The Cult - Ceremony (1991)
The Cult 1991

The Cult - Ceremony (1991)

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The Cult『Ceremony』(1991) レコード紹介

The Cultの『Ceremony』は、1991年にUKのBeggars Banquetからリリースされた5作目のアルバム。前作『Sonic Temple』で大きく広がったスケール感を引き継ぎつつ、よりロック色の強い構成でまとめられた作品で、バンドの90年代初頭の立ち位置を示す一枚になっている。The Cultは1983年にDeath Cultとして始まり、Ian AstburyとBilly Duffyを核に、ゴシック・ロック寄りの初期からハードなロックへと重心を移してきたバンドだが、『Ceremony』ではその流れがいっそうはっきり出ている。

制作背景とアルバムの空気

本作は、前作『Sonic Temple』を手がけたBob Rockではなく、Richie Zitoをプロデューサーに迎えて制作された。レコーディングはハリウッドのThe Music Grinder Studios、A&M Recording Studiosで行われ、最終的なマスタリングはSterling Sound、ニューヨークで施されている。クレジットを見ると、制作の多くがロサンゼルス周辺で進められたことがわかる。

当時はベーシストのJamie Stewartが脱退しており、演奏面ではCharley Draytonがベース、Mickey Curryがドラム、Benmont Tenchがオルガンで参加している。セッション・ミュージシャンを交えた体制は、バンドの内部事情がそのまま制作に反映された形だ。Ian AstburyとBilly Duffyの関係も冷え込んでいたと伝えられており、スタジオで顔を合わせる機会すら少なかったという話も残っている。そうした事情を踏まえて聴くと、まとまりの良さよりも、各パートがそれぞれの役割をきっちり担う作りが印象に残る。

サウンドと収録曲の印象

『Ceremony』は、The Cultらしいギターの押し出しと、Ian Astburyのボーカルの強さが前面に出たアルバムだ。Billy Duffyのリフは輪郭がはっきりしていて、曲を引っ張る力がある。そこにオルガンや厚みのあるリズムが重なり、ハードロック寄りの骨格の中に、バンド初期から続く陰影も残している。

代表曲としてまず挙がるのが「Wild Hearted Son」と「She Sells Sanctuary」ほど広く知られてはいないものの、アルバムを象徴する「Fire Woman」だろう。鋭いリフと反復の強さが目立つ曲で、シングルとしても存在感がある。ほかにも「Rain」や「Heart of Soul」など、ライヴで映える直線的な曲が並び、全体としてはアルバム単位で流れを追うより、1曲ごとの輪郭が立つ作りになっている。

実際に聴くと、音像はかなり前に出ていて、ギターとリズム隊の分離もわかりやすい。細かい装飾よりも、リフ、歌、ビートの関係が明確で、90年代初頭の大型ロック作品らしい押しの強さがある。一方で、初期作にあった妖しさや寒色のムードは薄まり、よりストレートなロック・アルバムとして整理されている印象も受ける。

評価と時代背景

発売当時の評価はかなり割れた。全米Billboard 200で25位、UKアルバムチャートで9位を記録し、UKではゴールド、カナダではプラチナ認定を受けているので、商業的にはしっかり結果を残した作品だ。ただ、リリース時期がグランジ台頭のタイミングと重なったこともあり、当時の空気の中では受け止められ方が複雑だった。ロックの主流が切り替わりつつある中で、The Cultが従来の大きなギター・ロックを押し出したこと自体が、評価の分かれ目になった面がある。

批評面でも反応は幅広く、Rock Hard誌では高評価がついた一方、AllMusicは厳しめの採点をしている。つまり、本作は「バンドの勢いが明確に出た作品」として受け取る向きと、「時代の変化に対してやや旧来型に映る作品」と見る向きが共存している。

ジャケットとパッケージ

このUK盤は、グロス仕様のスリーブに収められ、歌詞と写真を載せたインナー・スリーブが付属する。インナーも光沢のあるカード仕様で、ダイカットの親指部分が設けられているのが特徴だ。レコードのランアウトは「STERLING」部分のみスタンプで、それ以外は手書き刻印。UKオリジナル盤らしい物理的な情報がきちんと残っている。

なお、ジャケットに使われた写真は1930年代の連邦調査で撮影されたオグララ・スー族の少年の肖像で、後年に無断使用をめぐる訴訟が起きたという経緯もある。作品そのものの評価とは別に、ジャケットをめぐる話題も含めて記憶されているアルバムだ。

まとめ

『Ceremony』は、The Cultがハードロック寄りの表現をさらに押し広げた1991年作。バンド内部の緊張やメンバー変動を抱えながらも、曲の強度と演奏の推進力で成立している。初期のダークさ、90年代的な重量感、そしてシングル向きの明快さが同居した一枚で、The Cultのキャリアの中でも、移行期の空気が濃く出た作品として位置づけられている。

トラックリスト

  1. A1 Ceremony 6:27
  2. A2 Wild Hearted Son 5:41
  3. A3 Earth Mofo 4:42
  4. A4 White 7:56
  5. A5 If 5:25
  6. B1 Full Tilt 4:51
  7. B2 Heart Of Soul 5:55
  8. B3 Bangkok Rain 5:47
  9. B4 Indian 4:53
  10. B5 Sweet Salvation 5:25
  11. B6 Wonderland 6:10

動画プレイリスト

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