James Mason - Rhythm Of Life (1977)
James Mason『Rhythm Of Life』――70年代ジャズ・ファンクの芯をまっすぐ捉えたソロ初作
James Masonの『Rhythm Of Life』は、1977年にUSのChiaroscuro Recordsから出たデビュー・ソロ作。ギタリストでありキーボード奏者でもあるMasonが、Roy Ayers Ubiquityの一員として活動していた時期に録音した作品で、同じ1977年の『Lifeline』での参加、そして「Running Away」での存在感を踏まえると、このソロ盤は彼の音楽的な輪郭をよりはっきり示した一枚と見てよさそうだ。レーベルはニューヨークのジャズ系インディーで、当時の大手ファンク・レーベルとは少し距離のある立ち位置。そのぶん、演奏の質感やアンサンブルの運びが前に出る作品になっている。
ジャンル表記はJazz、Funk / Soul、スタイルはJazz-Funk、Soul-Jazz、Fusion。これらの要素がそのまま、収録曲の設計に表れている。リズムの押し出しは強いが、単純なダンス・ミュージックには寄らず、コード感やフレーズの置き方にジャズの語法が残る。ギター主体の作品として聴くと、Masonは速弾きで押すタイプではなく、短いリフやカッティング、音数を絞ったラインで曲の流れを作る人だと分かる。キーボードも含めた音作りの中で、各楽器の役割が整理されている印象。
作品の位置づけ
このアルバムは、James Masonにとって最初のソロ・アルバムというだけでなく、70年代後半のジャズ・ファンク/ソウル・ジャズの文脈で彼の名前を押し上げた入口のような作品でもある。Roy Ayers周辺の洗練されたグルーヴ感を共有しつつ、より個人名義の作品らしく、演奏の主導権がMason自身にある。派手なヒット狙いというより、当時のクラブ・シーンやジャズ・ファンクの聴かれ方に沿った、実演感のある内容。
1970年代のこの手の作品は、同時代のRoy Ayers、Lonnie Liston Smith、Grover Washington Jr.あたりと並べて語られることが多い。『Rhythm Of Life』もその流れに置くと理解しやすいが、Masonの場合はギタリストらしい粒立ちのよさが先に立つ。ソロの伸びで聴かせるより、バンド全体の推進力の中で細かく役割を変えていくタイプの演奏が目立つ。
タイトル曲「Rhythm Of Life」について
タイトル曲「Rhythm Of Life」は、このアルバムの性格を最もわかりやすく示す中心曲。リズムの反復が曲の推進力になっていて、ベースとドラムの細かな噛み合わせの上に、ギターがリフを置いていく構造が見える。耳に残るのは、メロディを大きく歌い上げる部分よりも、演奏の中で何度も現れる短いフレーズの積み重ね。ジャズ寄りの和声感を保ちながら、ファンクの拍の強さを前面に出している。
この曲を聴くと、Masonが単なる伴奏者ではなく、曲全体のグルーヴ設計に関わる人だと分かる。ギターの音は前に出すぎず、それでも輪郭ははっきりしている。音数を増やして密度を上げるのではなく、間を残したまま曲を進めるあたりに、70年代後半のソウル・ジャズらしい整理された感触がある。タイトル曲としての役割も明確で、アルバムの入口として機能している。
収録曲の聴きどころ
本作は全体として、各曲が似た温度で並ぶというより、リズムの置き方や楽器の絡み方で表情を変えていく構成に見える。Masonのギターは、どの曲でも主役として鳴り続けるというより、アンサンブルの中で必要な場所にだけ出てくる。そのため、聴き進めるうちに、派手な展開よりも細部の運びが印象に残る。ベースラインの動き、キーボードの和音、ドラムの刻みが少しずつ変化し、曲ごとの輪郭を作っている。
また、ソウル寄りの明快さと、ジャズ寄りの即興性のあいだを行き来する点もこの作品の特徴。メロディが前に出る場面では親しみやすさがあり、インストゥルメンタルとしてのパートでは演奏の手触りが強くなる。結果として、アルバム全体が一つの大きな流れとしてまとまりやすい。聴感上は、70年代ジャズ・ファンクの中でも、演奏の輪郭が比較的くっきりした部類に入る。
補足
なお、マスターノートによると、このアルバムの4曲は2017年に2枚組7インチとしても再発されている。オリジナルのLPと比べると、フォーマットが変わることで曲ごとの区切りがより見えやすくなった形だが、作品そのものは1977年の時点で完成していたものとして捉えるのが自然だろう。
『Rhythm Of Life』は、派手な語り口で押すアルバムではないが、James Masonの演奏家としての持ち味がよく見える作品。Roy Ayers周辺の空気を共有しながらも、ソロ名義ならではの整理されたグルーヴがあり、70年代ジャズ・ファンクの一断面として素直に輪郭がつかめる一枚である。
トラックリスト
- A1 Sweet Power Your Embrace 5:25
- A2 Good Thing 3:13
- A3 Free 3:42
- A4 Mbewe 2:29
- A5 Funny Girl 4:20
- B1 Slick City 3:02
- B2 Rhythm Of Life 6:12
- B3 Hey Hey Hey 1:57
- B4 I've Got My Eyes On You 3:35
- B5 Dreams 3:26
動画
- Sweet Power of Your Embrace
- Good Thing
- Free
- Mbewe
- Funny Girl
- Slick City
- Rhythm of Life
- Hey Hey Hey
- I've Got My Eyes on You
- Dreams