Jungle - Sunshine (2026)
Jungle『Sunshine』レビュー
ロンドンのプロデューサー・デュオとして出発したJungleは、2013年の結成以来、映像、アートワーク、ダンスを含めた総合的な見せ方で存在感を保ってきたプロジェクトだ。Josh Lloyd-WatsonとTom McFarlandを中心に、ソウル、ファンク、ディスコ、現行のポップ感覚を横断しながら、クラブともバンドとも違う立ち位置を作ってきた。『Sunshine』は、その流れの中でLydia Kittoが正式メンバーとして名を連ねる最初のアルバムであり、3人体制になってからのJungleをそのまま記録した作品である。
このアルバムは2026年作。収録は全11曲で、プロデュースはJ LloydとKittoが共同で手がけている。前作『Volcano』の時点でも、Lydia Kittoは制作やライブで重要な役割を担っていたが、本作ではその存在がより前面に出ている。とくにリードボーカルの多くをKittoが担当している点は、Jungleの輪郭を少し動かす要素になっている。従来のJungleが持っていたファンク寄りの推進力に、声の質感とメロディの運びが加わった印象で、グループの中核が少し広がった形でまとまっている。
『Volcano』以降の流れと作品の位置づけ
Jungleにとって大きな転機になったのは、前作『Volcano』(2023)の収録曲「Back on 74」だ。2023年末から2024年にかけてTikTok上の振り付け動画とともに広がり、YouTube再生回数は2000万回を超えた。これがBRIT Awardsでのパフォーマンスや英国グループ賞の受賞にもつながり、バンドの名前が改めて広く知られるきっかけになった。『Sunshine』は、その勢いの延長線上にある作品でありながら、単なる続編ではなく、メンバー構成の変化を反映した新しい局面のアルバムとして聴こえる。
先行シングルの「The Wave」は、60〜70年代のブラジル音楽から着想を得た曲として紹介されている。Jungleの作品では以前から、70年代ソウルやディスコ、ファンクの手触りが重要だったが、この曲ではそうした既存の土台に、ブラジル音楽由来のリズム感や流れが差し込まれている。アルバム全体でも、ビートの刻み方やベースラインの運びに、単純な四つ打ちではない揺れがあり、ダンスミュージックとしての機能と、歌ものとしてのわかりやすさが両立している。
サウンドの特徴
『Sunshine』の中心にあるのは、タイトル通りの明るさだが、ただ軽いだけではない。ファンク由来のリズム、ネオソウル的なコード感、ポップ寄りのフックが、過度に重くならないまま並んでいる。Jungleの音は、以前から都会的で整った印象を持っていたが、本作ではその整い方がいっそうはっきりしている。演奏や打ち込みの隙間が少なく、各パートが役割をきっちり分担しているので、聴き流しても輪郭が崩れにくい。
同時代の文脈で見ると、Jungleはディスコ・リバイバルや現行のソウル回帰と重なる部分がある一方で、バンドとしての見せ方を強く残してきた点が特徴だ。ファンクやネオソウルを参照するアーティストは多いが、Jungleはライブ映像やダンスを含めた総合演出まで含めて作品化している。そうした意味では、音だけでなく、視覚面も含めて記憶されるタイプのグループであり、『Sunshine』もその延長にある。
アルバムとしての手触り
Metacriticで79点を記録し、批評面でも好意的に受け止められている本作は、反抗性や陰りを前に出すより、明るさを保ったまま走り切る構成になっている。レビューでも、ネガティブさが目立ちやすい時代に、ポジティブさを貫いた一枚として扱われていた。実際、曲順を通して聴くと、落ち込みや停滞よりも、流れを止めないことが優先されている印象がある。メロディが前に出る曲と、グルーヴを優先する曲が交互に置かれ、アルバムとしての呼吸が保たれている。
Jungleにとって『Sunshine』は、代表曲「Back on 74」の成功で広がった視線を受け止めつつ、Lydia Kittoの加入によって体制を更新した作品である。デュオからトリオへ変わったことが、そのまま音の重心に出ている。ファンク、ソウル、ダンス・ポップを横断してきた彼らの現在地を確認する一枚として、2026年のJungleを示す記録になっている。
トラックリスト
- A1 Come Back To Me
- A2 Sunshine
- A3 Where Are You Know?
- A4 Move Like You Do
- A5 Romeo II
- A6 Carry On
- B1 The Wave
- B2 Someday, Somewhere
- B3 Natural
- B4 Reflection
- B5 Heavy On My Soul