King Crimson - In The Court Of The Crimson King (An Observation By King Crimson) (1969)
King Crimson 1969

King Crimson - In The Court Of The Crimson King (An Observation By King Crimson) (1969)

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King Crimson / In The Court Of The Crimson King (An Observation By King Crimson)

King Crimsonのデビュー作であり、1969年の英国ロックを語るうえで外せないアルバム。タイトルは長いが、内容ははっきりしている。ロバート・フリップ、イアン・マクドナルド、グレッグ・レイク、マイケル・ジャイルズ、ピート・シンフィールドという初期メンバーが作り上げた、プログレッシブ・ロックの初期像を強く刻んだ一枚である。リリースはUK盤、レーベルはIsland RecordsのILPS 9111。ジャケットの顔面を大きく配したアートも含めて、1969年10月10日発売の時点で強い印象を残した作品だ。

作品の位置づけ

King Crimsonは1968年結成、1969年に本作でデビューした。バンドとしての出発点がこのアルバムにそのまま残っている。後年のKing Crimsonは編成の変化を繰り返しながら、より硬質で実験的な方向へ進んでいくが、この作品ではメロディ、劇的な展開、ジャズ寄りのフレーズ、フォーク的な要素が一枚の中で同居している。プログレッシブ・ロックの代表作として扱われるのは、その後の展開を先取りした構成がすでに見えているからだろう。

同時代の英国ロックでいうと、The WhoやPink Floydの動きとも近い空気を持ちながら、より組曲的で、曲の構造がはっきり複雑化している。後のGenesis、Yes、Rush、Emerson, Lake & Palmerなどに影響を与えた作品としてよく挙げられるのも納得しやすい。単なるハードロックでもサイケデリックでもなく、楽曲の組み立てそのものを前面に出した作りになっている。

収録曲と聴きどころ

A面冒頭の「21st Century Schizoid Man」は、このアルバムの顔ともいえる曲。冒頭からの強いリフ、歪んだボーカル、切り込むようなサックスが並び、当時のロックの中でもかなり鋭い部類に入る。後のヘヴィ・プログレや、ジャズロック寄りの攻めたバンドがこの曲を参照してきたのも自然な流れに見える。シングルとしての分かりやすさより、圧力と構成の強さで押してくるタイプの代表曲だ。

続く「I Talk to the Wind」は、先ほどの攻撃性から一転して静かな曲調。フルートと歌の間に空間があり、アルバム全体の振れ幅を示す役割を持っている。「Epitaph」は本作の中でも特に知られた楽曲で、壮大な展開と重い歌詞が印象に残る。ラベル表記では「March For No Reason」「Tomorrow And Tomorrow」を含む形で示されており、組曲的な性格がはっきりしている。

B面では「Moonchild」が長めの尺を取り、静かなパートから即興的な流れへ移っていく。「The Court Of The Crimson King」も代表曲のひとつで、アルバムの表題曲らしく、終盤に向けての大きなうねりがある。ラベル上では「The Return Of The Fire Witch」「The Dance Of The Puppets」を含む表記になっている。全体として、曲ごとの性格がかなり違うため、1枚の中で景色が次々と変わる構成になっている。

このUK初版について

この盤はUKオリジナルのIsland Records盤で、ピンクの“i”ラベル、ゲートフォールド仕様。マスター・ノートでは、公式リリース日はMelody Maker掲載の1969年10月10日とされている。インナーは青文字の特許表記入り、または別表記のものが確認されている。ランアウトはスタンプ刻印。初期盤らしい仕様がそろっている。

同じ初期盤でも、ゲートフォールド内の印刷クレジットの有無が異なる近似盤があるため、細部の違いが比較ポイントになる。こうした初期プレスの差は、コレクターがよく確認する部分でもある。

背景にあるエピソード

発売前の1969年7月、ロンドンのハイド・パークで行われたThe Rolling Stonesの無料コンサートに前座として出演したことが、本作の認知を大きく押し上げた。まだ無名に近い段階で大観衆の前に立ち、その後すぐにアルバムを出した流れは、デビュー作としてはかなり強い。さらにPete Townshendが本作を「an uncanny masterpiece」と評したことも、評価の定着に影響したとされる。

ジャケット・アートも重要だ。あの叫ぶ顔はBarry Godberによるものだが、彼はこの作品のジャケットを描いた後、1970年2月に急逝した。結果として、この絵は彼にとって唯一のアルバム・ジャケットになった。音楽と同じくらい、視覚面でも記憶に残る作品である。

まとめ

『In The Court Of The Crimson King』は、King Crimsonの出発点であり、プログレッシブ・ロックの初期の輪郭を強く示したアルバム。激しい曲、静かな曲、組曲的な展開が並び、1969年という年のロックがどこまで広がっていたかを示す資料のようでもある。UK初版のピンク“i”ラベル盤は、その歴史的な瞬間をそのまま閉じ込めた一枚として見ることができる。

トラックリスト

  1. A1 21st Century Schizoid Man Including Mirrors 6:52
  2. A2 I Talk To The Wind 5:40
  3. A3 Epitaph Including March For No Reason And Tomorrow And Tomorrow 8:30
  4. B1 Moonchild Including The Dream And The Illusion 12:09
  5. B2 The Court Of The Crimson King Including The Return Of The Fire Witch And The Dance Of The Puppets 8:48

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