4. A4 We're Gonna Make It This Time 4:52
  5. A5 Dance Around My Navel (Doesn't Have To Make Sense, Just Cents) 1:57
  6. B1 So You Wanna Be A Star 5:14
  7. B2 Spirit Of The Dance 4:17
  8. B3 Anticipatin' 4:19
  9. B4 Everything Good To Me 4:05
  10. B5 Mrs. Sippi 3:40

動画プレイリスト

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