Smith - Minus-Plus (1970)
Smith 1970

Smith - Minus-Plus (1970)

Rock Rock & Roll Vocal Rhythm & Blues

Smith『Minus-Plus』(1970)レビュー

『Minus-Plus』は、ロサンゼルス出身のロック・バンド、Smithが1970年にDunhillから発表した2作目のアルバムである。前作『A Group Called Smith』で注目を集めた流れを受けつつ、バンド名を短くしたこの作品は、女性ボーカルのGayle McCormickを軸にした構成がはっきりしている。内容はカバー曲中心で、ロックンロール、R&B、ソウル寄りの感触を保ちながら、当時のポップ・ロックの文脈にきれいに収まる作りになっている。

バンドの輪郭が見えやすい2作目

Smithは60年代末にロサンゼルスで結成され、70年まで活動したアメリカのロック・バンドだ。中心にいるのは、力のある歌唱で知られるGayle McCormickで、グループの印象を決めているのもこのボーカルである。AllMusicでも、彼女の歌声がバンド最大の武器として扱われている。『Minus-Plus』では、その歌唱を前面に出しながら、楽曲の選び方でソウル・グループとしての性格と、ロック・バンドとしての性格を両立させている。

前作からの継続という意味では、作品全体の狙いが見えやすい。大きく荒々しいだけのロックではなく、曲の輪郭を整え、歌を中心に据える方向へ少し寄っている。メンバー面ではAlan ParkerとJudd Hussの加入があり、ギターとベースの厚みが増している。その結果、演奏は単純な伴奏以上の役割を担っていて、ボーカルの押し出しを支える形になっている。

シングル曲とアルバムの流れ

本作でまず名前が挙がるのは、「Take a Look Around」と「What Am I Gonna Do」だろう。前者は全米43位まで上昇し、バンドの代表曲の一つとして認識されている。後者も73位まで入り、アルバムの中で存在感を持つ楽曲になっている。発売当時の『Billboard』や『Cash Box』でも、こうした曲が強みとして取り上げられていた。

収録曲の選び方にも、当時の感覚がよく出ている。Carole KingとToni Sternの「What Am I Gonna Do」、The Bandの「The Weight」など、同時代のポップ/ロックの重要曲を取り込みながら、Smith流に整理している。オリジナル曲よりもカバーの比重が高いが、そのぶんバンドの解釈が前に出る。原曲をそのままなぞるのではなく、McCormickの声を中心に据え直した作りが印象に残る。

同時代のロック・ソウル文脈の中で

『Minus-Plus』が置かれている場所は、60年代末から70年代初頭にかけてのアメリカン・ロックの中間地帯だ。ブルー・アイド・ソウル、ポップ・ロック、R&B志向のバンド・サウンドが重なり合っていた時期で、Smithもその流れの中にいる。女性ボーカルを前面に出したロック・バンドという点では、当時の他のポップ・ソウル系グループと並べて語られることが多い。

『Minus-Plus』は、前作ほどの大きなヒット作ではないが、Smithが一発屋的に終わるのではなく、継続してチャートを意識できるバンドとして見られていたことを示す作品でもある。Billboard 200で74位まで到達しており、シングルの成績と合わせて、当時のレーベル側の期待も読み取れる。DunhillからのUS盤で、1970年時点のレーベル表記も含めて、まさにその時期の空気を持った一枚である。

聴きどころのまとまり

このアルバムを通して聴くと、まず耳に入るのはMcCormickの歌の強さだ。声の伸び方、語尾の置き方、曲の勢いを受け止める力がはっきりしていて、バンド全体がそこに寄り添う。演奏は派手に暴れるよりも、リズムをきちんと保ちながら曲を押し進めるタイプで、ロックンロール的な直進性と、R&B由来の粘りが同居している。

また、曲ごとの温度差も大きすぎない。アップテンポな曲と、少し息を抜くような曲が並んでも、作品全体の統一感が崩れにくい。カバー中心のアルバムは曲ごとの出自がばらつきやすいが、『Minus-Plus』では選曲と歌唱の方向が揃っているため、アルバムとしての流れが見えやすい。そうしたまとまりが、2作目らしい落ち着きにつながっている。

まとめ

『Minus-Plus』は、SmithというバンドがGayle McCormickの歌を核にしながら、ロックとソウルの間を進んでいた時期を記録したアルバムである。大ヒット作というより、バンドの性格がはっきり出た作品として見たほうが収まりがいい。代表曲「Take a Look Around」や「What Am I Gonna Do」を含みつつ、カバーの解釈、演奏の厚み、70年という時代の空気がまとまっている。前作の延長線上でありながら、少し整理されたサウンドが聞こえる一枚である。

トラックリスト

  1. A1 You Don't Love Me (Yes I Know) 3:20
  2. A2 Born In Boston 2:42
  3. A3 Comin' Back To Me 2:56
  4. A4 Feel The Magic 2:37
  5. A5 Jason 3:24
  6. B1 What Am I Gonna Do 2:51
  7. B2 Take A Look Around 2:50
  8. B3 Since You've Been Gone 3:46
  9. B4 Circle Man 2:27
  10. B5 Minus-Plus 4:03

動画プレイリスト

Share
戻る

あわせて聴きたい "Rock & Roll"

toast