Tower Of Power - Tower Of Power (1973)
Tower Of Power『Tower Of Power』(1973年)レビュー
オークランド発のTower Of Powerが、Warner Bros. Recordsから発表した3作目のセルフタイトル作。1973年の作品で、バンド名をそのまま冠したアルバムとしては、当時の布陣とサウンドの輪郭をいちばんはっきり示した一枚として扱われている。ファンクとソウルを土台にしながら、ジャズ由来の細かなフレーズ運びと、ホーン・セクションの切れ味を前面に出した内容で、Tower Of Powerという名前を広く知らしめた重要作だ。
バンドの核が固まった時期の作品
このアルバムは、バンドの転換点に置かれている。リード・ボーカルにLenny Williamsが本格的に定着した最初のアルバムであり、のちにサックス奏者として知られるLenny Pickett、オルガンのChester Thompson、ギターのBruce Conteらもこの作品から合流している。つまり、Tower Of Powerの黄金期を形づくるメンバー編成が、この時点でまとまり始めたわけだ。
作曲の中心はEmilio CastilloとStephen “Doc” Kupkaのコンビ。バンドの特徴であるホーン・リフ主導の曲作りは、この段階でかなり明確になっている。演奏面でも、リズム隊の粘りとホーンの短いフレーズが噛み合い、楽曲ごとの推進力を作っている。
代表曲「What Is Hip?」と「So Very Hard To Go」
冒頭を飾る「What Is Hip?」は、Tower Of Powerの代表曲としてよく挙げられる。変拍子的に聞こえるホーン・リフ、細かく刻むベースとドラム、そこに重なるブラスの打点が、曲の輪郭をかなりはっきり作っている。派手に広がるというより、リフの反復と緊張感で押していくタイプの曲で、ホーン・アンサンブルの精度がそのままバンドの個性になっている。
一方で「So Very Hard To Go」は、Lenny Williamsの歌が前に出るバラード寄りの曲。ここではホーンの鋭さより、歌の説得力と抑えた伴奏のバランスが印象に残る。シングルとして全米R&Bチャート11位、Hot 100で17位を記録し、アルバムの存在感を広げた曲でもある。Tower Of Powerが単なるインスト重視のファンク・バンドではなく、歌ものでも強いことを示した場面だ。
チャート成績と当時の位置づけ
本作はBillboard Top LPsチャートで15位まで上昇し、ゴールドディスクも獲得している。バンドにとって商業面でも大きな前進となった作品で、これを起点に『Back To Oakland』『Urban Renewal』へと続く流れができた。Tower Of Powerのディスコグラフィの中では、初期の試行錯誤を越えて、サウンドとメンバーの役割分担が実戦的に固まったタイミングの記録として見やすい。
同時代のファンク/ソウルの中でも、Tower Of Powerはジェームス・ブラウン系の反復リズムだけで押すのではなく、ホーン・セクションのアレンジで曲を組み立てる点が際立っている。MFSBやEarth, Wind & Fireのような洗練されたホーン主体のバンドと並べて聴くと、Tower Of Powerはもっと硬質で、リフの切れ目がはっきりしている。後年のブラス・ロック、フュージョン、R&Bバンド編成にも影響を残したグループとして扱われるのも自然だ。
オリジナル盤について
1973年のUSオリジナル盤は、Warner Bros. Recordsのグリーン・レーベル仕様。いわゆる初期のWarner Bros.のラベル変遷の中では、1970年から1973年にかけて使われた緑色のデザインにあたる。今回の盤はオリジナル・プレスとして扱われるもので、のちの再発で見られる別デザインのレーベルとは異なる。レーベル表記の違いはコレクション面で重要だが、作品そのものはこの1973年版が初出となる。
総括
Tower Of Power『Tower Of Power』は、バンドの看板であるホーン・アンサンブル、Lenny Williamsのボーカル、そしてEmilio CastilloとStephen Kupkaの曲作りが、ひとつの形にまとまったアルバムだ。ファンクの切れ味とソウルの歌心が同じ盤面に並び、しかもその両方がバンドの名前を押し出す役割を果たしている。代表曲「What Is Hip?」と「So Very Hard To Go」が同居していること自体、この時期のTower Of Powerの幅をそのまま示している。
トラックリスト
- A1 What Is Hip? 5:03
- A2 Clever Girl 2:52
- A3 This Time It's Real 2:52
- A4 Will I Ever Find A Love? 3:48
- A5 Get Yo' Feet Back On The Ground 4:51
- B1 So Very Hard To Go 3:37
- B2 Soul Vaccination 5:10
- B3 Both Sorry Over Nothin' 3:22
- B4 Clean Slate 3:20
- B5 Just Another Day 4:38