The Clash - London Calling (1979)
The Clash 1979

The Clash - London Calling (1979)

Rock New Wave Punk

The Clash『London Calling』(1979) ― UKパンクの枠を押し広げた決定的な3作目

The Clashの『London Calling』は、1979年にUKでCBSからリリースされた3枚組ではなく2枚組のアルバムで、バンドにとって3作目のスタジオ作にあたる作品だ。前作までのパンクの勢いを土台にしながら、レゲエ、ダブ、ロカビリー、R&B、ポップの要素まで取り込み、The Clashの名前を一気に世界規模へ押し上げたアルバムとして知られている。UKパンクの文脈に置くと、同時代のSex Pistolsの直線的な攻撃性とは少し違い、曲ごとの振れ幅が大きいのがこの作品の特徴だ。

タイトル曲「London Calling」は、低く鳴るベースと切迫したリズムで始まり、都市の不安や時代の空気をそのまま封じ込めたような冒頭が印象に残る。続く「Clampdown」や「Spanish Bombs」、そしてシングルとしても広く知られる「Train in Vain」まで、収録曲の輪郭がはっきりしていて、2枚組の長さを感じさせにくい構成になっている。特に「Train in Vain」は、ジャケットやインサートに曲名が載らず、ランアウトへの刻印のみで存在が示される扱いで、制作と印刷のタイミングがずれたことがそのまま作品の記録になっている。

このUKオリジナル盤の仕様

今回のUK盤は1979年リリースの初回プレスで、ジャケットにはカタログ番号CBS CLASH 3、レーベルにはS CBS CLASH 3が記載されている。封入物として28cm×28cmの歌詞・クレジット入りインサートが2枚付き、盤はプレーンなインナーに収められていた。後続盤では印刷入りインナーに切り替わるため、この初回仕様は資料的にも分かりやすい。背面にはWessex Studios録音、Shorepak by Shorewood Packaging Co. Ltd.の表記があり、英国盤らしい当時のパッケージングが確認できる。

カバーのデザインは、Elvis Presleyのデビュー作を思わせる構成を踏まえたものとして有名だ。左側にピンクの文字、下部に緑の文字を配したレイアウトで、ロックの歴史への参照を含みながら、The Clash自身の現在形を前面に出している。写真もニューヨーク、オースティン、アトランタで撮られたものが使われていて、ロンドン発のバンドがすでにアメリカを含む広い地理へ視線を向けていた時期の空気が残る。

制作背景と音の輪郭

プロデューサーにはGuy Stevensが起用されている。Mott The Hoopleのマネージャーとしても知られる人物で、現場ではかなり破天荒な振る舞いが伝えられているが、最終的な音像の整理はエンジニアのBill Priceが担った。1979年8月から11月にかけてWessex Studiosで行われたセッションは、混乱と集中が同居した現場だったようだ。その結果として、音はラフさを残しつつも輪郭が崩れず、ドラム、ベース、ギター、歌がそれぞれの役割を保っている。

実際に聴くと、勢いだけで押し切るタイプのパンク盤ではなく、曲ごとにテンポや質感が切り替わる作りがはっきり分かる。ジョー・ストラマーの歌は前へ出るが、ミック・ジョーンズのギターは単純な刻みだけで終わらず、メロディの引き出しを増やしている。ポール・シムノンのベースは全体の推進力になり、トッパー・ヒードンのドラムは直線的なビートだけでなく、曲の表情を作る役目も大きい。ハードな演奏の中に、レゲエやダブ由来の間合いが混ざる瞬間があり、そこがThe Clashらしさとして残る。

収録曲と代表曲の存在感

タイトル曲「London Calling」はもちろん、アルバム全体の顔になっている。加えて「Clampdown」は労働と管理社会の感覚を前に出し、「Spanish Bombs」はスペイン内戦を題材にした歌詞と軽快な進行が結びつく。さらに「The Guns of Brixton」ではポール・シムノンが作曲面でも存在感を示し、バンド内での役割分担の広がりが見える。「Train in Vain」はシングル曲としても後年まで強く知られ、アルバムの締めに置かれたことで余韻を残す。

2枚組という形式もあって、The Clashの当時の関心の広さがそのまま並ぶ。パンクの速度感を持ちながら、単一のスタイルに閉じない作りは、後のオルタナティヴ・ロックやポストパンク周辺にも影響を残した。特に、政治性のある歌詞、ジャンル横断の感覚、シングル曲の強さを同時に持つアルバムとして、同時代の多くのバンドと比べても存在感が大きい。

まとめ

『London Calling』は、The Clashのキャリアの中でも転換点として扱われることが多い作品だ。1979年のUKオリジナル盤は、初回インサートやプレーン・インナー、そして「Train in Vain」の扱いまで含めて、当時の制作と流通の事情がそのまま残っている。パンクの速度を保ちながら、ロックの語彙を広げたアルバムとして、今なお資料性と作品性の両方で強い印象を持つ1枚になっている。

トラックリスト

  1. A1 London Calling 3:17
  2. A2 Brand New Cadillac 2:05
  3. A3 Jimmy Jazz 3:51
  4. A4 Hateful 2:42
  5. A5 Rudie Can't Fail 3:25
  6. B1 Spanish Bombs 3:17
  7. B2 The Right Profile 3:50
  8. B3 Lost In The Supermarket 3:43
  9. B4 Clampdown 3:45
  10. B5 The Guns Of Brixton 3:08
  11. C1 Wrong 'Em Boyo 3:08
  12. C2 Death Or Glory 3:52
  13. C3 Koka Kola 1:44
  14. C4 The Card Cheat 3:44
  15. D1 Lover's Rock 3:59
  16. D2 Four Horsemen 2:55
  17. D3 I'm Not Down 3:03
  18. D4 Revolution Rock 5:29
  19. D5 Train In Vain 3:02

動画プレイリスト

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