Slave - Slave (1977)
Slave 1977

Slave - Slave (1977)

Funk / Soul Funk

Slave『Slave』

オハイオ州デイトンが生んだファンク・バンド、Slave(スレイヴ)が1977年に発表した記念すべきデビュー・アルバム『Slave』。アトランティック傘下のCotillion(コティリオン)からリリースされた本作は、ニュージャージー州サイアーヴィルのCentury Sound Studiosで録音され、全米R&Bチャート1位を獲得したキラー・チューン「Slide」とともにバンドの名を全世界に轟かせた。マーク・アダムスによる地を這うような超重量級スラップ・ベースと、マーク・ヒックスの荒々しいハード・ロック風ディストーション・ギターが激突する、オハイオ・ヘヴィ・ファンクの不滅の金字塔である。

制作背景・エピソード

「ファンクの首都」と呼ばれたオハイオ州デイトンにて、1975年にトランペット奏者スティーヴ・ワシントン(オハイオ・プレイヤーズのラルフ・“ピー・ウィー”・ミドルブルックスの甥)と、当時まだ10代だった天才ベーシストのマーク・アダムス(愛称“Mr. Mark”)を中心にバンドは結成された。彼らのデモテープを聴いたアトランティック/コティリオンの首脳陣は即座に契約を結び、デビュー作の制作がスタート。ワシントンによる緻密なホーン・アレンジとプロデュースのもと、バンドは当時のファンク・バンドとしては異例なほど硬質なギター・リフと、雷鳴のごとく鳴り響く強烈なベースラインを主軸に据えたサウンドを追求した。Pファンクのようなスペイシーな世界観やディスコのきらびやかさとは一線を画す、無骨で肉感的なバンド・アンサンブルがここに誕生した。

時代の文脈

1977年のアメリカ音楽界は、ディスコ・ブームがメインストリームを席巻し、均質化された四つ打ちビートと洗練されたオーケストレーションがダンスフロアを支配し始めていた時代であった。その一方で、オハイオ・プレイヤーズやパーラメント、ファンカデリック、アース・ウィンド&ファイアーといった大編成の黒人バンドがファンクの最盛期を築いていた。そうした潮流の中で登場したスレイヴは、洗練された都会的なディスコとは真っ向から対立する、ストリートの熱気と獰猛なロックのエッジを融合させたヘヴィ・ファンクを提示。生々しいグルーヴを渇望していたリスナーやクラブDJたちから熱狂的な支持を獲得した。

サウンド・聴きどころ

アルバムの幕開けを飾る「Slide」は、唸りを上げるマーク・アダムスのスラップ・ベースの独奏から、タイトなドラムとホーン、ファズのかかった攻撃的なギター・ソロが畳み掛ける、ファンク史上最高峰のアンセムである。続く「Screw Your Wig On Tite」の強靭なビート、熱気あふれるパーティー・チューン「Party Hardy」、そして「Slide」のテーマをインストゥルメンタルで変奏したスリリングな「Son Of Slide」に至るA面は、一切の減速を許さない怒濤のファンク・グルーヴが連続する。一方でB面では、スウィートでメロウなソウル・バラード「You And Me」や「The Happiest Days」が配され、荒削りなヘヴィネスの裏に隠された洗練されたヴォーカル・ハーモニーと美しいメロディ・センスを証明。バンドの音楽性の豊かさと底知れぬポテンシャルを物語っている。

後世への影響

マーク・アダムスが本作で見せた独自のパーカッシブなスラップ奏法は、ラリー・グラハムやルイス・ジョンソンに並ぶ革新として、後世のベース・プレイヤーたちに計り知れない影響を与えた。さらにスレイヴのサウンドは、1990年代に西海岸を席巻したウエストコースト・ヒップホップ(Gファンク)の決定的な礎となった。特に「Slide」はスヌープ・ドッグの「G Funk Intro」をはじめ、ドクター・ドレー周辺や無数のヒップホップ・アーティストによってサンプリング/引用されており、その図太いベースラインとファンクの骨格は時代を超えてサンプリング・クラシックとして生き続けている。

評価・チャート

本作はデビュー作にして全米ビルボードR&Bアルバム・チャートで堂々の1位を獲得し、総合アルバム・チャート(Billboard 200)でも34位まで上昇、全米レコード協会(RIAA)からゴールド・ディスク認定を受ける特大のヒットとなった。シングル「Slide」もR&Bチャート1位(Hot 100で32位)を叩き出し、スレイヴは新世代オハイオ・ファンクの旗手としての地位を不動のものにした。1970年代後半のブラック・ミュージックを語る上で欠かすことのできない、ヘヴィ・ファンクの最高傑作として今なお燦然と輝いている。

トラックリスト

  1. A1 Slide 6:47
  2. A2 Screw Your Wig On Tite 5:29
  3. A3 Party Hardy 3:42
  4. A4 Son Of Slide 5:29
  5. B1 You And Me 6:41
  6. B2 Love Me 4:39
  7. B3 The Happiest Days 5:17
  8. B4 Separated 5:30

動画プレイリスト

公開: 2026年7月

このアーティストについて

Slave

Slave

Slaveは、1975年にオハイオ州デイトンで結成されたファンク・バンドです。トロンボーン奏者のFloyd Millerと、トランペット奏者でソングライター、プ...

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