Laghonia - Etcetera (1971)
Laghonia『Etcetera』について
ペルーのサイケデリック・ロック/プログレッシブ・ロック・バンド、Laghoniaが1971年に残した『Etcetera』は、同国初期ロック史を語るうえで外せない1枚だ。バンドは1960年代後半から1970年代初頭にかけて活動し、前身グループからの流れを引き継ぎながら、より洗練された編成とサウンドへ移行していく。このアルバムは、その変化がまとまった形で表れた作品として見ておきたい。
2015年にスペインのViNiLiSSSiMOから出た180グラム盤は、その再評価の流れを受けた再発盤。オリジナルのアートワークを踏襲しつつ、当時の作品をあらためて手に取りやすくしたリイシューで、60〜80年代のスペイン語圏ロック再発に力を入れる同レーベルの方針ともつながる内容になっている。
前作からの変化が大きい作品
Laghoniaは、もともとハードなガレージ感を持つバンドとして知られていたが、『Etcetera』ではその輪郭が少し変わる。前作『Glue』時代の荒さを残しながら、曲の構成やアレンジに後期ビートルズ由来の流れが入り、全体としてはより整理された印象が強い。単に演奏が整ったというより、楽曲の流れや音の置き方に意識が向いた作品だ。
録音は、当時のペルーのロック環境を反映した少ないトラック数で進められ、ほぼ一発録りに近い手触りがあるとされる。実際に聴くと、音数を重ねて厚みを作るというより、演奏の呼吸やバンド内の受け渡しで曲を押し進める場面が目立つ。音の隙間がそのまま演奏の緊張感につながっていて、スタジオ作品でありながらライブ感が残る。
サイケとプログレの接点
この作品の面白さは、サイケデリック・ロックの色合いと、のちのプログレッシブ・ロックにつながる構成感が同居しているところにある。ギターのフレーズやコーラスの置き方には60年代的な感触がある一方で、曲展開はより長く、ひとつのアイデアをそのまま押し切るのではなく、場面を切り替えながら進む。南米ロックの初期作品にしばしば見られる、英米の影響をそのままなぞるのではない独特の混ざり方がある。
同時代の比較でいえば、初期のアルゼンチンやブラジルのロックに見られる実験性とも通じるが、Laghoniaの音はもっと素朴で、手触りが近い。洗練よりも、バンドがその時点で持っていた材料をそのまま組み上げたような印象が残る。そこが、後年の再評価につながった理由のひとつだろう。
バンドの流れの中での位置
メンバー変遷を経て作られたこの時期のLaghoniaは、後の展開へ向かう節目でもある。Carlos Guerreroはその後We All Togetherへ進み、ペルー・ロックの次の流れに接続していく。『Etcetera』は、そうした個々のキャリアの前段階としても見えてくる作品で、バンドがひとつの形をまとめ上げた記録として残っている。
曲単位で広く知られたヒット曲が前面にあるタイプのアルバムではないが、アルバム全体を通して聴くと、各曲の切り替えや演奏のまとまりが印象に残る。派手な売れ筋よりも、時代の空気をそのまま閉じ込めたようなアルバムで、ペルー産サイケ/プログレの文脈では重要な位置を占める。
2015年リイシューの意味
2015年のViNiLiSSSiMO盤は、180グラムの重量盤として出ており、オリジナル盤の雰囲気を保ちながら再流通させた再発盤だ。スペインのレーベルが、ラテン圏やスペイン語圏のロック遺産を丁寧に掘り起こしていく流れの中で、この作品も改めて可視化された。初出当時のローカルな記録が、後年になって国境を越えて聴かれるようになった例としても興味深い。
Laghonia『Etcetera』は、荒さと整理された構成が同居する、1971年という時代の空気が濃く出たアルバムだ。ペルーの初期ロックを追うとき、まず名前が挙がる作品のひとつとして、今も参照され続けている。
トラックリスト
- A1 Someday 3:15
- A2 Mary Ann 5:09
- A3 I'm A Nigger 3:39
- A4 Everybody On Monday 4:45
- B1 Lonely People 4:52
- B2 Speed Fever 5:55
- B3 Oh! Tell Me Julie 2:43
- B4 It's Marvellous 3:09