Stevie Wonder - Songs In The Key Of Life (1976)
Stevie Wonder 1976

Stevie Wonder - Songs In The Key Of Life (1976)

Funk / Soul Funk Soul Rhythm & Blues

Stevie Wonder / Songs In The Key Of Life

スティーヴィー・ワンダーの『Songs In The Key Of Life』は、1976年に発表された2枚組の大作で、モータウン期の彼を代表する作品のひとつとして知られている。今回の盤は1977年の日本盤で、MotownのVIP-1~2番、Victor Musical Industries製造の仕様。オリジナルの1976年盤から少し遅れて日本で流通したもので、2枚組LPに加えて、7インチの付属盤「A Something Extra for “Songs In The Key Of Life”」、インサート、24ページの歌詞ブックレットが封入されている。ジャケット表記と帯表記でカタログ番号が異なる点も、この時期の国内盤らしい特徴だ。

作品の位置づけ

このアルバムは、スティーヴィー・ワンダーが1970年代に築いた創作の頂点を示す作品として語られることが多い。『Talking Book』『Innervisions』『Fulfillingness’ First Finale』と続いた充実期の後に登場した本作は、ソウル、ファンク、R&Bを軸にしながら、ジャズ寄りのコード感やゴスペル的な高揚、ポップな旋律までを広く含む構成になっている。曲数も多く、演奏の密度も高いが、単に情報量が多いだけではなく、各曲の役割がはっきりしているところに完成度がある。

制作には長い時間がかかり、複数のスタジオを使って仕上げられたことでも知られる。本人が音楽活動からの引退を考えていた時期とも重なっており、その緊張感が作品全体の集中力につながっているように感じられる。アルバムとしてのスケール感と、1曲ごとの細かな作り込みが同時に成立しているあたりが、この作品の大きな特徴だ。

サウンドと楽曲

冒頭から耳に残るのは、リズムの置き方とベースのうねりだ。ファンクの要素が前面に出る曲でも、単純な反復で押し切らず、歌のフレーズやコーラスの配置で展開を作っていく。シンセサイザーやエレクトリック・ピアノの使い方も印象的で、70年代中盤のモータウン作品の中でも、かなり洗練された音作りに入っている。

代表曲としてまず挙がるのは「Sir Duke」だろう。デューク・エリントンへの敬意を込めたこの曲は、軽快なホーン・リフと跳ねるようなリズムで、アルバムの中でも特に耳なじみがよい。「I Wish」も重要で、子ども時代の記憶を題材にした歌詞と、抜けのよいグルーヴが強く結びついている。どちらもシングルとして広く知られ、アルバムの評価を支える核になっている。

一方で、「Pastime Paradise」や「Village Ghetto Land」のような曲では、社会性のある視点が前に出る。豪華なアレンジをまといながらも、歌詞の内容は軽くない。このあたりは、同時代のソウル/R&Bの中でも、アーティスト本人がメッセージをはっきり持っていた作品として読まれやすい部分だ。アルバム全体を通して、個人的な感情と社会的な観察が並置されている。

初回盤の構成と日本盤の見どころ

この作品の初回仕様を語るうえで、2LPに加えて付属する7インチ盤は外せない。『A Something Extra for “Songs In The Key Of Life”』という形で別ディスクが添えられており、アルバム本編の外側にもう少し曲を置くという構成になっている。LP本体だけでも十分なボリュームだが、付属盤とブックレットが加わることで、作品全体がひとつのパッケージとして成立している。

日本盤では、歌詞ブックレットが丁寧に付属している点も見逃しにくい。スティーヴィー・ワンダーの作品は、メロディや演奏だけでなく、言葉の運びにも重要な意味があるため、国内盤で歌詞を追いながら聴く楽しみが大きい。モータウンの日本盤らしく、輸入盤とはまた違った手触りがある仕様だ。

同時代との関係

1976年のソウル/ファンク作品として見ると、このアルバムはかなり独自の立ち位置にある。ジェームス・ブラウンのようなリズム主導のファンクとも、フィラデルフィア・ソウルの滑らかなストリングス主体の作りとも少し違う。スティーヴィー・ワンダーは、メロディの強さとリズムの粘り、そしてシンセを含む多層的なアレンジを同時に扱っていて、その点がこの作品の輪郭を作っている。

後年のソウル、ネオソウル、R&Bの作り手たちがこのアルバムを参照してきたこともよく知られている。楽曲単位のヒット性と、アルバム単位の統一感を両立させた作品として、今でも基準のひとつに置かれやすい。特に、個人の内面、家族、社会、歴史への視線を同じ作品内に並べる構成は、のちの黒人音楽のアルバム制作にも影響を与えたと見られている。

まとめ

『Songs In The Key Of Life』は、スティーヴィー・ワンダーの音楽家としての幅を、そのまま大きなパッケージに収めたようなアルバムだ。ヒット曲の強さ、アレンジの緻密さ、歌詞の視点、作品としての物量がそろっていて、1970年代ソウルの到達点のひとつとして扱われるのも納得しやすい。1977年の日本盤は、その大作を当時の国内仕様で受け取れる一枚であり、付属盤やブックレットを含めて、作品世界の全体像をつかみやすい盤でもある。

トラックリスト

  1. A1 Love's In Need Of Love Today 7:05
  2. A2 Have A Talk With God 2:42
  3. A3 Village Ghetto Land 3:25
  4. A4 Contusion 3:45
  5. A5 Sir Duke 3:52
  6. B1 I Wish 4:12
  7. B2 Knocks Me Off My Feet 3:35
  8. B3 Pastime Paradise 3:20
  9. B4 Summer Soft 4:16
  10. B5 Ordinary Pain 6:22
  11. C1 Isn't She Lovely 6:33
  12. C2 Joy Inside My Tears 6:29
  13. C3 Black Man 8:29
  14. D1 Ngiculela - Es Una Historia - I Am Singing 3:48
  15. D2 If It's Magic 3:11
  16. D3 As 7:07
  17. D4 Another Star 8:19
  18. E1 Saturn 4:54
  19. E2 Ebony Eyes 4:10
  20. F1 All Day Sucker 5:06
  21. F2 Easy Goin' Evening (My Mama's Call) 3:58

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