George Duke - Faces In Reflection (1974)
George Duke 1974

George Duke - Faces In Reflection (1974)

Jazz Fusion

George Duke『Faces In Reflection』レビュー

George Dukeの『Faces In Reflection』は、1974年にMPS Recordsから発表されたアルバムで、彼のソロ作の中でも初期の重要盤にあたる一枚だ。Frank Zappaのバンドで注目を集めていた時期のDukeが、鍵盤奏者としての技量だけでなく、作曲家としての輪郭をはっきり示している作品でもある。ジャズを土台にしながら、後のフュージョンやジャズ・ファンクへつながる要素が、かなり早い段階で形になっている。

ピアノ・トリオを軸にした、1974年のGeorge Duke

編成は基本的にピアノ・トリオ。ベースはJohn Heard、ドラムスはLeon “Ndugu” Chanclerが担当している。HeardはJean-Luc PontyやCount Basie、Bobby Hutchersonとの共演で知られ、ChanclerもHerbie HancockやStanley Turrentine、Santana周辺の仕事で名前が挙がるプレイヤーだ。ここにGeorge Duke自身の多彩な鍵盤が重なることで、アンサンブルはコンパクトでも音の層は厚い。

Dukeはアコースティック・ピアノに加えて、ARPシンセサイザー、ウーリッツァー、フェンダー・ローズ、クラヴィネットなどを使い分けている。楽器を次々に切り替えて音色の変化を作るタイプだが、見せ場を積み上げるというより、曲ごとの輪郭を変えるための使い方になっている。録音はカリフォルニア州イングルウッドのBolic Sound Studiosで行われた。

収録曲の構成と聴きどころ

収録曲には、ソロ・ピアノの小品「Piano Solo No. 1 + 2」、表題曲「Faces In Reflection」のインストゥルメンタル版とヴォーカル版が含まれる。特に表題曲は、このアルバムの中心にある素材で、同じメロディを別の形で見せる構成が印象に残る。演奏そのものは技巧的だが、前に出しすぎない。旋律とコードの動きがはっきりしていて、聴き手は複雑さよりも流れを追いやすい。

Jazz Journal誌が聴きどころとして挙げた「Faces In Reflection No. 1」は、抑えた運びの中にこの作品の性格がよく出ている。派手なソロで押すのではなく、フレーズの置き方や和声の切り替えで空気を作る場面が多い。実際に聴くと、音数の多さよりも間の取り方が目につく一枚だ。

ブラジル音楽への視線も見える

「Maria Tres Filhos」はMilton NascimentoとFernando Brantの作品で、Dukeがブラジル音楽に関心を寄せていたことを示す選曲になっている。後年の彼の活動を考えると、この時点でそうした感覚が作品に入っているのは興味深い。1970年代前半のジャズには、ブラジル音楽やラテンの要素を取り込む動きが広がっていたが、ここではそれが単なる装飾ではなく、楽曲の一部として機能している。

同時代の文脈で見ると

1974年という時期は、ジャズが電気的なサウンドへ大きく向かっていた頃でもある。Herbie HancockやChick Corea、Joe Zawinul周辺の動きと並べて見ると、George Dukeもまたその流れの中で独自の位置を占めていたことが分かる。ただし『Faces In Reflection』は、全面的にエレクトリックへ振り切った作品ではない。アコースティック・ピアノの感触を残しながら、鍵盤の色を少しずつ広げていく作りで、フュージョン初期の空気がそのまま残っている。

Billboardのジャズ・アルバム・チャートでは31位を記録している。AllMusicでは5点満点中4点の評価が付いている。再発時のレビューでは、フュージョン黎明期ならではの「発見の喜び」がある作品として扱われていた。Dukeの技巧が前面に出る場面はあるが、技巧を誇示する方向には寄りすぎない。そこがこのアルバムの読みどころになっている。

US盤について

このUS盤はMPS Recordsのリリースで、レーベルのクレジットはMC 22018。プレスにはPRC Indianaの刻印が見られる。MPSはドイツのジャズ・レーベルとして知られるが、George Dukeのようなアメリカのプレイヤーを取り上げた作品も多く、国際的なジャズの流れの中で重要な役割を持っていた。のちにMPSのカタログは再編されていくが、1974年当時のオリジナル盤は、その時代の空気を直接伝える一枚として見ることができる。

『Faces In Reflection』は、George Dukeがソロ・アーティストとして自分の鍵盤語法を固めていく途中の記録であり、同時に70年代ジャズの変化を端的に映した作品でもある。表題曲、ソロ・ピアノ、ブラジル曲の導入、そして電気鍵盤の扱い方まで、要素は多いが散らばらない。初期フュージョンの中でも、演奏と構成の両方で整理された印象を残すアルバムだ。

トラックリスト

  1. A1 The Opening 3:18
  2. A2 Capricorn 5:06
  3. A3 Piano Solo No. 1 + 2 2:21
  4. A4 Psychosomatic Dung 5:03
  5. A5 Faces In Reflection No. 1 (Instrumental) 3:37
  6. B1 Maria Tres Filhos 5:09
  7. B2 North Beach 6:26
  8. B3 Da Somba 6:18
  9. B4 Faces In Reflection No. 2 (Vocal) 2:19

動画プレイリスト

公開: 2026年10月
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