Steve Hackett - Cured (1981)
Steve Hackett『Cured』
Genesis脱退後のソロ活動を続けていたSteve Hackettが、1981年に発表したアルバム。『Cured』では、前作『Defector』までのバンド編成をいったん解き、より小規模な体制で制作が進められた。Hackettは、経済面と音楽面の両方からフルタイムのバンドを避け、3か月ほど英国外で曲作りを行ったあと、ロンドン西部クイーンズウェイのRedan Studioで録音に入っている。録音ではJohn Acockがエンジニア/コントロール役を務め、Hackettはアコースティック/エレクトリック・ギターとヴォーカルを担当。Magnusがシンセ・ドラムとキーボードを受け持ち、Linn LM-1のドラムマシンが重要な役割を果たした。
制作背景・エピソード
当時の紹介記事では、Hackettが曲作りを英国外で進めたのち、Redan Studioで録音した流れが伝えられている。演奏面では、HackettとMagnusの分担がはっきりしており、さらにLinn LM-1が制作の骨格を支えた。Hackett本人は後年、この時期の作品を「70年代と80年代の中間のようなアルバム」と回想している。制作の中心が大人数のバンドではなく、限られた編成と機材に置かれている点が、この作品の大きな特徴になっている。
収録曲の細部よりも、制作方法そのものが作品の輪郭を決めているアルバムでもある。E&M Music Makerの当時記事では、Korg CX3、Roland vocoder、Novatron、Prophets、Rhodesなどが並ぶ“現代的キーボード音のカタログ”のようだと述べられ、アレンジの組み立てがドラム、キーボード、ベース、ギター/ヴォーカルの順で進められたことも伝えられている。
時代の文脈
1981年は、プログレ勢が70年代的な大作志向から、よりコンパクトで機械的な80年代サウンドへ移っていく時期にあたる。『Cured』はその流れの中で、Hackettがシンガー/ソングライター色を前面に出し、従来の「ギターヒーロー」像から距離を取ろうとした作品として語られている。発表日は1981年8月14日で、同日がHackettの結婚日でもあった。
当時のレビューでは、ツアーと活動の蓄積による健康問題にも触れられており、Hackettのキャリアの中で節目にあたる時期の作品として扱われている。英国では1981年8月29日にアルバム・チャートへ初登場したことが確認されている。
1984年UK盤について
今回のUK盤は1984年リリースで、CharismaのCHC 21。ブルー・ラベルに「Distributed by Virgin Records Ltd.」の表記が入り、Virginのミッドプライス帯に属する再発盤として案内されている。ラベル表記には1984年のクレジットがあり、オリジナルの1981年盤とは発売時期と流通形態が異なる一枚になっている。
こうして見ると、『Cured』はHackettが1981年に作り上げた内容を、1984年のCharisma/Virgin体制のUK盤として受け取れるタイトルでもある。制作の条件、機材、編成の絞り込みがそのまま前面に出た作品として、当時の記録が残っている。
トラックリスト
- A1 Hope I Don't Wake
- A2 Picture Postcard
- A3 Can't Let Go
- A4 The Air-Conditioned Nightmare
- B1 Funny Feeling
- B2 A Cradle Of Swans
- B3 Overnight Sleeper
- B4 Turn Back Time
動画プレイリスト
このアーティストについて
Steve Hackettは、1949年ではなく1950年2月12日にロンドンのピムリコで生まれたイギリスのギタリストだ。Genesisでの活動で広く知られ、在籍中に8枚の...
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