Laban - Roulette (1987)
Laban 1987

Laban - Roulette (1987)

Electronic Rock Pop Rock Disco

Laban『Roulette』──1980年代デンマーク・ユーロポップの国際盤

『Roulette』は、デンマークのデュオ、Labanが1987年に発表したアルバムだ。Ivan PedersenとLecia Jönssonによるこのユニットは、80年代前半から本国デンマークで人気を集め、英語詞による国際展開でも実績を残してきた。前作『Caught by Surprise』では「Love in Siberia」が米国Billboard Hot 100入りを果たしており、本作はその流れを受けた1987年時点の国際向け作品として位置づけられる。リリースはヨーロッパ盤で、Mega Recordsからの発表。盤面には「Made in Germany」とあり、スカンジナビア圏だけでなく欧州市場を意識した流通だったことがうかがえる。

デュオとしてのLabanと、本作の立ち位置

Labanは1982年にデンマーク語シングル「Hvor ska' vi sove i nat?」でデビューし、本国で100万枚超のヒットを記録した。その後、英語詞での活動を本格化させ、1986年の『Caught by Surprise』で海外市場に踏み込む。『Roulette』は、その国際展開の2作目にあたるアルバムで、1988年の解散前に残された後期の重要作でもある。デュオはこの時期、国内ヒットのグループから、欧州のポップ市場で勝負する存在へと動いていた。

Mega RecordsはデンマークのCopenhagenで1983年に設立されたレーベルで、のちにAce Of Baseを大きく送り出すことになる会社でもある。80年代後半の同レーベルは、北欧ポップを国際市場へ届ける実務の面でも存在感があった。そのカタログの中で『Roulette』は、Labanの英語詞路線を支えた一枚として見やすい。

収録曲とアルバムの構成

本作には10曲が収録され、リード曲は「Russian Roulette」。タイトルからして印象が強く、アルバム全体の中でも中心に置かれた曲だ。出版クレジットを見ると、P.E.T. Music、Silly Songs、Rap road / Megasong Publ.、Schacht Musik / Megasong Publishingなど、複数の出版社が関わっている。80年代の欧州ポップらしく、制作・流通の面で国際的な体制が組まれている点も特徴的だ。

  • A1, B1, B4, B5 - P.E.T. Music
  • A2, A4, A5, B3 - Silly Songs
  • A3 - Rap road / Megasong Publ.
  • B2 - Schacht Musik / Megasong Publishing

ジャンル表記はElectronic、Rock、スタイルはPop Rock、Disco。実際の音像も、80年代後半の欧州ポップらしい打ち込みの輪郭と、ロック寄りの押し出しが同居する作りで、ディスコ由来の反復感も残る。Labanは男女デュオならではの掛け合いが軸にあるため、単独ボーカルのポップ作品とは違い、声の交差が曲の印象を決めている。

国際展開のアルバムとしての性格

『Roulette』は、Labanの本国ヒットをそのままなぞる作品ではなく、英語詞で海外市場を狙った流れの延長線上にある。前作『Caught by Surprise』が米国チャート入りという結果を残したのに対し、本作はスウェーデンでアルバムチャート25位に2週間ランクインするなど、北欧圏では一定の反応を得た。一方で、前作ほどの国際的な広がりには届かなかった。こうした推移は、80年代の北欧ポップがたどった現実も映している。大きな成功のあとに、次作でさらに市場を広げることは簡単ではなく、Labanもその波の中にいた。

同時代の文脈で見ると、北欧から英語詞のポップを送り出す動きは珍しくないが、Labanはその中でも早い段階で米国チャートに届いた例として知られる。後年のAce Of Baseのような世界規模の成功を先取りする存在でもあり、Mega Recordsのカタログをたどると、北欧ポップの輸出モデルの初期形が見えてくる。

聴きどころと作品の印象

実際に聴くと、『Roulette』はアルバム全体の設計がはっきりしていて、シングル向けの押し出しと、アルバム曲としての流れが両立している。特に「Russian Roulette」は、タイトルの強さに負けないフックを持たせた作りで、デュオの男女ボーカルが前に出る。派手さだけで押し切るタイプではなく、リズムの整い方やコーラスの配置に80年代後半のヨーロッパ産ポップらしい整理された感触がある。

一方で、本作は“これ一枚で大きく跳ねる”というより、Labanがどの地点にいたかを示す記録として見やすい。デンマーク本国での大ヒットから、英語詞での国際展開、そして解散前夜へ向かう時期の作品。1987年という年の空気と、北欧ポップが欧州の広い市場へ出ていく途中の姿が、そのまま入っている。

まとめ

Laban『Roulette』は、1987年時点のデンマーク・ユーロポップを知るうえで外せないアルバムだ。デビューから本国大ヒット、米国チャート入り、そして国際盤としての本作へと続く流れの中で、Labanがどこまで届いていたかを確認できる。Mega Recordsの欧州流通盤としての性格も含め、80年代後半の北欧ポップの一断面をそのまま残した作品である。

トラックリスト

  1. A1 Russian Roulette 3:42
  2. A2 Down On Your Knees 4:12
  3. A3 Don't Stop 3:36
  4. A4 Save Me 3:30
  5. A5 Destiny 3:46
  6. B1 Cool Down 4:11
  7. B2 Prisoner Of The Night 3:09
  8. B3 Asian Heart 4:13
  9. B4 Plaboy / Playgirl 3:56
  10. B5 Limit To Love 3:32

動画プレイリスト

公開: 2026年8月
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