Marquis De Sade - Dantzig Twist (1979)
Marquis De Sade『Dantzig Twist』について
Marquis De Sadeの『Dantzig Twist』は、1979年にフランスで出たデビュー・アルバム。レンヌで育ったポストパンク/ニュー・ウェイヴ・バンドが、最初のシングル「Conrad Veidt」「Air Tight Cell」に続いてまとめた初作だ。
制作背景・エピソード
バンドは1977年、ブルターニュ地方レンヌで結成された。地元のRats d'égoutsのメンバーだったChristian Dargelos、Pierre Thomas、Frank Darcelと、Penthotal LethalyのPhilippe Pascal、Anziaが合流して成立している。ギターのFrank Darcelは結成時19歳だった。
アルバムは1979年夏、レンヌ近郊のMélesseにあるスタジオDBで録音された。プロデュースはThierry Haupais。クレジットには「Produit par Thierry Haupais pour CBH」とあり、録音とミックスはJ.P. BoyerとP. Darnaud、カッティングは「Translab」で行われたと記されている。インサートには「Conrad Veidt」を含む収録曲の表記と写真、クレジットが入り、赤い紙ラベルに白いリング、黒文字という仕様。盤面には「Made in France by Pathé Marconi EMI」、バック・スリーブには「Fabriqué en France par Pathé Marconi EMI ℗ 1979」とある。
曲名の「Conrad Veidt」は、ドイツの俳優コンラート・ファイトに由来する。歌詞はフランス語に加えて英語でも歌われ、ドイツ的な要素を帯びた陰鬱なスタイルが特徴だった。後年のCD版には「Airtight Cell」「Henry」のオリジナル・ヴァージョン、「Die」が追加された。
時代の文脈
Marquis De Sadeの影響源には、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、デヴィッド・ボウイのベルリン三部作『Low』『Heroes』『Lodger』、ストラングラーズ、ジェームス・チャンスのホワイト・ファンク、トーキング・ヘッズが挙げられる。バンドは1979年ごろから「レンヌ・ロック」と呼ばれたシーンを代表する存在で、同じ1979年にはレンヌで第1回Trans Musicalesが開かれた。
フランス文化省はFrank Darcelへの追悼文で、この時期のレンヌの音楽シーンの「沸騰」によって「ブルターニュはロックの大地図の上に独自の場所を占めた」と記した。バンドはこの後に2作目『Rue de Siam』を残し、DarcelとPascalの音楽的な対立から1981年に解散。Darcel側はOctobreへ、Pascal側はMarc Sebergへ分かれていく。
後世への影響
後年の評価では、Marquis De Sadeの2枚のアルバムはビルボード誌に「非常に影響力のある」作品と記されている。AllMusicは彼らの音楽を、ハワード・ディヴォートのMagazineに比肩する「ウィットに富み、暗く、刺激的な音楽」とし、ポストパンクとニュー・ウェイヴにファンクを少し加えた「強烈に神経質で、モダンでありながらロマンティックなサウンド」で、「よく模倣されるがめったに並ばれることのない」ものと評している。
解散後、Frank DarcelはEtienne Dahoのデビュー作『Mythomane』(1981年)でギターを弾き、『La notte, la notte』や「Tombé pour la France」(1984〜85年)をプロデュースした。バンドは2017年に再結成したが、2019年9月にPhilippe Pascalが亡くなり、残るメンバーは「Marquis」として『Aurora』(2021年)、『Konstanz』(2023年)を発表している。Darcelは2024年3月、スペインのガリシアで亡くなった。
トラックリスト
- A1 Set In Motion Memories 3:50
- A2 Henry 3:25
- A3 Walls 3:37
- A4 Conrad Veidt 4:54
- A5 Nacht Und Nebel 0:55
- B1 Who Said Why? 3:25
- B2 Japanese Spy 2:12
- B3 Skin Disease 3:33
- B4 Boys-Boys 4:50
- B5 Smiles 2:35